このたび、晴れてミューズ・クリエイションは、12Aと80Gの証書を取得することができた。これで本格的にNGOとして稼働できる。
2015年6月にミューズ・クリエイションをNGO (Charitable Trust) 登録した。これに伴い、課税控除のための資格申請(12Aと80G)手続きを行なっていたのだが、このプロセスにたいへん手間取っていた。約1カ月前、ここに思わず不満を記したことを、ご記憶の方もいらっしゃるだろう。
◉12Aは、ミューズ・クリエイションが税申告する際の課税控除の証明
◉80Gは、外部がミューズ・クリエイションに寄付をする際の課税控除の証明
どちらもNGOを運営し続けるには不可欠だ。
3月末締めの昨年度の会計資料は、9月末に12Aと80Gを添えて申告せねばならないのだが、両書類の申請手続きに大きく手間取った。これは会計士の不手際も関係するのだが、この経緯を記せば長大な記録となるので大きく割愛。
賄賂を払えば最短だとわかってはいたものの、屈するべきではない。
証書を得るには、NGO申請時に発行された「TRUST DEED」を何箇所か、改正する必要もあった。ゆえに何度か役所に足を運んでは、諸手続きに煩わされてきた。にもかかわらず、納税期限の今月末までに間に合わない気配だったので、会計士からはつい先日「賄賂を払ったほうがいいかも……」と打診されたところだった。
ミューズ・チャリティバザールを終えひと段落した週末。「不本意でも、ここは賄賂を払わねば先に進めないのか……」と思っていた矢先。
ついには証書が届いた!
これで一つ、肩の荷が降りた。賄賂を払わなくてよかった……。大切な資料なのに、トナーがなくなりかけてるときの印刷らしく、紙面にムラがあるのがインドだもの。いやもう、読めれば、それでいい。
ミューズ・クリエイションの役員 (Trustee)として、諸々の手続きをサポートしてくれ、また役所へも同行してくれ、「ああ、もう面倒臭い、賄賂払っちまえ!」と投げやりになっていた妻。一方の夫は、極めて根気強い。最後まで賄賂を払うべきではないと主張してくれた彼には、感謝せねばなるまい。
なお、ミューズ・クリエイションはインド国内の企業や個人からの寄付金は受けられるが、海外からの送金は受けられない。海外から寄付を受けるためには、FCRA(Foreign Contribution Regulation Act)すなわち外国貢献規制法の登録証を持っていなければならない。
このFCRA登録証とは、インド国外からの支援に関し、ある一定の範囲内で受けられることを認めるもの。この登録をするのがどれほど大変かは、ミューズ・クリエイションが久しく関わり、また我が夫が役員を務めている慈善団体、OBLF (One Billion Literates) の理事たちから話を聞いている。ミューズ・クリエイションも、もちろん毎年、会計報告をしているが、FCRAの報告はまた、諸々手間がかかる模様。
インドには無数の非営利団体があり、国内外から非課税での支援を受けられる。これを悪用する人も当然いるわけで、海外からの不正送金の温床にもなりかねない。ゆえに、審査が厳しいのは妥当ともいえる。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
遡ること1カ月前の記録
インドに移住して2年ほどたったころから、本業の傍ら、一人でヴォランティア活動を始めた。少しずつ、賛同する日本人女性らと共に、活動を広げた。諸事情から、中途半端な活動は難しいと悟り、2012年にミューズ・クリエイションを創設。その3年後、NGOに申請した。最大の理由は銀行口座を開設し、明朗会計にしたかったから。そして自分自身もヴォランティアとはいえ、気持ちの拠り所としてのミューズ・クリエイションを確立したかったからだ。
とはいえ、この国で事を起こすに際しては、それがたとえNGOであれ、簡単なことではない。資料の提出、承認、納税……あらゆる過程に壁がある。直球で勝負できない。NGOの納税に必要な12Aフォームの申請が、実は未だに滞っており、Trust Deed(証書)の書き換え申請に、本日もまた、赴く。トラブルの発端は会計士及び弁護士の不手際だが、詳細は割愛。ともあれこの国で、賄賂なしに、ストレートに物事を運ぼうとするには、時間とエネルギーと根気を要する。
日本でフリーランスだった時、米国で会社を経営していた時、納税期日は当然ながら厳守で、そのための準備は怠らなかった。今でも当然、同じ姿勢でいるのだが、なにしろ所得税の納税者が5%を切っていると言われるこの国。こちらが準備した申告書類を寝かせたまま、納税のタイミングすら「昨年度と今年度、まとめて9月末で大丈夫だから」という会計士の言葉に、やり場のない脱力感を覚え……。
この2年間で、何度も足を運んだこの申請オフィス。ミューズ・クリエイションの役員には、夫が名を連ねているので、夫とわたし、そして会計オフィスのスタッフ2名が立会人としても出頭する必要がある。都度、何枚もの書類にサインをし、写真と指紋をとられる。願わくば、これで12Aフォームが発行され、9月末の納税申告が速やかに受理されることを願いつつ……。
あくまでも慈善。あくまでもヴォランティア。本業のビジネスではないのだから、「細く長く」続けていければ……と思っていたはずが、気がつけば「太く長い」5年の歳月が流れた。自己満足の次元で続けられる活動ではない。趣味の領域を超えている。ときどき、何もかもが面倒臭くなることもあるが、いやいや、得てきたもの、分かち合ってきたものの大きさを思い、天を仰ぐ。
道路工事中につき、オフィスへの道は、まさに険しく、しかし今日の証書書き換えはひとまず終了。リッツカールトンで飲茶ランチを楽しみ、気分を切り替えた。
6年目のミューズ・クリエイション。自分自身の在り方、そして今後の展望を、見直す時期が来ているようだ。
ミューズ・クリエイションをNGO申請した際、書類に不備があったことが発覚し(←弁護士の不手際&インドじゃ普通)、夫とともに、なんたらかんたらなオフィスへ。現地で法律事務所の何某氏と合流し、各種資料にサインをしたり、写真を撮られたり、指紋を取られたりして、混沌の中で数時間。大したことをしていないのに、疲労感満点。
ひと仕事をすませたあと、最近、お気に入りのチャイニーズ(リッツ・カールトン)へ。ランチの点心コースがなかなかに美味なのだ。最近メニューが変わったらしく、ポークバン(肉まん)の外側が、メロンパンになっていた。表面が、格子模様のクッキー生地。甘辛のバランスがなかなかに絶妙で、おいしかった。
スープ、点心、メイン、そしてデザート。夫は抹茶エクレア、わたしはヴァニラアイスを注文するも、夫が「ヴァニラより、バナナカラメルがいいでしょ!?」と主張。今日のところはミューズ・クリエイションの事務処理をサポートしてもらったこともあり、夫に決定権を譲る。食後は満腹。昼寝したい衝動を抑えて、仕事中……。