米国時代、パーティーを催していた折には、数々の料理や菓子、飲み物を準備したり、部屋の掃除をしたり、後片付けをしたりと、なかなかの肉体労働で、開催に当たっては相応の気合いが必要であった。
でもね。今じゃ、気合い不要。なにしろ家政夫モハンがいるからね。もちろん、メニューの内容はわたしが決めるのだが、今回は彼が「スナックに春巻きを作りましょう」と提案してくれたので、頼んでみることにした。
花を生けたり、食器類の準備をしたり、おつまみを盛りつけたりなどは、わたしがやるのだが、このごろはモハンも要領を得ているので、それ以外はあまり手を出さず、わたしはパーティーが始まる1時間ほど前までは、特になにもせずともよい状況である。
ところで左の写真は、義姉スジャータお勧めのチーズである。ナムダリーズで購入した。モッツァレラとパルミジャーノ。どちらも一口サイズに切ってオリーヴの実とともに出したが、パルミジャーノの方が美味だった。モッツァレラは、火を通してとろけさせるのがいいようだ。
インドは「牛が豊富」で、おいしいミルクがたくさんあるから、然るべき技術があれば、おいしいモッツァレラチーズが作れるのではないだろうかと思うのだが、どうだろう。イタリアへ、だれかチーズ作りの修行に行ったりはしないだろうか。
右側の写真は、インド的おつまみを盛りつけの図。かわいらしい木の器は、もちろんインド製。デリーの物産市場ディリハートに行ったときに買いだめ、重い思いをしてバンガロールに持ち帰ったが、コマーシャルストリートのインド雑貨店にも売っていた。
今時のインドでは流行らない、昔ながらの手作り木製品だけれど、わたしはとても気に入っている。
さて、本日のゲストは、主には若いカップル。我が家は「お子様仕様」ではないので、毎度お招きするのは大人だけだ。
今回は、それぞれの人たちとゆっくり話ができるようにと、少なめにお招きしていた。しかし、当日になってインド人同士カップルの2組が「熱が出た」とのことでキャンセルとなり(最近のバンガロールは暑さが戻ったかと思えば涼しかったり雨が降ったりで、体調を崩す人が多いよう)、結果的には日印カップル2組、日米カップル2組、日本人女性一人、インド人男性一人(ラグヴァン)のちょうど十名となった。
ちなみにスジャータはデリーに行っていて不在なのだ。結果的に言うと、皆が座ってゆっくり話ができる人数で、リラックスした雰囲気のパーティーとなり、非常によかった。
ところで、サリー姿の二人は、エミさんとヒロコさん。二人はサリー着用初体験につき、マダムマルハン(わたしだ)が「着付け」をして差し上げたのだ。
この二人もまた、サリーがよくお似合い! でも、慣れないせいか、窮屈でリラックスできない様子で(慣れると楽よ)、エミさんは夕食前にすでに、洋服に着替えていた。
マダムマルハンは本日、サリーは着ずに、二の腕もたくましく「洋装」だ。日本ではありえない露出をしてしまえるのも、おデブな人々の多い国に住んでいる醍醐味である。ふふふ。
本日は午後6時開始と、インドにしては非常に早い開場だったゆえ、2時間ほどカクテルタイム。
モハン特製春巻は、もちろん「皮」も手作りで、香ばしく揚げられたそれは、なかなかのおいしさ! そういえば、ケチャップやソースもあったのだけど、マダム、出し忘れてたな。そのままで十分、おいしかったのだもの。
いつも料理の写真を撮り忘れるので、今日はガールズ&食卓の写真を。左からインド人の夫がいるヨウコさん(右肘、負傷中)、シノさん(バンガロールに単身赴任中)、ヒロコさん(米国人夫と新婚中)と、昨日タイ旅行から戻って来たばかりのエミさん。
男子の写真は撮り忘れた。
本日の料理は、特製チキンスープ(鶏ガラだしが最高!)に続き、毎度好評のコーン入りカラフルサラダ、ラジマ(金時風の豆の煮込み)、ライタ(キュウリ入りヨーグルト)、チキンカレー、ラム肉のグリル(マダムのレシピ)、サグパニール(自家製チーズとホウレンソウのカレー)、ニンジンのインド的グラッセ、ほくほくジャガイモインド風、豆入りごはん……といったところ。
毎度定番の料理が主だが、いずれも美味なり。ここしばらくのわたしは、インド家庭料理敬遠週間が続いているが、それでもおいしく味わえた。
料理はモハンの力作ゆえ、デザートくらい、マダムが作ろうかしらんとも思ったのだけれど、結局は作らなかったゆえ、フルーツ(マンゴー、パイナップル、ライチー)といただきもののお菓子を広げる。フルーツは切るだけ、とはいえ、マンゴーはムンバイものだからね。
あの日、マダムが気合いを入れて市場で購入したあの、マンゴーの、最後の数個である。いい具合に熟していて、とてもおいしかった! みなも「甘くておいしいね〜!」と、喜んで食べてくれた。大箱2箱、買って来た甲斐があるというものだ。
と、食べ物のことばかり書いている。
なにしろ、何時間も話をしていたわけで、どういうことを話した云々などを書いていると尽きないので割愛。
ところでラグヴァンは、今日もまた、とても静かに、人の話を聞いていた。彼を見ていると、ときに無駄にしゃべる自分が虚しくさえなる。
ラグヴァン博士は、すでに何度も書いたが、ファッションに無頓着だけれど、わたしの新しいサンダルやアクセサリーなど、敏感に気づいては褒めてくれる。
今日も、数日前購入したばかりの我がサンダルに気づいて、「いいサンダルだね」と褒めてくれた。わたしの母が来たときもそうだった。観察力、抜群なのである。
自分の髪の毛が、お茶の水博士よろしく爆発していても、である。そんな矛盾が、ちょっぴりミステリアス。
ゲストが帰りしのち、最後に残ったラグヴァンが一言。
「みんな、いい人たちばっかりだったね」
そんなあなたこそ、とってもいい人。と、心中にてつぶやくわたしであった。
シャワーを浴びて後、うっかり夫の誘惑に乗り、米国対イタリア戦を見始めたら切り上げられず、すっかり夜更かしをしてしまった。
いい一日だった。