すでに日常生活に戻っている本日火曜日の朝。これから外出だが、ナンディ・ヒルズのことを書き残しておきたい。日曜日、Jayaの勧める寺院を訪れた後、ホテルのタクシードライヴァーの勧めで、もう一つ別の寺院へ赴いた。
ドライヴァーの名はナンディーシュ。ナンディ・ヒルズのナンディに因んでいる。ちなみにナンディとは、ヒンドゥー教のシヴァ神の乗り物とされる牡牛のこと。ゆえに、シヴァ神の前では、ナンディが鎮座している姿を見かけることが多い。
ナンディーシュは、このナンディ・ヒルズのそばで生まれた。1歳のとき、細菌性の熱病にかかり、高熱にうなされ、死線を彷徨い、医師からは見放された。両親は、藁をもすがる思いで、彼をナンディを祀る寺院へ連れて行ってくれたところ、回復した。それを機に、彼の名前は「ナンディーシュ」に改名された。
彼曰く、そのナンディの石像は、誰かが作ったのではなく「自然に」生まれとされ、年々成長しているという。
「ぼくが子どものころには、1メートルくらいの高さだったのに、今は倍くらいの高さです。20年間でずいぶん大きくなったんです!」
いやいや、そんなことはないでしょうと、わたしが笑ったら、声を大にして「本当です!」「僕は、嘘をつきません!」と、少々をムキになっていう。
気になって、連れて行ってもらうことにした。1枚目の写真がそれだ。
彼曰く、このナンディは最初、前に鎮座する小さなナンディくらいだったのが、どんどん大きくなった。だから、この建物も天井が拡張されたのだ……とのこと。
俄には信じ難い。正直なところ、今でも信じ難い。気になってネットで過去の写真を探すも見つからないし、もしそれが本当ならば、もっと世間の注目を集めてもいいとも思う。
それでも、ナンディーシュは、このナンディのご利益を信じていて、大きくなっているという。傍に座る僧侶も、同じことをいう。
ヴェーダ(インドの聖典)によると、今、この世界は「カリ・ユガ(闇の時代)」とされている。カリ・ユガは、人間の文明によって人々が神から遠ざけられ、霊的な堕落を引き起こすとされているという。ゆえに闇、暗黒時代なのだ。
この時代、人々の心は荒廃し、貧困や憎悪、狂気、悪疫など、あらゆる害悪が蔓延するという。ちなみに、インド哲学によると、世界は4つのユガ(時代)が循環していて、カリ・ユガは最後の段階だという。
他の3つはサティヤ・ユガ、トレーター・ユガ、そしてドヴァーパラ・ユガだとのこと。それぞれの時代が果てしなく長いので、もうわけがわからないのだが、ともあれ、そういう背景がある。ヴェーダを学ばなければわからない。勉強すべき課題が次々と。
僧侶曰く、成長するナンディは、カリ・ユガを象徴しているのだという。そして、この暗黒の時代が終わったら、立ち上がって歩き始めるのだという。
奇想天外だと一笑するも、ナンディーシュはじめ、この界隈に暮らす人たちに共感するも、自分次第。人間が作った「機械の中」に広がるネットの世界の情報を信じるのか。目の前にいる人物の言葉を信じるのか。
根源を、考えさせられる。
ともあれ、わたしが今回、久しぶりにこの地を訪れ、強いパワーを感じ、「ここもまた霊山だ……」と実感したことを裏付けるような事実が、このナンディ・ヒルズにはちりばめられている。
この丘はまた、3つの川の源流でもあり。リゾートに戻る途中、山肌に流れ落ちる滝を見た。美しい。
わずか2泊3日のご近所旅だったのに、書き残したいこと尽きず。パンデミック時代が明けてのち、ここカルナータカ州はじめ南インドの魅力に目覚めている。
「南天竺(みなみてんじく)デカン高原」という表記に親しんできた自分が、この地に引き寄せられてきた理由を、今更ながら、ひとつひとつ紐解いているようだ。
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