🌿新緑の5月、マンハッタン。しかしこの時節のニューヨークの気候は不安定で、だから毎年、持参する衣類も要対応。日差しがまばゆい夏日のあとに、寒風が吹きすさぶこともある。爽やかな晴れ間が広がったかと思えば、雨が降り始めることもある。今日のマンハッタンは、二つの顔。目覚めて、カーテンを開ければ、雨に濡れるアスファルト、傘をさして行き交う人々。セントラルパークでのウォーキングを楽しみにしていたのに、仕方がない。ジムで軽く汗を流す。
🌿インドに暮らし始めて14年。毎年、この街へ来るたびに、滞在してきたのは、主にはかつて暮らしていたコロンバスサークルの近く、リンカーンセンターの前にあるエンパイア・ホテルだった。アッパーウエストサイドは住み慣れたなじみの場所ということもあり、これまでリサーチもそこそこに同じホテルを選んで来た。しかし、ここ数年はホテルの老朽化が著しく、値段に比してクオリティが低すぎると判断。今回は別のホテルにしようと、「リサーチ王」の夫による熱心な調査の結果、ワーウィックホテルが選ばれたのだった。エンパイア・ホテルのジュニア・スイートよりも2倍近くも広いスイートが、「やや割高」程度。MOMAや五番街、セントラルパークすべてが至近距離で、地の利も非常にいい。
🌿部屋で朝食をすませたあと、夫はミーティングへ。目的地は徒歩5分。便利だ。朝食は、ホールフーズ・マーケットで購入したフルーツやヨーグルト、そしてインドから持参したお気に入りのシリアルやコーヒーなど。食器類はホテルのルームサーヴィスから借りられるし、ミニバーとは別に小型冷蔵庫もついているから、私物の冷蔵も可能。かなり快適だ。
🌿身軽になったら、そのままセントラルパークへ。降るような緑が、雨に洗われて爽やかな香りを放ちつつ、目に心地よい鮮やかさ。この公園があってこその、わたしにとっては、マンハッタンだ。30代のころ、この公園に、どれほどの活力をもらったかわからない。
🌿いつものように、まずはコロンバスサークルのタイムワーナービルディングへ。新しくオープンしていたMOMOFUKUでラーメンを食べたかったが、メートルディに尋ねたところ、どの料理にもMSGが入っているという。わかってはいたものの、残念。初日に体調を崩してはいけないので、BOUCHONでランチ。なんとも眺めのいいテーブルに通してもらえたので、軽くサラダをのつもりが、スパークリングワインも注文して、旅の始まりに祝杯を挙げる。
🌿コロンブス像の向こうには、ラグジュリアスなホテル、ザ・ピエールが見える。彼が辿り着けなかったインドの、タタ財閥傘下のタージ・ホテルズが買収したホテルだ。
🌿エピ・バケットを食べながら、インド移住直前、米国東海岸から西海岸まで、大陸横断6,500kmドライヴをしたときに立ち寄ったラスヴェガスのホテルのBOUCHONを思い出す。前夜の料理がおいしくて、朝食もまた訪れ、店の人に料理がすばらしいと伝えたところ、「では、キッチンをお見せしましょう」と寛大にも案内してくれたのだ。
http://www.museny.com/2005/gowest40.htm
🌿軽くサラダのつもりが、どんぶりのような巨大な器にたっぷりのコブ・サラダ。ここはアメリカなのだ、と、思い出させてくれるヴォリューム。あれこれと思い出が脳裏を渦巻いて、綴れば尽きず。
……ともあれ、よき旅に、なりますように。