昨日月曜日、インド株が大暴落したとの記事が、本日の新聞紙上を賑わせていた。
わたしは世間の金融経済事情に明るくない。株式投資云々にも暗い。だから、余計なことは書かないでいたいが、ちょっとだけ書く。
「気分」で言えば、物事万事、淀みなく上昇し続ける方が危険で、たまに下がったりもするのが、健全ではないのか? 「三歩進んで二歩下がる」という成長の方が、「我に返り」「方向を見定める」きっかけにもなろう。投資家らにとっては、そう呑気も言っていられないのであろうが。
自分で書いていながら、その無責任な内容に厭気がさしてきたので、このくらいにしておこう。
しかし「大暴落」を伝えるインドの新聞の様子には、反応せずにはいられない。インド版THE WALL STREET JOURNAL、日本経済新聞ともいうべき、THE ECONOMIC TIMES。タイトルが"BULLS HIT"。
アルヴィンド曰く、経済用語において、BULL(雄牛)は上げ相場を意味し、一方、BEAR(クマ)は不調を意味するという。
従って、「雄牛らが打撃を受けた」という意味としてのBULLS HITという見出しであろう。しかし、この2語を続けて1語にすると、と"BULLSHIT"となる。BULLSHITがどういう意味かというと、こういう意味である。汚い言葉である。
「これ、うまいやん! ふざけてるけど、おかしいやん!」
妻は言うが、夫はいかにも、インド新聞の質の低さに不満である。
「ミホ、自分が株で大きな損失を受けたとき、だいたいBullshitなんて言う? それよりも、がっくりきて、このイラストみたいに、頭を抱えるんじゃない?」
一面左上。このイラストがまた、おかしい。「あいた〜」と頭を抱える男。同じポーズの男が二人。おかしがっちゃいけないが、おかしい。真剣なんだかふざけているんだか、わからないところがおかしい。
「それに、この中面を見てよ、このタイトル。僕はもう、意味が分からないよ。」
脱力笑いをしながら夫が見せるのは、
"Honey, My Sensex's Still In Bears' Den"
Honeyっていったい……。何が言いたい?
さて、もう一紙。THE TIMES OF INDIA。このイラストがまた、劇画調。タイタニックな船をSensex(インド株式市場基準指標)に見立て、株の推移を「稲妻」で表している。なんかもう、楽しんでいるとしか思えないノリだ。
"Keep your cool, stay invested, you'll stay afloat"
自分がまずは、落ち着けよ。
ところで、THE TIMES OF INDIA。何かと紙面が軽率だ。欧米の芸能情報も多いし、無闇にエンターテインメント情報が目立つ。
日曜版は、別冊があるのだが、先々週はそこに、インドAV女優の手記を延々と載せていた。わたしは、これだけ稼いでいる、この仕事に誇りを持っているなどなど。勘違いした紙面のカジュアル化が進んでいる。
日本の男性週刊誌が、その購読者数を増やしたいがために、雑誌のコンセプトとは無関係に、無闇に女性の裸体を載せるのと近い発想であろう。
先週は若い女性の婚前交渉(古い表現!)について取り上げられていた。若いインド人女性インタヴュイーに「異性とのセックスは、カフェでコーヒーを飲むような気軽なもの」などと言わせている。
夫と二人で、大いに呆れ、その旨、スジャータ&ラグヴァンに告げたところ、THE TIMES OF INDIAは、このところ大衆化路線甚だしく、あまり質のいい新聞ではないから、ちょっと封建的ではあるがTHE HINDUに変えたほうがいいと言われた。
早速、その手続きをしたはずなのに、まだ今週も、我が家にはTHE TIMES OF INDIAが来続けている。なんでだ? ……インドだもの。