金曜の夜は、オリッサ(オディシャ)州の州都ブバネーシュワルで乳業を営む友人夫妻と夕食をとった。彼らはさまざまなキャリアを経て、9年前にミルク・マントラというスタートアップを創業。
夫スリクマールの故郷である同州で、劣悪な環境にあった酪農家を救済、同時に利潤を追求するという、社会的なビジネスを実践している。当初契約したのは7つの農家だったが、今では55,000もに増えているという。
聞けばつい最近、日経新聞でも取り上げられたとのこと。無論、記事が焦点を当てているのは、昨今のインドで広がり始めている「インパクト投資」というもの。「利益獲得」という前提に加え、「社会問題の解決」を併せ持つビジネスに対しての投資だ。
多様性の国インドにおいては、その貧富の差、所得の差は、他国に例を見ない著しさにつき、このような視点においての投資先は、無尽蔵だと思われる。無論、その多くが「前例のないビジネス」であることから、極めてチャレンジングでもある。
妻のラシュマから聞いたところによると、最初の1、2年は、投資家とのやりとりに費やしたという。我が夫の仕事も投資関係だが、フィールドが異なることから、このような話を聞く機会はあまりなかったため、極めて興味深い。
今回、彼らは家族でバンガロールへ訪れていたが、折しも同州は激しいハリケーンに襲われていた。被害が最小限にとどまっていることを願いつつ……。いつかはブバネーシュワルを訪れたい。
ちなみに、以前会った時に、ラシュマからオリッサ伝統工芸のイカット(絣:かすり)のすてきなストールをいただいていたので、わたしはギフトのほかに、もう一つ手書きのギフトを。日本語で書くと、ふざけているようにしか見えないが、「ミルク・マントラ」=「牛乳讃歌」。牛乳好きなわたしにとっては、リアルな言葉である。
◎ITで乳業の近代化に挑む、インドの新興企業 (WALL STREET JOURNAL)
◎社会問題解決型「インパクト投資」 インドで広がる (日本経済新聞)