インドにおける、わが身分証明書関連である。ひとつ新顔が増えた。PANカード、即ち納税者カードだ。
インド在住のわたしのステイタスは、夫がインド人であることから、PIOカード(Persons of Indian Origin)を発行してもらっている。
グレイのパスポートのような冊子がそれだ。このカードは、米国在住時、インド移住に先駆けてインド大使館で取得した。
ワシントンD.C.では、通称「大使館通り」のマサチューセッツアヴェニューに住んでいたので、徒歩でインド大使館、そして隣接する日本大使館に行けるなど、便利であった。
確か1カ月ちょっとで取得できたと記憶している。
このカードがあると、インド居住が許可されるほか、インドで仕事ができるし、土地などを購入することもできる。選挙権はない。2005年発行で2020年まで有効だ。
このカードだけでは、しかし不完全。半年に一度、国外へ出るか、必要書類を再申請せねばならない。
それを避けるためにムンバイのF.R.R.O.(Foreigners Regional Registration Officer)で申請したのがREGISTRATION REPORT AND RESIDENTIAL PERMIT、居住許可証だ。青い冊子がそれである。
簡単に偽造できそうな、そらもう、質の悪い冊子ではあるが、これとPIOカードがあれば、半年おきの国外脱出、あるいは書類申請をせずにすむ。
とはいえ、半年に一度は国外に出る日々なので、そもそもは問題ないのであるが。
それに加えて、マハラシュトラ州(ムンバイ)で取得した自動車運転免許証。これは、米国(ニューヨーク)のライセンスがあれば、筆記実技免除で、申請すれば取得できる。
とはいえ、もちろん自動車学校(業者)を通して自動車試験場まで赴き、然るべきインド的洗礼を受けて、取得に至るのだが、まあ半日ですんだので、ワンダフルな方である。
と、今ここまで書いて、過去の記録を遡ってみた。いろいろ面倒があったことを、すっかり忘れていた。やっぱりそれなりに、大変だった。
■インドの自動車運転免許証取得を巡る冒険。 (←Click!)
さて、今回取得したPANカード。これは、インドでも、わたしが独立して経済的なステイタスを持つために、必要なカードである。
実は今までの仕事は、100%、日本の企業から日本の口座に振り込まれる仕事を受けていた。
が、先日、インドに籍を置く日系企業の仕事と受けたのを機に、インドでもわたし個人の銀行口座を開き、税金も支払おうではないか、という気になった。
これまでは、インド関係の銀行口座はすべて「夫の家族」、すなわち「おまけ」としての扱いであった。クレジットカードにしても然り。
PANカード取得により、インドでも独立できた感じがして、結構うれしい。
ちなみにわたしの本名は「坂田美穂だ」。
「坂田マルハン美穂」はペンネームというか芸名というか、遊びのようなものである。
従っては、パスポートほか、すべての正式書類は「坂田美穂」である。などということを、ここで公言することもないのだが。
で、前置きが異様に長くなったが、書きたかったのは、実はPANカードの券面のことだ。なお、写真はレタッチ加工して、随所のデータを消している。
PANカードの表面にうっすら浮かびあがる、亡霊の如きガンディー。
わたしの名前の下に堂々と刻まれている名前が強烈だ。坂田泰弘。わが亡父の名である。夫の名ではなく、日本人の、しかも生存していない人の名。
米国では、公的な書類の申請時に、「母方の旧姓」(ちなみに母の旧姓は伊藤)を記入する項目が結構あるのだが、インドでは、父親の名である。
死んでいようが生きていようが、父親の名。しかも本人の名と同じフォント、サイズというインパクトで。
なんかこう、いろんな意味で、しみじみとするのである。
亡き親父も、まさか自分の名が、ガンディーに見つめられつつインドの納税カードに印刷されるとは、思いもよらなかったであろう。
正直なところ、これまでインド国内のクライアント開拓を考えたことはなかった。
が、日系企業が増えている昨今。インド国内で完結する仕事を増やすべきかもしれぬとも思い始めた。やりがいもありそうな気がする。
インド関連のレクチャー。レポート作成。記事執筆。各種プレゼンテーション。視察のコーディネーション……。
わたしの場合は、特に「ソフト」の部分が強い。
書物やデータにあらわれるような「調べればわかる」ことではなく、「調べてもわからない」部分。
即ち、実際に暮らし、日々情報を収集し、体験をしてみないことには、決してわからないような諸々、である。
たとえば、インドへ視察旅行へ来る出張者や、インドへ赴任してきたばかりの人への、インドのライフスタイルのレクチャーなどを、今後、積極的に行っていきたいとも考えている。
知っているか知らないかではもう、目に見える世界が明らかに異なる、インドのライフスタイル。
うまく使ってもらえれば、かなり役立つと自負している。業務内容に関する詳細は、下記、ホームページ内に記しているので、ご覧いただければと思う。★低予算でも、ご相談、承ります。
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