ムンバイに住んでいたころには、1日に何度もシャワーを浴びていた。特にモンスーンの時期の蒸し暑さはすさまじく、ちょっと外に出ただけで、重い空気が、全身に膜を貼るかのように。
翻ってバンガロール。空港に降り立てば、曇天ながらも軽やかな空気。水不足が懸念されるがゆえ、大雨が降って欲しいところではあるが、ともあれ過ごしやすい。
帰宅し、止まっていた柱時計のぜんまいを回す。ヤズダニ・ベーカリーに架かっていたのとおなじ、精工舎の時計。インド移住直後の2006年、コマーシャル・ストリートのアンティークショップの軒先にあるのが目に止まり、購入した。そのときにはよくわからなかったが、のちのちネットで調べると、明治時代に作られたもので、「ひまわり」というシリーズだということが判明した。
8月生まれ。ひまわり好きなわたしにとっては、出合うべくして出合った時計かもしれない。文字盤は手書き。振り子の刻印も味わい深い。一度、止まってしまったことがあったが、近所の時計修理店に持参したら、直してもらえた。
バンガロールには、英国統治時代に英国人や富裕層が使っていた家具や調度品を販売する店が、市街のあちこちにある。我が家の家具の多くは、そういう店で購入し、布を張り替えたり、ガラスや把っ手を付け替えたりして生まれ変わらせたものだ。手間はかかったが、その分、愛着がわく。当時はまだいずれも比較的、廉価で入手できたことも魅力だった。
最も多いのはティーク(チーク)材。ローズウッド(紫檀)材は高級素材だ。我が家には、一部、インドネシアのマホガニーで作られた家具もあるが、いずれもソリッドウッド(無垢材/天然木)。重くて扱いにくい半面、ソリッドウッドの家具には、独特の質感と温もりがある。
家具の話を綴るだけでも、物語は尽きず。
七夕の出会い記念日に夫が贈ってくれたフラワーアレンジメントは、百合の花が満開に。整え直したら、まだまだきれいだ。
さて、昨夜の食事は、二人ともさほど空腹ではなかったので、軽くすませようと、豚汁にした。五臓六腑に染み渡るおいしさ。豚ばら肉とはどうしてこんなにも、旨味があるのだろう。白菜と人参、高野豆腐と干し椎茸だけの地味な具ながらも、豚ばら肉とだし&味噌の旨味で、至福の味わい。
猫らは、我々の3泊4日の不在を寂しく思っていたのか、昨夜はとても甘えていた。しかし、今朝になるともう、みな、ケロッとしている。NORA姉さんは相変わらず、ガブリと噛みついたりして、本当にかわいげがない。さてさて。いつもの日々に戻るべし。