東京とは、なんと広い都市だろうと思う。東京に住んでいたころは、これが当たり前で、他国の首都と比較する術がなかった。しかし、異国を旅し体験するにつけ、東京の鉄道網の複雑な混沌を実感する。
皇居を中心に、込み入った曼荼羅のように広がる都市。その随所へ足を延ばすことなくこのごろは、銀座滞在だけで、東京旅が完結してしまう。無論、今日で銀座滞在3日目だが、銀座においてだけでも、行きたいところが尽きない。実に濃い。
2日目はサラベスを離れたあと、中央通りを歩き、お気に入りの店、鳩居堂へ赴く。最近では、ここでインドの友人たちへのお土産を調達するのが定番だ。かさばらない和の紙製品は、日本の情趣に満ちていて喜ばれる。また、昨今、ニーズの高い「日本関係のイヴェント」において、千代紙を使う機会が増えているので、良質の京友禅和紙なども購入。
そして、いつも通り、2階へ行き、お香や書道具を眺める……。と、改めて、硯箱や文鎮などの美しさに感嘆する。これまでは、時間が限られていることもあり、じっくり見ることなく去るのだが、この日は夜まで約束がなかった。
見れば見るほど、漆塗りの硯箱が美しい。
書道。わたしは、子ども時代に4年ほど習ったきりとはいえ、そこそこにできる。茶道や華道は難しいが、書道ならば、デモンストレーションも自信を持ってできる。
ジャパン・ハッバ(日本祭り)や、友人たちへのギフトを通して、「書道短冊」がどれほど喜ばれるかは、これまでも幾度となく記してきた。これまでは筆ペンで小さめの文字を記すのがメインだった。
しかし、それとは別に、着物を着て、墨を摺り、筆でしっかりと文字を書く様子を披露するだけでも、日本の伝統文化の一端を紹介できるのではないか、と思った。さすれば、硯箱や硯、筆、文鎮、水差し……きちんと揃えることにも意味がある。道具にまつわる物語を通して、日本の伝統文化の一端を語ることができる。
かくなる次第で、店員さんに手伝ってもらいつつ、1時間以上、あれこれと吟味して、書道セットを購入したのだった。
墨ひとつをとっても、石油系の廉価なものから、ごま油ほか、天然の油を使ったものなどピンからきりまで。香りを嗅ぎつつ、品定めをする。墨を摺るひとときは、心を鎮める瞑想のようなものでもあり。般若心経もこれまでは筆ペンで書いていたが、きちんと筆でしたためれば、心により、よさそうな気がする。
自分の「日本の伝統を継承したい度数」が上昇中の昨今。能動的に対象を見つめ続けていれば、自ずと審美眼が養われるものだということも学ぶ。若者対象のセミナーでは「本物を知ろう」と語っているが、その「本物」とは何なのか。改めて自分に問うている。
🥂
そして夜。ミューズ・クリエイションの同窓会で銀座のレストランへ。店内に入るなり「バブル時代、ディスコだった?」と思わせる内装。聞けばディスコではなくキャバレーだったそう。そこがおしゃれなフレンチレストランになっていて、一隅の個室に通される。
ミューズ・クリエイション「中期」から「後期」のメンバー8名が集ってのひととき。「初めまして」のメンバー同士もいることから、まずは一人5分ずつ自己紹介&近況報告タイム。みなさんお元気そうでなによりだ。
もっと大々的に同窓会を……との声もあるのだが、正直、じっくり話せるのは最大で8名〜10名程度。この夜お会いしたのは、たまたまわたしのソーシャルメディアを見て気づいてくれた人と、その方が連絡先を知っているメンバーという構成である。正直、わたしはその「ご縁」だけで、十分にうれしい。
歳を重ねれば出会いも増えて、会いたい人も増えてくる。しかし、限られた日数の一時帰国で、みんなに会うのは困難だ。ひとりの自由な時間を作っておいたおかげで、今回の旅、本当に実り豊かな出来事も多々あった。
尤も、元メンバー同士での交流の輪は、バンガロールの在住時期が重ならないひと同士でさえ、かつでの同窓会で知り合って……という感じで、随所に広がっている。わたしの一時帰国時に集っていただけるのはもちろんうれしいが、普段から折に触れて集まられているという話を聞くだけでも、ミューズ・クリエイションが存在した意味があったと思えて、わたしはうれしい。
……というわけで、大同窓会に関しては、みなさんバンガロールでやりましょう!
🇮🇳ここをご覧の関係者各位。2年後の8月下旬から9月初旬にかけて、坂田の還暦パーティを盛大に開催するので、バンガロール旅を計画に入れておいてください! ドレスコードは「白」です🇯🇵
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