無事に講演会を終え、いよいよ肩の荷を降ろし、よりいっそう羽根を伸ばして遊べるというものである。毎日、飲んで食べて、しかしこの際、増量など気にせずに、福岡を満喫するのである。
さて、今朝の西日本新聞には、早速、昨日の講演の様子が紹介されていた。
本誌「激変するインド」筆者
坂田さん、後輩にエール
香椎高「殻にとらわれないで」
取材に来てくださった国際部の藤崎さんによる記事だ。
ぶ〜な顔が気になるが、それはさておき、短い文章ながら的確に要点がまとめられており、さすが新聞記者の方の記事は違うと感銘を受けると同時に、ありがたく思う。
かなり多くの方が記事を見てくださったようで、各方面から連絡を受けた。
この記事に登場する生徒だけでなく、香椎高校に通う子どもを持つ同窓生からも、彼らが講演内容に対して興味を持ってくれたとのことを聞き、うれしく思う。
自分が高校生の時に聞きたかった言葉をちりばめて話したとはいえ、もしもわたしが当時の自分に立ち返ったとき、それを素直に吸収していたかどうかと言えば、定かではない。
今だからこそ、「知っておけばよかった」と思うことでも、当時のわたしは、弾いていたかもしれない。
そんなことを思うとき、ほんの断片だけでも、心に何かを感じてくれれば、わたしにとってもうれしいことなのだ。
スクリーンに映っているのは、我が高校時代の写真の一枚。
わたしがどこにいるか、お分かりいただけるだろうか。
写真の「84」の数字に、時の流れを感じる。
The lecture, which I did yesterday at the Kashii high school, went very well. It was introduced by the Nishinippon Shimbun (Local Newspaper) which I report about India's life every month.
I met alumni and my old teachers at the school. It was really exciting moment to meet them for the first time in 25 years.
After the lecture, I had lunch with the principal, teachers, and my family at the school.
Afterwards, I visited a couple of classes (design course) and I did short lecture about the Indian sari. They were interested in the material, design and technique of the fabric. I think it was really meaningful day.
さて、今夜の夕食はDJの相越久枝さんと共に。久枝さんは、FM熊本「マジカル・フライデー」のDJもやっており、わたしが隔週でインドをレポートしている「グローバル・ビート」というコーナーでお話をしている。
すでに1年を超えるおつきあいだが、しかしプライヴェートでお話しするのは初めてのこと。今夜、お会いできるのが楽しみだった。
岩田屋にあるスタジオで収録を終えた直後の久枝さんと待ち合わせ、彼女がお気に入りだというホテルのなかにあるダイニングへ。
そのWITH THE STYLEに入った途端、「すてきな場所!」と気に入ってしまった。壁を伝うブーゲンビリアと水辺の様子が、見慣れたインドのリゾートを彷彿とさせ、気分を和ませてもくれる。
店の雰囲気も、スタッフのサーヴィスも、そして料理の味も、とてもすばらしかったが、何よりも久枝さんとの話が本当に楽しかった。
久枝さんはわたしと同じ世代であることから、話が噛み合うということもあるが、異なる世界に生きて来ていながら、相通じる生き方のコンセプトがあって、それがまた互いのシンパシーを高めるようだった。
音楽関係の仕事に携わりながら、日本全国を常に飛び回り、「入院したとき以外、5日以上続けて同じ場所に寝たことがない」という彼女。その身軽さにも驚かされるし、これまでのキャリアや経験にも感嘆するばかり。
彼女は彼女で、わたし自身の来し方に感嘆してくれ、互いに「すごいですね〜」と言い合いながら、話が尽きない。
昨日の講演会を通しての、高校生の反応について戸惑うわたしに、現在の若い世代の心情や傾向を、わかりやすく、そして好意的に説明してくださった。それもまた、勉強になった。
これまでの仕事の話、家族の話、ミュージシャンの話、好きな音楽の話……と、話題は多岐に亘る。音楽の話もまた、こちらの数少なくも、深く愛好する音についてを親身に聞いてくださり、それがうれしかった。
話を聞くのが上手、という技術的なことを超えて、人柄のやさしみが伝わって来た。また、考え方の根底にも共通点を覚えることが多々あった。彼女がふとしたはずみに口にした言葉。
身の丈。
それはまさに、わたしのキーワードでもある。
身の丈。自分の出自についてを常に意識しながら、奢ることなく生きる。たとえ経験を積んだとしても、積んだからこその、意識すべき身の丈。さもなくば、囚われることなく飛び出して、それっきり、傍若無人になってしまう。
「身の丈に合った生き方を」という言葉が彼女の口から出た途端、わたしは思わず彼女の手を両手で握って、同感の意を表せずにはいられなかった。
また、享受しているモノに対して、対価を支払うということについても意見が一致した。音楽を「購入する」ということについてはもちろんだが、たとえばこうして日々使っているブログにしても、たとえ安い値段でも、お金を支払う。
わたしは有料サーヴィスのブログを使っている。それはお金に余裕があるなしには関係ない方針である。なぜ有料サーヴィスを使うのか、ということは、敢えてここでは説明しない。同様の考えを持つ人には、説明せずとも理解してもらえるからだ。
加えて、自分自身が「至極、普通である」と理解していることについてもまた、相通じる見解があった。
そういう「感覚的なこと」に共通点が多く、それらについて、彼女が「経験に基づいた例」という裏付けをくれることで、納得度が深まり、会話は旨味を増していく。
かくなる次第で、5時間半もの間、ひたすらに話し続けたのだった。こういう出会いを得ることができて、本当に幸せだ。
FM熊本の仕事を紹介してくれた高野さんにも感謝である。
綴りたいことは山とあれど、ともあれ、幸せな夜であった。彼女の番組に出演するべく、来週月曜日には収録の予定も入った。とても楽しみだ。
右の写真は、バスケ部の友人が携帯電話で撮ったもの。
高校の廊下の雰囲気が、いい感じ。
29日の夜には都合のつかない友人たちのことも知らせてくれた。
多くの人がここを読んでくれているらしいのもうれしい。
10月に開かれる同窓会総会に帰国するのは難しく、いつ再会できるかわからないけれど、みなが元気でいることがわかっただけでもよかった。