10月に休暇でニューヨークへ行って以来、11月にはムンバイ出張や日本行きが入り慌ただしい日々が続いているが、慌ただしいのはわたしだけだったということに、今頃になって気づいた我。
「僕たち、どうして年末年始、バンガロールにいるんだっけ?」
と不満げなハニー。2泊でも3泊でもどこかに行きたいと今更言い始めた。しかし今更、旅行の計画及び実行は面倒である。
そもそも1月中旬に、親戚の結婚式でヒマラヤ山麓付近に行く予定だったから、なんとなくお茶が濁されていたのだが、結婚式がキャンセルになった今となっては、なんだか、メリハリのない年末年始である。
いずれにしても、近々デリーに行くので、そのときに、ニームラナという村にある砦の上の「古城ホテル」に泊まろうよ、とハニーはいう。
ちょうど一年前、ジャイプール旅をしたときにもそこに泊まりたかったが、結局予約がいっぱいで「お茶だけ」したのだ。すてきな場所だった。そういえば、去年のジャイプール旅のレポートは中途半端で終わったままだな。
そんなこともあり、このクリスマスムード皆無なバンガロールで、せめてクリスマス気分を味わいたいものだと思い、旅や帰国の予定がない人々に声をかけ、今日、クリスマスパーティーに招待したのだった。
ポットラックパーティーにつき、我が家ではさほど気合いをいれて準備をすることはないだろう。モハンには前菜にパコラ(インド版の天ぷら)やサモサを揚げてもらい、野菜料理を2品ほど作ってもらい、わたしはチキンのグリルとデザートでも作ろうと思っていた。
クリスマスといえば、「ターキー」だけれど、インドでターキーを食べるって話はあまり聞かないしな……。と思いつつも、昨日行きつけの肉屋BAMBURIESに電話をしたところ、ターキーを入荷しているというではないか! これは、ターキーを焼くしかない。
いやまて、我が家のインドオーヴンは米国時代の1/4くらいのチビサイズだ。ターキーが大きすぎては焼けない。聞けば一番小さいのは2.8キロだという。それは、確かに小さい。チキンに比べればもちろんぐっと大きいが、米国時代に焼いたターキーに比べると半分以下。なんとかなるだろう。
そんなわけで、ターキーを焼くことにして、昨日、モハンに買いに行ってもらっていたのだった。
ターキーを焼くからには、グレイヴィーソースやスタッフィングも必要だ。2002年のサンクスギヴィングデーのとき、初めて焼いたときのレシピで作ることにした。
あのときは初めてで勘も掴めていなかったが、今回は3回目。しかも小さい。余裕である。ちなみに2回目は母と妹がワシントンDCに遊びに来た翌2004年の冬に、やはりターキーを焼いたのだった。
さて、今日はランチのあと、マダム自らキッチンに立ち、まずはパイナップルムースを作り、冷蔵庫で冷やしておく。
もう一つのデザートはTHOM'S BAKERYで買っておいた出来合いのスポンジケーキにホイップクリームをかけ、昨日購入した「アルフォンソマンゴー」をカットして載せるだけの予定だから、サーヴする直前に準備すれば大丈夫。
さて、ターキーは、まず「掃除」から。米国のターキーに比べると、スリムで身が引き締まっている。脂肪分が極めて少ない「地鶏」風である。痩せているせいか、脚が長く見える。人間と同じね。
さて、このターキー。血抜きはしてあり、大まかな内臓は捨てられているものの、レバーなどの「必要な内臓」は胴体に入っている。それらを取り出したあと、本体に「お尻のほうから」手を入れて洗うのだが、なにやら怪しげな臓物がまだ残っている。
かなりスリリングな思いをしつつ、あやしげな臓物を取り出し尽くし、体内をすっきりと洗い上げ、余分な脂肪をカットし、塩こしょうを刷り込み、バターを表面にくっつけてオーヴンへ。
不調のオーヴン。本日は下のグリルが機能せず、上のグリルだけ。従っては、ときどきターキーを「ひっくり返しながら」の作業である。焼いている間に、スタッフィングを作る。パンやレーズン、リンゴ、タマネギなどを用いた、米国的なスタッフィングだ。
焼いている過程で溶け落ちるバターや肉汁は、焼き上げたレバーとともに、グレイヴィーソースを作るときに使用する。このソースが味の決め手である。そんなわけで、スリムなあまり安定が悪いものの、ターキーは無事に「下焼き」を終えることができた。
下焼きのすんだターキーは、体内にスタッフィングを詰め込んでおく。これを食卓に出す前に焼き直せばOKだ。
さて、クリスマスツリーはすでに飾り付けも終わっている。パーティーの1時間前に食器などの準備を整えれば、あとは自分の身支度をして準備完了。本日は、白いサリー。地方によっては、飾り気のない白いサリーはお葬式に着用するらしいが、これは飾り気があるし、白いサリーは上品な感じで好きなのだ。少々地味ではあるけれど。
ところでパーティーの数日前に急に思い立ち、参加者全員に「プレゼント持参依頼」のメールを送っておいた。クリスマスツリーの下の方がガランとしているのを見て、プレゼントが必要だと思ったのだ。
そんなわけで、一人一つ、300ルピー相当のプレゼントを持って来てもらい、プレゼント交換をすることにした次第。ちなみに上の大きな写真は、皆が輪になって音楽に合わせプレゼントを回している図である。
さて、「したい人だけ正装」というドレスコードに基づき、サリーを着て登場する人、サリーを着たかったけれど着付けをしてくれるメイドが休みで洋服の人、仕立てたばかりの初サリーのブラウスが小さすぎて着られなかった人……とさまざまあり、しかしみな、すてきな雰囲気で登場してくれた。
K子さんの青いサリーはまるで自由の女神。そして我が白いサリーは、まるで聖母マリアね。……こんな厚かましいわたしを許して。
写真左はお向かいのRさんと、当ブログおなじみのM子さん。名付けて「バンガロール・あみん」。右は正装の男子。無論、一人は仕事帰りのファッションか。
写真左:MIAちゃんはVery good girlなので、大人のクリスマスパーティーだけれど参加してもらったのだ。1カ月前に生まれたばかりのLIAちゃんは、ゲストルームのベッドですやすやと眠っていた。本当にキュートな姉妹。
写真右:皆が持ち寄ったごちそうの数々! このあとにもまだゲストが登場し、より賑やかな食卓となった。それにしても身の引き締まった脚の長いターキーでしょ?
そもそもターキーはあまり好きではないのだけれど、こうして自分で焼いてみんなで食べるターキーは、なぜかとてもおいしいのだ。特にグレイヴィーソースが我ながら上出来。
Iさんのハズバンド、英国人Kさんは、クリスマスにはターキーを食べたいと言い募っていたらしい。味覚の問題ではなく、イヴェントとして、食べずにはいられない心境だったらしい。よかったね〜、今宵、食べられて。
写真左:フォーマルなファッションがお似合いな二人は、幸福の黄色いバラの花で演出。写真右:シンメトリー(左右対照)な光景。
写真左:バンガロール・C.C.ガールズ。写真右:バンガロール・モーニング娘。(おニャン子クラブ?) 本人たちは「ボリウッドダンス」のポーズを決めている気分なのだが、どうも、客観的に見るに、違うね。
写真左:同郷だとわかって盛り上がっていた二人。しゃがみ込む土地柄か。バンガロール・うしろゆびさされ組。と命名。
写真左:うしろゆびさされ組な母とは裏腹に、おとなしく「あんぱんマン」のDVDを見るGood GirlなMiaちゃん。大人の方が、よほどうるさいかも。
写真右:朝4時起床でチェンナイ出張だったK子さんのハニー、Nさん。空港から直行(?)で、パーティーに駆けつけてくれた。よかったね、K子さん! 明日はまた早朝から日帰り出張らしいけれど、お身体に気をつけて!
食事の後、デザートの前にプレゼント交換! 300ルピー。1000円に満たない予算でも、とても楽しくすてきなギフトが手に入るのもインドならでは。
写真左:H子さんはFabindiaのカラフルなタオルを。写真右:最高に幸運なカップル。なぜって、偶然にもわたしとアルヴィンドからのプレゼントを、二人がそれぞれ受け取ったのだ! よかったね〜! 値段消してなくてごめんね〜!
みんなの料理はおいしくて、自宅パーティーのときはあまり食べないわたしであるが、今日はいつになくたっぷりと食べた。
デザートタイムは「アルフォンソマンゴー」が話題に。
「今頃、アルフォンソマンゴーを食べられるなんて!!」
「どうしてこんな季節にアルフォンソマンゴーがあるの?」
「闇ルート?」
「マダム、金にモノを言わせたね」
みな、好き勝手に言いながらも、喜んで食べている。
いかにもめでたい感じね。
ホワイトクリスマスとはほど遠い、緑一杯、椰子の木揺れる、色とりどりの花が咲くバンガロール。
こんな町でも、クリスマスのムードに浸れて、本当によかった。
インド移住後一年目。何はともあれ、こうして一年を無事に過ごせたことを幸せに思う。
去年のクリスマスはムンバイでインド社交会のクリスマスに招かれ、とてもいい経験をした。
今年はまた打って変わって、ホーミータッチなクリスマス。気の置けない友人たちと、とても楽しい夜だった。
ちなみに一昨年は、米国最後のクリスマスを予期して、米国的リゾートで米国的クリスマスを過ごしたのだった。あのグリーンブライアでのクリスマスもすばらしかった。
さて、来年のわたしたちは、いったいどこでクリスマスを過ごすのだろう。
一昨年よりも、去年よりも、そして今年よりも、少しずつ、少しずつ、いい一年を過ごせますように。
楽しい時間を共有してくれたみんな、どうもありがとう。
Merry Christmas!!
※右上写真を見たハニー曰く。
「僕の方がちょっとだけ、背が高いよね。でも、ミホの方が、顔が大きいよね」
相変わらず、ありがとね。ハニー。