この日、実家に帰らずに中洲川端のホテル・オークラに滞在したのには理由があった。それは、大相撲九州場所の観戦のためである。朝から開場しているらしいが、午後3時ごろに行けば十分だろうということで、界隈を散策することに。
ホテルに隣接する博多リバレインは、和のテイストが生かされた、すてきなブランドの店舗がたくさん入っている。今回、目にとまったのは博多織の専門店OKANO。博多織といえば、独鈷(煩悩を打ち砕くとされる仏具、法器)と華皿(仏の供養の際、散布する花を入れる皿)の紋様をモチーフとした帯が有名で、それ以外の柄のことを、わたしはほとんど知らなかった。
ちなみに博多織の帯は「男帯」が最初に誕生したという。「キュッ」と心地よく締まり、崩れないことから、刀などを差す際に重宝され、江戸時代には武家、武士侍に愛用された。昨年、幾度か開催した着物の展示会でも、インド人のゲストらにこの話をした。すると、強い関心を示してくれる。SAMURAIはパワーワードだ。
店頭に並ぶ帯……だけでなく反物の、その自由な織と精緻な仕上がりのすばらしさ! 博多織がこんなにも豊かな織物だったとは知らなかった。わたしが着物世界に関心を持ち始めてちょうど1年。その深淵に、気が遠くなるような思いだ。博多織の世界にも、引き込まれる。故郷にぐいぐい、引き摺り込まれる。許可を得て撮影させていただいた。その美の片鱗をシェア。
さて、夫は過去にも、有名な櫛田神社界隈には訪れたことがあるので、今回は東長寺へ福岡大仏を見に行くことにした。わたしが昨年初めて訪れて圧倒された場所だ。途中「龍宮寺」を参拝し、その向かいにある東長寺へ。福岡大仏は、写真撮影ができないので、看板だけを載せておく。とにかく、福岡の方々よ! ぜひとも一度、ここを訪れてほしい! 太宰府の「観世音寺宝蔵」に並んで、「灯台下暗しにもほどがある」場所である。
夫も、しばらく放心したように仰ぎ見、拝んでいた。
・真言密教の祖である「空海」が「日本で最初に」建立した寺。九州八十八ケ所第一番霊場。
・美しい五重塔があることで有名だが……。
・日本最大級の木造座像の大仏「福岡大仏」が鎮座。大迫力!
・臨済宗の祖である「栄西禅師」が「日本で最初に」開山した禅寺。
・栄西は、宋での留学を経て、臨済禅とともに「茶の種」と「喫茶法」を日本へ。故に茶祖とも。
・佐賀県背振山に植えたのが日本で最初の茶だとされる。
・庭の菩提樹。案内によれば、菩提樹が日本で最初に植えられたのは、1992年、福岡市東区香椎の文治寺(現在の報恩寺)だとのこと。
・我が母校、香椎高校のすぐそば!
・インド菩提樹は、クワ科の常緑高木で「ピーパルツリー (peepal tree) 」と呼ばれる。この木は、日本や中国では育ちにくいことから、このシナノキ科の落葉高木が「菩提樹」とされたという。
・仏殿前の柱(回向柱)から伸びる「善の綱」は、ご本尊「釈迦、弥陀、弥勒」それぞれの右の御手に結ばれた金糸と繋がっている。
・回向柱に触れることで、仏様に触れることになるという。回向柱に、ありがたく、触れる。
九州場所の会場である福岡国際センターへ赴く前に、中洲川端の甘味処「鈴懸」に立ち寄る。安納芋のぜんざいを食べた。おいしかった。食欲の秋……!
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