8月15日朝6時30分。拙宅に隣接するITCテックパークから大音響で流れてくるインド国歌「ジャナ・ガナ・マナ」の旋律に叩き起こされた。インドの詩人であり思想家、作曲家でもあるラビンドラナート・タゴールによって作詞作曲されたとても美しい曲だ。
しかし、国歌斉唱するには早すぎる時刻。毎年のこととはいえ、せめて9時くらいにしてもらえないだろうか。昨夜、就寝したのは午前2時。普段は7時間以上睡眠を愛するわたしにとっては、絶大なる睡眠不足だ。
起き上がれば、身体の節々が痛い。昨日の朝、「校庭を全速力で走る夢を見た」と書いたが、正夢かと思うような、昨夜は消耗ぶりであった。
英国統治時代に創設された社交クラブであるところのバンガロールクラブ。昨日は本当に久しぶりに、夫と出かけたのだった。英国からのバンドが来訪し、ABBAのトリビュートコンサートが開催されるということで、夫は早い時期からテーブルを予約していた。
我々がニューヨークで出会ったばかりのころ。カラオケルームへ一緒に行ったとき、彼がABBAの「ダンシングクイーン」を、情感を込め、しかし著しく音程を外して歌う姿に困惑した。夫が生まれた1972年にデビューしたABBA。彼にとっては過去に流行った歌であるに違いないのに、なぜそんなに熱唱する?
ABBAが好きなのはしかし、夫だけではなかった。結論から言うと、インド人の多くはABBAを愛している。だからもう、昨夜はバンガロールクラブが、かつて見たことのないくらいにケイオス、混沌の極みだった。特に中年以降、老人を含むメンバーやその家族が、もうのっけから、ステージ前で踊るのである。
そんな人々に、負けず劣らず、わたしも踊りを止められない。すべてなじみのある曲ばかり。ミスター・ビーンにしか見えないギタリストを前に、耳慣れた曲を口ずさみながら、周囲の人々みたいに全部英語で歌えたらどんなに気持ちいいだろうと思いながら踊る。
2時間あまり、踊り続けるタフなインドの人々&わたしである。今日は木曜日なのに、最早土曜の気分。今週は週休4日的気分。インドのホリデーシーズン、恐るべし。