「自分の身体のことは、自分が一番よくわかっている」と、思い込んでいた訳ではないのだが、しかし、やはり思い込みはあったのかもしれぬと、予想外の結果を聞いて、思う本日。
先だって、我が家の近所にあるホテル、GRAND ASHOKにスパがオープンしたことは記したかと思う。実はその話を聞いた後、一度足を運んで、下調べをしておいたのだった。
GRAND ASHOKといえば、かつての国営ホテル。経営が民間に移ったとはいうものの、そして改築されたとはいうものの、どこか「垢抜けしない」野暮ったさがある。野暮ったいばかりでなく、そのサーヴィスがひどかったことは、去年、米国在住時の「怒濤インド旅」にて記した通りだ。
さておき、あれから一年以上も過ぎている。スパは新しい。ゴージャス、という雰囲気ではないが、そこそこにいい感じだ。
アーユルヴェーダのトリートメントを受けられる施設は、バンガロールにもいくつかあるが、なにしろここは近い。それに、トリートメントルームも新しくて清潔だ。一般の診療所や専門の施設に比べると割高にはなるけれど、ともかくは、見てもらうことにした。
アーユルヴェーダは、そもそもはケララ州が発祥の地。ケララにはアーユルヴェーダ関連の施設が数多くある。かつてケララで旅をした折、ホテル内のスパ(診療所)で、やはりトリートメントを受けたことがあった。詳しくは、こちらの記録をご覧いただきたい。
ところで、ホームページに、地味ながらアーユルヴェーダの項を設けている。内容を理解するためにも、まずはそこを読んでいただきたい。
で、わたしの場合、書物をもとに自分で分析した結果、自分の体質は、「ピッタ」が強過ぎる、と思っていた。次いで「カパ」。ところが、今日の診療で、「ヴァータ」の要素が高い、ということがわかったのだ。これは、驚きであった。
アーユルヴェーダの診療の基本は「脈をみる」ことである。
ドクターは問診のあと、脈を見て、血圧を測ったり、心音をチェックしたり、手足に触れたりしてコンディションを見てくれる。しかし、基本は脈。
わたしは、現在、腰痛以外にこれといった不調はない。強いて言えば、体重をあともう少し、できることなら5キロくらい減らしたいところではあるが、それはさておき、健康である。
ドクターも、わたしのコンディションを見ながら、特に際立った問題はなく、基本的には健康体であるという。
ただ、「体内の油分が足りない」と指摘された。
油分とは脂肪分のことではない。脂肪分なら潤沢にある。体内の、特に内臓の周囲を潤わせるべき油分が少ないため、内臓同士が滑らかに動き合えず、従っては内臓の動きが少々弱いのだと言う。内臓が滑らかに動いていないから、腰の周辺が凝りやすく、腰痛を助長しているとのこと。
脈をみることで、体内の油分までもがわかるのか、と驚く。
そういえば、米国時代に鍼のドクターから、やはり脈を見てもらった折、内臓の動きが弱いとの指摘を受けたことがあった。どちらかというと活発な自分に対して、内臓が不活発とは不似合いだな、と思ったことがある。いくら外見が活発だからといって内臓まで伴っているかと言えば、そうではないらしい。
ドクターからは、日々、たっぷりの水を飲むことを勧められる。水の中に「天然の油」が含有されていて、それが身体にもよいのだとか。一方、コーヒーやお茶、つまりカフェインを控えるように言われた。ティーパーティーをやったぱかりなのに。
その他、ヨガにおけるお勧めのポーズ、食べるべき、あるいは避けるべき食品、一日の理想的な過ごし方などを教わる。非常に興味深い。
これまでも、自分でアーユルヴェーダなどの本は読んでいたし、それなりに健康に気を配ってはいたけれど、自分の体質が実は思っていたものとは違うとわかった時点で、今まで何か「噛み合ないな」と思っていた部分が解消されるのではないか、という気がした。
ヴァータとは、そもそも、細身でなかなか太らない体質の人に多く見られる傾向だという項目があったので、頭から自分とは関係のない体質だと思い込んでいたのだ。
しかし、「細身でなかなか太らない」という部分をのぞけば、該当するところが意外とあるのである。「ヴァータの人は旅が好きで、常に動いている。同じ場所に1年以上住んでいると退屈してくる」などというあたり、まさにわたしである。
これは性格からくるものではなく、体質も関係しているらしい。
そんなわけで、今日から3日間、続けてトリートメントを受け、その後、定期的に訪れることにした。
ドクターの勧めに従って2種のトリートメントを受ける。
アーユルヴェーダのトリートメントは、二人がかりで行うのだ。まずは、上の大きな写真にある道具を用いて、簡単なプジャ(儀礼)を行う。
この道具は、宇宙の万物を構成する五大元素、つまり「空気、空間、火、水、地」を表しているという。
わたしは、腰掛け、足を水に浸され、彼女らは、チャントを唱和する。場の空気が穏やかに整ってのち、木のベッドに横たわり、トリートメントがはじまる。
二人がベッドの左右に立ち、まるで双子のように同様の動きで、オイルを身体に馴染ませてくれる。あっというまに、深い眠りについてしまう。
マッサージのあと、今度は大きな「タンポ」を温かい油に浸したあと、それで身体をポンポンと叩きながら、やはり油をしみ込ませていく。
同じトリートメントは、ケララでも、そしてLEELA PALACEでも受けたことがあったが、彼女たちの技術が最も高いように思えた。
トリートメントのあとは、スチームサウナで身体に油をなじまさせ、シャワーを浴びる。「効いている」という感じがする。
これらの本を改めて紐解きつつ、日常生活の在り方を見直し、健康を心がけていきたいものである。