今回は3泊4日と短い滞在だったため、若干慌ただしかったものの、最大懸案だったインプラント2本の歯科治療が完了したし、エレファンタ島にも行ったし、オリジナルの指輪を作ったし、フェイシャルにも行ったし、マンゴー大量調達も果たしたしで、それなりに充実していた。
「愛妻による、ヘルシー&テイスティーな料理」に慣れているせいか、夫が初日の外食で胃腸の調子を悪くした。夫はわたしよりも遥かに、胃腸が繊細なのだ。従っては2日目、3日目の夕飯が地味だったのが残念といえば残念だったが、それは取るに足らないことである。
ところで昨日は、久しぶりにフライトが遅れた。しかも大幅に。
午後8時10分発の予定が、9時になり、9時10分になり……。ようやく機内に入れたのが9時半。しかし滑走路が渋滞で、離陸したのは10時半。バンガロール着が深夜0時ごろという2時間以上の遅れであった。
なんでも昨日の午後、突然に、滑走路の工事が1時間に亘って行われたらしい。その余波で、以降のフライトがどんどんどんどん、遅れて行ったようである。
突然やるなよ、という話である。これこそがインドらしさなのだけれど。まあ、翌日は土曜だし、焦っても仕方がない。機内で読書をしたり、寝たりして、つまりはノープロブレムだ。
さて、ムンバイ滞在中の写真をいくつかピックアップして、覚書を。
発売前から世間を騒がせていた、タタ・モーターズの1ラックカー(約20万円)Nano。
言うほど町中で見かけない。
たまに走っているところを見る程度だったが、先日マラバーヒルクラブの駐車場に停車しているのを発見。
近寄って、しみじみと眺めた。
鮮やかな黄色がかわいらしい。さほど安っぽくも見えない。だから何だと問われれば、返す言葉もない。
もう、インドの野菜も、どんどん骨抜きになってゆくようだ。
いやだいやだ。
わたしが来た当初の2005年には、まだあちこちで見かけた硬いトウモロコシ。
それがここ数年の間に「アメリカンなスウィートコーン」に取って代わられ。エレファンタ島でやたらに見かけた炭焼きトウモロコシの露店。このような露店こそ、昔ながらの硬いトウモロコシであるに違いないと思って買ったのに。
口にした途端、やわっ! なんじゃ〜こりゃ〜!!
えいくそっ!
と投げ出したい衝動に駆られたが、勿体ないので全部食べた。わたしは、歯が強くないわりに、がっつりと歯ごたえのある食べもが好きなのだ。
野菜にしても、せんべいにしても、鶏肉(地鶏好き)などにしても。しかしもう、だめだ。多勢に無勢だ。あの硬いトウモロコシが好きだと言うのは、日本では全人口の2%程度だろう。インドでは24%程度だろう。
少数派の嗜好は、鑑みられることなく淘汰されるのだ。嗚呼!
日本はもう久しく、甘ったるい青首ダイコンしかない。こくのないニンジンやホウレンソウしかない。トウモロコシに至っては、何をか言わんや。
インドに一縷の望みをかけていたのに。今となっては探すのにも一苦労。あのトウモロコシを、返して!
↑みっちりと実が詰まった、硬くて歯ごたえ炸裂のこのトウモロコシ@以前、コマーシャルストリートで。この黄金色の輝き。これこそが、我が愛すべきトウモロコシ。以下、硬いトウモロコシの思い出集。
夫不調とはいえ、ひとりのランチくらいは、せめて華やかなものを。
と思い、エレファンタ島の帰りに立ち寄ったコラバのIndigo Deli。
久々に、好物だったはずの薄焼きペラペラビザを注文したのだが……。
味が変わったのか、わたしの嗜好が変わったのか、エレファンタ島船旅で弱っていたのか、いまひとつの味わい。
ピザの前に、シーザーサラダを頼んだ。インドでは「高級品」なアンチョビー入りで、おいしかったが、しかし高かった。このごろは、インドの富裕層向け外食産業の値上げ著しさが、どうにも目につく。
先進国並み、もしくはそれ以上。一方、原価はといえば、非常に安い。だからこそ、その「どんどん値上げてしまえ!」と言わんばかりの値上がりには、どうにも納得がいかない。
ちなみに衣食住に関しては、「衣」も同様。インドデザイナーズばかりか、クオリティのあやしい「デザイナーズもどき」が続々登場し、しかも驚くほど高い。
などということは、今に始まったことではないのだが、取り敢えず。
2008年11月のムンバイ同時多発テロで被害を受けたオベロイホテル。
隣接するトライデントホテルはすでに営業再開をしているが、オベロイの方は大改装を行っていたため、ようやく先月になってオープンしたのだった。
インドのホテルでは、個人的にタージ系列のホテルが好きなのだが、このオベロイは、2007年のムンバイ二都市生活開始直後、数カ月に亘り夫が長期滞在していたことから、わたしもしばしば訪れていた。
吹き抜けのホール、漂うアロマ、客室の雰囲気、サーヴィス、いずれも好ましく、イタリアンのVetroや朝食にも利用していたカフェTiffinも好きだった。
営業再開後、初めて足を運び、吹き抜けのロビーを一瞥して、愕然とする。なんだか……変。莫大な予算をつぎ込んでの改築らしいが、そのコンテンポラリーなインテリアがもう、変。
まばゆいほどに白く輝く大理石。欧州からの輸入ものらしい。そして目を見張ったのが、真っ赤なグランドピアノ。赤いグランドピアノ……。嫌すぎる。
あくまでも個人的な見地からの意見であるが、これが万人受けするとも思えない。万人受けしなくてもいいのかもしれんが、落ち着かない。ロビーはだだっ広く、体育館的(失礼過ぎ)。椅子も少なく、寛げない。
ホテルとは、訪れる人を「温かく迎えるムード」が、そして滞在する人が「ほっとするような」、それでいて、日常とは異なる凛とした空気があるのが好ましいと思うのだが、これはもう、凛としたを通り過ぎて、凛々すぎる。
気を取り直して、以前Tiffinだったが店名が変わっていたダイニングでランチをとろうとメニューを見たら……。
最も安いもので、クラブハウスサンドイッチが、850ルピー。1700円もする。たかだか、サンドイッチである。これにボトル水やらコーヒーやらを頼んだら、サーヴィスチャージなんたらかんたらも加わって、軽く2500円を超えるだろう。
「特においしい料理」というわけでもないのに。
「特においしい料理」なら別なのだ。でも、単なる、ありがちな、クラブハウスサンドイッチなのだ。温かい料理好きのインド人には、普通のサンドイッチよりも、クラブハウスサンドイッチが人気なのだ。
クラブハウスサンドイッチといえば、遠い遠い昔、ロイヤルホストで、亡父がよく注文していた。フレッシュオレンジジュースとともに。
今、気になったのでロイヤルホストのサイトでクラブハウスサンドイッチを探したところ、税込みでも1102円だ。ファミリーレストランと高級ホテルのダイニングを一緒にするなと言われればそれまでだが……。
高級ホテルでは、雰囲気も、サーヴィスも、豊かな時間も得ることができる。優雅な気分を味わえる。だからこそ、少々高くても、これまではしばしば利用してきたのだが……。何かが違う。
もう、営業再開を祝する気分も失せた。第一、赤いグランドピアノを、これ以上見たくない。もう、このホテルへは、あまり来ない気がする。
ところでインドの高級ホテル。この話題、ウダイプールのホテルに滞在した時にも書いたし、タージのシーラウンジにおけるチャートのことでも書いたしで、いい加減、看過してもいいのだが、取り敢えず書いておく。
GDPの成長率、不動産の高騰、食材のインフレ率も鑑みた上で、ここ5年の、インド外食産業の価格上昇率は、行き過ぎだと思う。あくまでも、限られた場所での現象とはいえ。
トライデントホテル内の、行きつけのビューティーサロンに予約を入れておいた。
その前に、RUBY TUESDAYでランチ。
チキンバーガーとフレッシュライムソーダ。
インドにしては高いが、ホテルよりはましだ。味はそれなりだ。
さて、ビューティーサロンでは、ヘッドマッサージとペディキュア(同時進行)、そしてフェイシャルを受けた。
ここでフェイシャルを受けるのは初めてのこと。
一度、髪を切るため訪れたとき、ついでに当時進めていた仕事の調査を兼ねて、スタイリストにインド人女性の美に対する意識を尋ねていたところ、フェイシャルのテクニシャンの女性を紹介された。
彼女、ニタの知識の豊かさと、フェイシャルにかける情熱がしみじみと伝わってきて、一度彼女にフェイシャルを頼もうと思っていたのだ。
ここでは米国のダーマロジカほか、欧州のナチュラル系プロダクツも使用している。肌に合えば、特に拘りはないので、ニタに任せることにする。
なにしろ、ニューヨーク、バンガロール、ムンバイと気候の異なる場所を転々とした上に外食が多かったここ1、2カ月。お肌がボロボロになっていたのだ。
丁寧にトリートメントしてもらったお陰で、まだ傷みは残るものの、ずいぶんとましになった。フェイシャルは今後もニタに頼もうと思う。
最終日、空港に向かう前、夫とハイストリート・フェニックス(ショッピングモール)で合流。
いつまでたっても、どこかが工事をしていて完成しない、例の、「ムンバイにおけるサグラダファミリア(大聖母教会)」である。
今日も今日とて、前回と違うところが工事中。
一番新しく、かつ高級できれいなパラディアム(PALLADIUM)という棟へ。
初めて訪れたとき、ここにスイスのモーベンピックのカフェがあるのを見つけ、ほかに安くておいしいローカルのアイスクリームショップがあるのに、ここで食べる人があるだろうか……と思っていたが、食べる人は、たくさんいた。
インドの場合、明らかなる階層社会。ショッピングモールはどんどん中流層に席巻されて、富裕層は足が遠のくとのイメージだったが、デリーのDLF Emporio にせよ、このパラディアムにせよ、富裕層対象に誕生したと見られる。
従っては、モーベンピックのアイスクリームくらい、ノープロブレムな人々が訪れるのである。
ちなみに1スクープが、焼きたてのシュガーコーン付きで300円程度。思ったよりも、安い。いや、高いのか? 本当に、毎度のことながら、お金の感覚がわからなくなる。
ともあれ、ややこしいことはさておき、夫とわたしは、同じキャラメルなんたらを頼んだ。わたしと夫は、食の好みが似ているのだ。非常に濃厚で、とてもおいしかった。
インドにこんな立派な書店ができるとは、2001年に初めてインドはニューデリーの土を踏んだ時には、想像できなかった。ランドマーク (LANDMARK)という名のチェーン店だ。
わたしの知る限り、インドで最も大きい書店だと思う。文房具なども豊かに揃っている。しかも埃かぶっていない。何が驚いたって、モレスキンのノートが売られていたことだ。
それから、本の種類が非常に多い。インドは「英語が準公用語」であることから、欧米の本がそのまま流れてくる。インドの本については、たいして読みもしないくせに、あれこれと書きたいこともあるのだが、長くなるのでこのへんにしておく。
その他、DVDやCDなども、驚くほどに多彩なジャンルの商品が並んでいた。飛行機の時間があんなに遅れるとわかっていたら、ここでもっとゆっくりと過ごしたかったものだ。
非常に面白い本を1冊購入したので、それはまた後日、ご紹介したい。ちなみに場所はパラディアムの地下。
詳細は「キレイなブログ」(←Click!)に記しているので、説明は割愛するが、ともあれ、タージ・マハル・パレスのジュエリーショップに注文していた指輪を、最終日、歯医者に行った後にピックアップに訪れた。
左上写真の壊れたブレスレットと、素材不明な指輪2点が、右上写真のイアリングと指輪に生まれ変わったのだ。
このどでかい石。ムーンストーン。多くの日本人のテイストには合わないだろうが、わたしはとても気に入った。シンプルにしてほしいと頼んだ指輪の台座部分も、いい塩梅で仕上がっている。
このブレスレットを買ったころ(29歳時)は、試練の多い辛い時期でもあった。苦い思い出も詰まっている。今更ながら身につける気にはならなかったのだ。
15年以上もクローゼットの奥で眠っていたものを、こうして普段付けられるものに生まれ変わらさせることができて、本当によかった。うれしい。
ムンバイと言えば、アルフォンソーマンゴーの産地に近く、最大の市場でもある。アルフォンソーマンゴーは、マンゴーの中でも最も人気が高い。
「ミホ、空港に行く前に、必ずマンゴーを買っておいてよ。できるだけたくさん!」
と夫に念を押されていたので、歯医者やら指輪ピックアップやらの合間を縫って、買い出しに出かけることにした。
他のマンゴーに比べ、収穫の時期が少々早めで、味わえる期間が短い「モンスーン前の盛夏の風物詩」でもある。
最近では、成長を促進させるなどのケミカル(薬剤)が多用されているアルフォンソーマンゴーが出回っているとの話がしばしば聞かれる。
バンガロールでいくつか買ったが、今年は当たり年でないのか、まだ抜群の味に出会っていない。インド移住前にムンバイを訪れた時に食べたものが、一番おいしかった気がする。
わたしがマンゴーのおいしさに慣れてしまったというより、味がよくないものもたくさん出回っている気がするのだ。
そんなわけで、ケミカルフリーの高品質なマンゴーを売っている、以前住んでいたカフパレードにあるNATURE'S BASKETへ立ち寄ったところ、売り切れ!! 午後4時には入荷されますと言われたが、待てない。
仕方なく、いきつけだった果物露店で1ダースを購入するが、このままでは引き下がれぬ。マハラクシュミにあるもう一つのNATURE'S BASKETへ車を飛ばす。……と、あった!
店頭で、まだ熟れてないもの選んで箱に詰め込む。計3ダース購入。ついでに、ケサール種のマンゴーも購入。さらには夫が好きな、日本から輸入されている豆腐も10パック購入。
マンゴーは1ダース(12個入り)で600円ほど。高級品種とはいえ、リーズナブルである。結局、マンゴー36個よりも豆腐10個の方が高くついたという微妙な買い物。
アルフォンソーマンゴーには、大振りでもおいしい種があるようだが、基本は手のひらに載せてすっぽりとおさまる程度の、小振りが一般的である。
右上の写真。露店で買ったのは大振り。自然に熟させたケミカルフリーは小振りである。
最近では、大きく育てるための薬剤を用いている農家も少なくないらしい。表面がきれいすぎるものも多い。それらは味が薄くて、アルフォンソーマンゴー特有の、濃厚な芳しさに欠けている。悲しきことだ。
ちなみにマンゴーは、しっかりと熟れているものでなければ、酸っぱい。鼻を寄せれば香りたち、表面に少々シワが見えるくらいがちょうどいいはず。
焦って切ると、酸っぱい目に遭うので要注意だ。
大量購入したマンゴーは、義姉スジャータ&その夫ラグヴァンにわけたり、メイドに少し持たせたりのお裾分けもして、少しずつ味わう予定。
■Go! Go! Mango! (APRIL 17, 2004) ←このとき食べたマンゴーが、一番おいしかった。
インド発、元気なキレイを目指す日々(第二の坂田ブログ)(←Click)