京都滞在の最終日、錦市場を歩いているとき、白馬村で2泊目に滞在予約を入れていた宿から連絡があった。なんでも温泉のボイラーが故障したことで温泉が使えなくなったとのこと。温泉なしで構わなければ近所の湯に案内するが、宿のキャンセルや変更も代行してくれるという。
どうしようかと思いつつ、確定せぬまま東京へ。今回の白馬村は、HAKUBA BEER GARAGEを訪れることが目的だったから、それ以外のリサーチはほとんどしていなかった。しかし、どう考えても温泉が壊れた温泉宿に魅力はない。というわけで、急ぎ宿を探して決めたのが、この「ホテルシェラリゾート白馬」だった。
奇しくも、栂池(つがいけ)スキー場へ向かう途中の山あいに位置するこのホテル。同スキー場のゲレンデに面するHAKUBA BEER GARAGEまでは、車で5分ほどの距離だ。気温が低いこのあたり。ホテル周辺にはまだ桜が残り、まさに桜吹雪が舞っている。美しい。
今回の日本旅に際しては、バンガロールにいるときから「桜が見たい」と繰り返していた夫。福岡でも、京都でも、そして白馬村でも、盛りを過ぎてはいるものの、こうして桜を思う存分眺められて、本当に幸運だ。
客室数は70室あまりと多くないが、敷地は広く部屋のスペースもゆとりがある。ほぼ満室だとのことだが、混雑している様子がないのがいい。
木造建築の間近を歩いているとき、米国西海岸のヨセミテ国立公園にあるリゾート「アワニ・ホテル」が脳裏を過ぎり、米国での旅を思い出して懐かしい気持ちになる。懐かしさの理由は「シダー(杉)の香り」。まさにシエラ・ネヴァダ山脈の匂いだ。
館内の案内マップを見たところ、「建築材料はカナダから輸入。環境建築の傑作、チャールズ・ムーアのシーランチが手本でした」と小さく記されている。これは、大きく説明してほしいポイントだ。
チャールズ・ムーアは米国の建築家。シーランチ(海の牧場)とは、米国西海岸にある「シーランチ・コンドミニアム」のことだ。1965年に誕生したシーランチ・コンドミニアムは、自然環境に極力、干渉せず、人間と自然が共存する場の構築を理念として誕生している。
このリゾート。確かに老朽化は否めないが、それもまた時間の経過に伴う風化だと捉えれば風情だ。リゾートの敷地内には、教会もあり、結婚式にも利用されるとのこと。今は桜や水仙、ミズバショウなど春の花が咲いているが、これから夏にかけては益々、花々が美しくなるという。(つづく)
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