金曜日。またしてもMAP/ Museum of Art & Photographyへ。特別展示会「The Kanchana Chitra Ramayana of Banaras」。黄金の『ラーマーヤナ』展が3月10日で終了することから、ミューズ・クリエイションのアクティヴティ企画でツアーを実施したのだった。ミュージアムでは、1日に一度、キュレーターによるガイドも催行されているが、時間的にタイミングが悪いこと、また絵画を取り巻くインド世界については、日本語で説明しながら巡った方が理解が深まるだろうと思われ、わたしがガイドとなった。
開催の前日、購入していた画集をざっとめくりながら予習をする。オリジナルの絵画は、あまりに精緻すぎて、非常に見づらいのだが、画集は拡大写真も載っているので非常に便利。重厚なこの本を持参して、館内を巡りつつ、説明する。
まずは、他の常設展や特別展をざっと巡った後、特別展示会へ。わたしは3度目であるが、予習したあとだと、見るべきポイントが浮かび上がってきて面白い。とはいえ、細密にもほどがあるほど細密かつ、1枚の絵画に描かれている情報量が途轍もなく多いので、本気でじっくり眺めていくと、あっという間に時間が流れる。バンガロール在住の方は、10日までに足を運ばれることをお勧めする。
それはそうと、訪問後の昨日、非常に便利なアプリケーションのことを教わった。最後の写真がそれだ。
Bloomberg Connects
https://www.bloombergconnects.org/
この無料アプリケーションをダウンロードすると、米国、英国を中心とした350を超える美術館、ギャラリー、庭園、文化スペースのコンテンツにアクセスできる。インドでは今のところ唯一、このMAP/ Museum of Art & Photographyが登録されている。ミュージアムの概要だけでなく、展示物の詳細が一作品ずつ、検索できるのだ。しかも日本語でも読むことができる。尤も、自動翻訳装置を使っての日本語なので、不自然な点は多々あるが、要点をつかむのには非常に便利。特別展示が終わったら、アプリから情報は削除されると思われるので、関心のある方は今のうちにアクセスを。
それにしても。
世界は便利になったなあと、しみじみ思う。知ろうと思えば、無尽蔵の情報へアクセスできる世界。ありがたく思うと同時に、恐ろしくもある。自分の興味関心を広げすぎてはいけない。集中力に欠いてしまう。揺るぎない確かな軸。ぶれない焦点。取捨選択する確かな審美眼……。どうでもいいような情報さえも、ついつい目で追ってしまう日々。スマートフォンとの関わり方を、改めて見直さねばと思う日々。
ミュージアムを巡ったあとは、屋上でランチ。バンガロール出自のチョコレートブランド、SMOOR (Bliss Chocolate)のカフェレストランだ。バンガロールの中心に広がるカボン・パークやUBシティを望む眺めのいい場所。一人でゆっくりミュージアムを見学し、カフェでくつろぐというのも、とてもいい。今後はもっと利用しようと思った。
この日は敢えてのサリー。このミュージアムには、テキスタイルの歴史を伝える展示も少なからずあることから、自分自身も展示物に溶け込んでみた次第。これは、インド西部グジャラート州やラジャスタン州が代表的な産地の「Ajrak アジュラック」と呼ばれる技法。数千年前、インダス文明のころに生まれたインドで最も古いテキスタイル、ハンドブロック・プリントの「更紗」だ。このサリーは10年以上前に、A HUNDRED HANDSのバザールで購入したもの。絹の生糸を原料とした「Raw Silk」であることから、表面が少しゴツゴツして見えるが、軽くて肌触りもやさしく、とても着心地がいい。
🎨圧倒的な、細密画の緻密さ! 黄金の『ラーマーヤナ』。そしてまた、ハンピ旅情(2024/2)
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🎨出会いのころを思い出し、既知の人々と再会。McKinsey のアラムナイ@MAPミュージアム(2024)
https://museindia.typepad.jp/2023/2024/01/map.html
🎨MAP/ Museum of Art & Photography バンガロールに芸術の拠点が誕生。(2022)
https://museindia.typepad.jp/2022/2022/12/map.html
🛕アヨーディヤーのヒンドゥー教寺院「ラーマ寺院」再建オープンを巡って(2024)
https://museindia.typepad.jp/2023/2024/01/hindu.html
🐒ハンピ/地球創生から現代まで。複数の次元を時間旅行(旅する前に読んでほしい!)
https://museindia.typepad.jp/2021/hampi-journey/
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