夜明けの間際。
幾重にも重なる、幾通りもの鳥のさえずり。
わたしは、今どこにいるのだったか。
夏とはいえ、乾いた涼しい朝だがそれは、
熱帯雨林の潤った場所の、
夜明けのような響き。
彼方から汽笛の叫び。
やがて往来を行き交うオートの唸り。
グラスに一杯の水を飲み、
束の間、熱いシャワーを浴びて覚醒。
熱いジンジャーティーには、
ヒマラヤを望む村から届いた、
麗しい花々の恵みの蜂蜜が溶けている。
窓辺から、羽を震わせて蜻蛉が、
ひととき迷い込んでは、去る。
久方ぶりのミルク粥と果物が、
じわじわと、四肢に行き渡ってゆく。
午の街は、日差しが激しく容赦なく、
天と地の境目で、
紅色の花が燃えている。