火曜日に引き続き、今週は土曜日もまた、インディラナガールにあるドミニカン・シスターズへ訪問だ。我々の「地域社会とのコミュニケーション」にとっては、不可欠となりつつあるこの慈善団体。
土曜日はミューズ・クリエイションの「男組」が結成されて初めての、慈善団体訪問である。以前2度ほど、大人数の子どもたちと遊んだが、それはサマーキャンプで集まる子供と遊んで欲しいということで、先方から訪問依頼があった。
今回は逆。「男組を結成したので……」とは言わなかったが、駐在員男性も週末に子どもと触れ合う機会を持ちたいので、ということで、託児所の子どもたちと一緒に遊べるようお願いしていたのだった。
聞けば、土曜日は、託児所に預けられる子供は少なく、20名程度のところを、敢えてたくさんの子どもたちに声をかけてくれたのだという。約70名ほども集まってくれていた。
集合時間より早めに到着すると、子どもたちはすでにきちんと並んで座っていて、朝のバターミルクを支給されているところだった。いつものシスター・アンが笑顔で出迎えてくれる。
実質的な手配をしてくれるのは、シスター・ジャシンタだが、彼女は年に一度の休暇中で、ケララへ帰省中。帰省前にわたしに電話をくれ、すべては調整しているから問題ないと、電話をくれていたのだった。
さて、大人の参加者は合計17名。男性駐在員数名の他、「働き組」「昼組」のメンバーも参加。「昼組」メンバーが夫婦で、家族での参加もあり、「ヴァラエティ豊かな」顔ぶれだ。
慈善団体訪問の初心者ばかりだと、少々、心許ないが、昼組、働き組を含め、3分の1は来訪経験のある人だったほか、ミューズ・クリエイションの活動は初めてでも、日本で慈善活動を積極的にされていた人もある。
なにしろ、「子供と遊ぶのが好き」そうな人たちが集まってくれていたのがよかった。本来、特に子供好きでも、子供に慣れているわけでもないわたしとしては、心強く思われた。
いつものように、Head shoulder knee and toes! を歌って身体を動かしつつ、場の雰囲気を和らげる。いつもは、ピアノの伴奏に合わせて、結構何度も繰り返すが、今日のところは、3、4回で終了。この歌の体操、エネルギーを消費するのだ。
あらかじめ、大人の参加者の役割分担は、大まかに決めていた。男子は体育会系の遊びに集中することが予測されたので、バスケットボールのリング、ボールや縄跳び、ボウリングなどの準備をしておいた。広いスペースがあるわけではないので、場所をとらない遊びが望ましいのだ。
まずは子どもたちをグループ分け。最初のうちは、きちんと列になって行動している。
先日、スポーツ用品店で購入した、子供用バスケットボールリング。本気なムード漂うフランス製だ。買う人がいないのか、大幅ディスカウントされていたのは本当にラッキーだった。丈夫だし、高さ調整もできるし、持ち運びも比較的手軽だし、よかった。ちなみに、スタンド部分のタンクに水を入れて、倒れないよう安定させる仕組みになっている。
室内では、毎度おなじみ、魚釣り。今回はスペースが広めだったので、海も大きめに。子どもたちが激しく釣り竿を取り合うこともなく、比較的おだやかな浜辺、である。
子どもたちは、あっというまに大人たちにうちとけて、楽しんでくれている。が、いつものように、どうしても泣いてしまう子供が一人。見慣れぬ平たい顔をした人間らが大挙して訪れ、訳の分からない言葉でしゃべる様子を目の当たりにして、恐怖心を覚えてしまうのは仕方のないことである。
近寄ってあやそうものなら、更に号泣されるので、近寄らない方がよい。
……と、わかってはいるのだが、皆が楽しく遊んでいる間、泣き止んだその少年がひとりで窓辺にたたずみ、黄昏れていたのを見て、少し、心が痛んだ。リコーダーを一緒に吹きませんか、と縦笛を渡して、誘ったのだが……。頑に無視されてしまった。
仕方ない。
以前は、フロアに座って折り紙やぬりえをすることが多かったが、前回のOBL支援の公立学校訪問時に、机の上で折り紙を教えた際、子どもたちがきちんと順番を待ち、大人も教えやすかったことから、今回、一隅に寄せてあった机を広げて利用した。
塗り絵もまた、机に座った方が、クレヨンなどの配分もしやすい。もちろん、取り合いなどが起こることもあるが、車座になるよりも子供も集中できるように見受けられた。
机って、大切なのだな、と、思う。子どものころから「机が好き」なわたしとしては、非常に腑に落ちる現象である。
3歳ほどの子供は、塗り絵をすることに慣れていないのか、はじめてなのか、塗り方もぎこちないのだが、少し手慣れた隣の子の様子などを眺め、真似をしたりして自分たちで遊んでいる。
フロアに座って和気藹々と、シスターや先生たちに折り紙を教える男子。子どもたちもさることながら、毎度、シスターや先生たちも、いろいろと習いたがるところが、かわいらしい。たいへん、楽しそうだ。
毎日、小人数で、やんちゃな大勢の子どもたちの面倒を見ている彼女たち。本当に、たいへんなことだと思う。
リングを低めに設置し直して、シュートしやすい高さに。これだけ小さい子どもたちだと、スポーツのルールを教えるところまではいたらず、玉入れ状態だが、それはそれ。適当にルールを決めて遊んでもらうしかない。
持参した子供用バスケットボールと、コーディネートがきいている少年。かっこいい。
バスケットボールに飽きたら、縄跳び遊び。これも、初めての遊びであろうことから、大人が見本を見せつつ、子供にも真似してもらうとするのだが、真似してくれず。子供と遊ぶためにも、それなりの「技」が必要なのだということを、改めて実感する。
縄跳びを一応、持参したが、今回の子どもたちにはちょっと早すぎた。メンバーが前日に作って来てくれていたゴム跳びで縄跳び風にしてみたところ、子どもたちは怖がらずに飛び込んでいたようだ。
今回、ボウリングもいまひとつの活躍。これはもう少し大きな子供用だ。油断すると、ボウリングのピンがクリケットのバットがわりになり、子どもたちがガンガンと床に打ち付けはじめる始末。こうなったらやはり、クリケット遊びを我々が習得して、クリケットをするのがいいのか、とも思われる。
男組のメンバーに、クリケットの遊び方、を習得していただければと思う。
……というわけで、わずか1時間15分ほどだったにも関わらず、随分エネルギーを使ったひとときとなった。シスターたちがお茶を出してくれ、お菓子をいただいて、一段落。
わたしたちがお茶を飲んでいる間も、サリーの裾を翻しながら、子どもたちを追いかけて走り回るシスターたち。本当に、体力も精神力も、そして温かな心をも望まれる、たいへんかつ尊い仕事だと思う。
彼女たちの存在が在るからこそ、スラムに暮らす母親たちは、安心して仕事にでかけることができる。この無料の託児所が、どれほどの働く女性たちの救いとなっていることだろう。
貧困層の多いインドだからこそ、有り難い存在……というわけでは、ないと思う。
わたし自身は、日本の状況をメディアの報道によってしか知ることができないが、それでも、小さな子供を持つ働く女性たちのたいへんさ、は想像に難くない。保育所や託児所の存在意義、有り様を、抜本的に見直して、待機児童などがない社会であるべきだということを、つくづく思う。
ドミニカン・シスターズを離れたあとは、インディラナガールのSMOKEHOUSE DELIに再集合してランチ。よく冷えたKINGFISHER ULTRAもおいしく、初めて試した「ポークハンバーガー」も美味で、幸せであった。
ドミニカン・シスターズのシスターからは、今度は高学年の子どもたちと遊んで欲しいとのリクエストも受けているので、またぜひ、週末活動できるメンバーで訪れたいと思う。
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ミューズ・クリエイションの「男組」に関心のある方、どうぞお気軽にご連絡ください。別に、「組」に入っていただかなくても、単発での参加でもノープロブレムです。今後、案内をお送りいたします。
また、ミューズ・クリエイションでは、CSR(企業の社会的責任)活動のお手伝いもいたします。会社単位で、慈善団体訪問をしてみたい、あるいは寄付をしたいといったご希望があれば、然るべき信頼のおける団体をご紹介することも可能です。
バンガロールに進出している欧米企業では、CSRは当然すべき活動だと認識されているところは多数です。業務の一環として、慈善団体を訪れて、子どもたちに勉強を教えたり、建造物の修理やペンキ塗りを行ったりと、金銭的な支援以外にも、人道的な活動を積極的に行っています。
また、駐在員本人だけでなく、滞在ヴィザの関係上、仕事ができない伴侶に向けてのヴォランティア活動情報を提供している企業もあります。貧困層の子女に向け、コンピュータの指導、英語の指導などを行っている女性たちも多々、いらっしゃいます。
それは、「貧しい人たちに施す」といった視点からというよりも、たとえ束の間でも我々が暮らし、働かせてもらっているこの異郷の地の、リアルな一面に触れ合うことをも目的にしていると思います。
特にインドのように、文化的にも宗教的にも、そして社会階級の側面においても、他のどの国にもないような、すさまじき多様性の国においては、少しでも、自分たちが日常見ている世界だけで物事を判断してはならない、ということを体感する契機にもなると思われます。
日本人の場合、言葉の問題があることに加え、そのような活動を始めるにもあらかじめの情報がなく、どこで何をしたらよいかわからないという状況の方もいらっしゃるかと思います。そのような方にも、当方が持っている情報は提供し、担当者に話を通すことは可能です。
もちろん、駐在員のみなさんご自身が、現場に赴いて、人々に、地域社会に、直接触れ合うことが一番だと思われますが、時間的に難しいなどの条件があれば、寄付をするお手伝いをします。
なお、ミューズ・リンクスのセミナーについては、坂田のビジネスとして有料で行っていますが、ミューズ・クリエイションの活動については、無料でコーディネーションしています。
詳しくは坂田までお問い合わせください。
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訪問の感想レポートは、参加者から届き次第、まとめてこの記録に追加でご紹介します。また数日後に、このページをご覧いただければと思います。