本日、米国はサンクスギヴィングデーである。日本は勤労感謝の日である。インドは平日である。
昨日は予定を詰めていたので、今日はゆっくりと、ランチ、ディナーだけの会合だ。
ランチタイムは、数カ月前、インターネットを通して知り合ったルポライター、七尾和晃氏とそのご友人編集者とお会いすることになっていた。七尾氏がホテルまで迎えに来てくださり、近所の「つばめグリル」へと赴いた。
七尾さんのことは、ここでもかつて触れた。上海の「三角地菜場」が縁で、やりとりをさせていただく間柄となっていた。
彼の著書『堤義明 闇の帝国』や『銀座の怪人』に見られる彼の取材力や情熱に対して、非常に感銘を受けていたこともあり、今回、初めてお会いするのを、わたしはとても楽しみにしていた。
「ボージョレ・ヌーヴォー」で乾杯をし、前菜をつまみながら、語る語る語る……。やがて主菜のハンブルグステーキ(おいしい!)をそれぞれに注文し、食べながら、ワインも2杯目に突入し、飲みながら、いやはや話が尽きぬこと。
編集者氏は学生時代にインドを訪れたこともあるとかで、その方面の話も興味深く、しかし話はあちこちへと飛び、かなり抑制したものの、結局は6割、いや7割方は、わたしがしゃべっていたか。
ふと気がつけば、時計の針は4時近くを指している。店に入ったのはまだ正午前だったから、かれこれ4時間ほども語り続けていたことになる。しかもつばめグリルで。外はなんだか、薄暮である。
それでも、まだまだ彼らの話を聞き足りなかったと思うほどの、それは楽しい会合であった。
ところで、わたしが東京を離れたのは、30歳のときである。以来、わたしの中の「東京時間」、いや「日本時間」は、ある意味においてストップしている。
ある意味、とは、自分の年齢である。
どうも日本に帰ってくると、自分が30歳前後であると無意識のうちに思い込んでしまっているのだ。
街行く若い衆を見ていて、「同じくらいの人たち」と、自然に判断している。車窓に映る自分の顔や、トイレの鏡に映る自分の姿を見て、「おっと、間違っとる」と軌道修正する瞬間の複雑な気持ち。
米国やインドでは、他人の年齢を見た目で判断するのは困難だし、なにしろ人種が違うから比較のしようもないのだが、日本はたいていが同じ人種で同じ顔つきで、似たり寄ったりの服装をしているから、「年齢別分類」が非常にたやすくできてしまうのだ。やるつもりがなくても。
東京時代は、すれ違う人たちの「半分以上が年上」に見えたのに、今、「半分以上が年下かも」と思う年頃にさしかかっていることの歳月の重み。
それはさておき、ランチを共にした両氏は、渡米直前のわたしと同じお年頃であるのだが、世代差を全く感じさせない、不思議な親近感を覚えさせてくれた。それがまた、楽しくもあり、うれしくもあった。
In the morning, I relaxed at the hotel. At lunchtime, I met Mr. Nanao who is a reportage writer and his friend who is working at a publishing company. The editor has been to India when he was a collage student.
A couple of months ago, Mr. Nanao found my website when he was searching Shanghai's old fresh market. Since then, we exchanged our own publications, e-mails, e.t.c.
We met at a restaurant which is called "Tsubame Grill" near my hotel around noon and had lunch together. We talked about this and that many hours.
I read Mr. Nanao's two books and was inspired by both of them. I wanted know the background of his great work, but we didn't have enough time to reach the topic.
Anyway, it was great to have a conversation with them and was really enjoyable. I want them to come to India sometime soon.
ホテルへ戻り、一段落した後、今度は吉祥寺へ。ニューヨーク時代の友人、レイコさんが住んでいる街だ。夫の駐在に伴い渡米していた彼女は、去年、日本に帰国した。ニューヨークで生まれた子供たちも、それぞれ7歳、4歳と、瞬く間に成長している。
彼女はそもそも編集者で、今も少しずつ仕事を続けながら、育児をしつつ、更にはジュエリーの制作(彫金)もやっている。
吉祥寺のレンタルスペースに自分の作品を展示販売してもいる。
子供の学校や幼稚園の話、「ムシキング」のカードの話、子供と育ててるカブトムシの幼虫の話(今、40匹もの幼虫を育てているらしい!!)、息子がすっかり英語を話さなくなってしまった話など、未知の世界の数々を聞かされ、あっけにとられることしきり。
食事の後は、ニューヨーク時代も二人でときどき出かけた「からおけ」へと赴く。わたしは絶唱熱唱型なので、1時間が限度である。念のためと言いながら3時間も予約を入れていた彼女を制し、1時間だけならと、ボックスへ。
伊藤咲子の『ひまわり娘』にはじまり、わたしが知る最新の曲、aikoの『カブトムシ』を、レイコさん&息子に捧げるべく熱唱し、その後、ユーミン界へ。
高校時代の阿呆な恋を思い出させる『オールマイティ』で時空25年前にさかのぼった後、『メトロポリスの片隅で』で、男に振られ涙振り切り馬車馬のように働いていた東京時代初期を偲び、『経る時』で、今日に至るまでの東京時代8年、米国時代10年を顧み、現在の「インドな自分」に辿り着く奇妙を思う。
それにしても、ユーミンは、すごい。
歌詞とメロディーにいざなわれるがごとく、当時の記憶が心にどっと湧き出て来て、目頭が熱くなった。
帰路、ホテルへ赴く道すがら、木枯らしが冷んやりと肌に心地よい。煌めくビルの窓明かりを見つめながら、かなり大きめの鼻歌を歌いながら、歩く。
「わ〜た〜し〜は〜ゆ〜め〜見〜る シングルガール」
何を夢見ていたんだか、今となってはもう、よくわからない。
しかし、確かにわたしもまた、この街で、馬車馬ながらも夢見るシングルガールであった。
東京、ありがとう!
ニューヨーク、ありがとう!
無闇な努力も夢中も、少しずつ、少しずつ、報われつつあるような、気がするよ。
After four hours (!) of lunch, I returned the hotel and took rest for a while then went to Kichijoji. My friend Reiko who used to live in New York is living the town with her husband and children.
She explained about the life in Tokyo with kids. She is dealing with many complicated things related children's education, friendship, school culture, e.t.c.
Her firstborn son Daiki is interested in insects. Especially he likes beetle. Reiko and Daiki are breeding beetle's embryos (young worms). Can you imagine how many embryos they are taking care of? 40!! 40 embryos are living with them.
According to Reiko, she is called "a breeder" by her friends. I agreed with it. She researched about the breeding and spending time and energy to take care of them. I was really surprised her effort. It's very admiring.
After dinner, Reiko took me to a karaoke Box. We enthusiastically sang the "old" songs and was really fun.
It was a great day, again.
そしてなぜだが、品川駅周辺は、DEAN & DELUCAあり、NATHAN'Sありの、「プチ・ニューヨーク」なのであった。
ささやかな、偶然。
でも、ニューヨークは、わざわざニューヨークに出向いてこその、ニューヨークである。東京で、まるでSOHO店と双子のようなDEAN & DELUCAを見るのは、なんとなく、複雑な心境である。
A part of Shinagawa Station is presenting "New York Style". You can find DEAN & DELUCA, NATHAN'S e.t.c. It's a kind of unique coincidence.