来週月曜掲載の西日本新聞の『激変するインド』。先月に引き続き「家事」の話題だ。今回、家電の話と使用人などの話に加え、街角のアイロン屋の存在にも触れた。
掲載する写真は、記事でも触れた「炭を使ってアイロンをかけるアイロン屋」がいいだろうと、街へ出た。バンガロールならばこぎれいな住宅街の路傍でもその姿を認められるが、わが家の界隈では、スラムに足を運ばねばならない。
すぐご近所のスラムにあるドービーガートにアイロン屋もあるため、そこへ赴いた。アイロンの写真は新聞に掲載された後に紹介するとして、別の写真を。
洗濯場のすぐそばに、小さな教室があって子どもたちが勉強をしている様子がかわいらしかった。ごちゃごちゃのスラムの中にも、こうして学問の場があるというのを確認できただけで、少し安心する。
ところで下の写真は、わが家の近所ではなく、マハラクシュミ地区にあるムンバイ最大のドービーガート。先月の『激変するインド』に載せた。
ページがモノクロであるため、雰囲気が今ひとつ伝わらなかったと思う。要素がたくさん詰まっていて、見るところがたくさんある光景だ。
●よくわからん、母娘。
母と電話で話す。挨拶もそこそこに、いきなり母はいう。
「あなた、なかなか痩せないみたいね。あんなに食べてたら、痩せないわよ。歯を抜いたあとに、バターたっぷりのカニを食べたりして」
カチン、と来る娘。
ちょっと待ってよ。あんなにって、どんなによ。ひょっとしたらバターたっぷりのカニを、わずかひと口だけしか食べてないかもしれないじゃないの。
そもそも、ダイエット関連を世間に向けて公表するのを好まない。ダイエットのコラムなら、林真理子氏に任せておけばいいのである。
食うや食わずの人が溢れているこのインド世間で、そもそも自分の判断で食べておきながら、デブを加速している事実を憂うなど、贅沢な悩みだとも自覚している。
はずなのに、ついつい「歩けども歩けども」などと「替え歌」を詠んだりして、何気なく重量感をアピールしてしまうあたり、わたしもまだまだ未熟である。
ところで、わたしはこれでも、ブログに食事関係の情報を掲載するのもまた、控えているつもりだ。
「え? どこが?」
という声が聞こえてくる。どうしてだろう。
食の写真は、ときとして「生々しさ」を伴うので、これでも抑えめにしているのである。食べ物の写真が出るのは、多くても1週間に2回程度のはずである。
ただ、「インドの良き面」をアピールする延長線上で「インドで食べられるおいしいもの」を紹介しており、それは「今日はこんなものを食べました〜!」的なレポートとは趣を異にしているつもりである。
にも関わらず、母親だけでなく、実は読者の方からも折に触れて「坂田さん、たくさん召し上がってますよね」とのコメントが届く。どういうことなのだ?!
ともあれ、「1週間×3食=21食」。21分の1か2に過ぎない情報で、「食べ過ぎ」と判断されるのは、不本意だ。ひょっとしたら先週は、カニ以外、ヒエと粟で食いつないでいたかもしれないじゃないの。
などとわたしは、何をムキになっているのだろう。自分でも、よくわからん。
よくわからんといえば、母。
「美穂。ちょっと厚かましいんだけど、今度帰ってくるとき、買ってきてほしいものがあるんだけど」
「なに? いいよ、買ってくるよ。石けん?」
「石けんじゃなくて、スカート。あの、アナーキーだっけ、あそこにあるような」
「アナーキー、じゃなくて、アノーキーね。で、ウエスト、何センチ?」
「いや〜ん! 言えな〜い!!」
い、いや〜ん、って……。
スカートを買ってきてといいながら、ウエストのサイズは公表できぬというその矛盾。今更、恥じらってどうする! 古希を迎えた人のいう台詞だろうか。
大きめの「ゴムタイプ」とか「巻きスカートタイプ」で対処しようと、不惑のころを過ぎた娘は思うのだ。
●ココナッツ・ウォーター礼賛●
週末、またしてもウィリンドン・クラブへ赴いた。日曜の夕暮れどき、プールでひと泳ぎしようと思ったからだ。泳ぐ前に、カフェ・ラウンジで、ココナッツ・ウォーターを飲む。
ボトル水が手に入らないとき、しかしココナッツ売りがいたならば、ココナッツ・ウォーターを飲むべし。
安全かつヘルシーだ。
ココナッツ・ウォーターとは、若いヤシの実(黄緑色)の中に含まれている水。
左の写真は、緑の皮をむいているので、アイヴォリー色に見える。
さらさらと、口当たりはまろやかな、ほんのり甘い水。自己主張の弱い飲み物だが、すばやく体内に吸収され、乾きを癒す。
飲んだ後、内側の実(白いゼリー状)のものをスプーンでそぎ落として食べる。たいしておいしいものではないが、アルヴィンドが好きなので、彼に与える。
ちなみにココナッツ・ウォーターを注文すると、下の写真のように、兄さんがするすると木に登って、実を採取してきてくれる。
というのは嘘で、この写真は以前、ケララのクマラコムに滞在したときのもの。運河巡りをしていたときの光景である。
街角のココナッツ売りは、たいてい右下写真のような感じである。決して衛生的なムードではないが、飲むのは「中身」であるから、外が汚かろうと、さほど関係はない。
ココナッツ・ウォーターは大変リーズナブルである。ウィリンドン・クラブでは25ルピー(50円)支払ったが、街角では10円〜20円程度で買えるだろう。ボトル水よりも安いくらいだ。
ちなみに食あたりなどで脱水症状になったときにも、ココナッツ・ウォーターは好適。わたしも一度、お世話になった。一日に6、7個分を飲み干したおかげか、体力体重ともに落ちることなく、翌日には速やかに回復した。見事である。
つべこべ言った先から、食べ物の写真である。
今日のランチはIndigo Deli。お気に入りのシーザーサラダと、今日は「本日のおすすめ」からフェトチーニのパスタを選んだ。
この手打ちパスタが、讃岐うどんを思わせるコシと、もちもちとした食感で、かなりおいしかった。
ガーリックとブラックオリーヴが惜しみなくガンガン入っているあたり、インド的であるが、多すぎれば残せばいいだけの話である。
残さなかったが。
店内のベーカリーでパンを購入する。
ムンバイでは、ホールグレイン(全粒粉)やマルチグレイン(多種穀物/種子)のパンを作るベーカリーが増えていて、健康的で美味なパンが手軽に入手できる。
パンがおいしいので、日本米の消費量が本当に減った。白米を炊くのは多くても1週間に一度。主食はパン、チャパティ、インド米、パスタなどを交互に食している。
食べ物の話しが芋づる式に脳裏に浮かんできたので、このあたりにしておく。