●去年より暑い。
明らかに、去年より暑い。四季の変化が緩慢なバンガロールであるが、それでも温度のうねりがある。バンガロールの盛夏は4月5月のはずである。なのに、3月の今、すでに暑い。去年の今頃、母が来ていたときは、もっと涼しかった。その後、3月末から4月末にかけて、1カ月米国滞在をしていた間が最も暑い時期のはずであった。
その暑い時期が、前倒しになっているようである。室内は風の通りもよく、ひんやりとしているので、快適であるが、外へ出ると、暑い。排ガスで空気が淀み、よりいっそう暑く感じるのだろうか。
便座を求めて、LifeStyleというデパートメントストアのホーム/ インテリアのフロアへ行った。
驚いた。
移住当初の1年余前訪れたときよりも、品揃えが格段によくなっているのだ。
米国で言うところのBed Bath & Beyond的な雰囲気。そして同じような「匂い」がする。懐かしい。
もちろん、Bed Bath & Beyondに比べると商品数は少ないが、しかし、キッチン用品やバス用品、リネン類が美しくディスプレイされているだけでも、すばらしい。
移住当初は、シャワーカーテンを探すのさえ苦労したのに。ここにいろいろある。
昨日訪れたHome Stop(「片隅の風景」の「ドーナッツ」の店)の方が「進んでいる」と思っていたのだが、LifeStyleも負けてはいない。ちなみにHome Stopの開店第一号のお客様はわたくしだったのだ。なんだか遠い昔のことのようでもあり。
ともあれ、既存の店も、マイナーチェンジ(というよりメジャーチェンジ)を続けているようである。「あの店はいまいち」と決めつけず、たまには足を運んでみる必要がありそうだ。
ちなみに、目的の便座は見つからなかった。妙にファンシーなものはあったが、妙にファンシーなものは好みではない。他をあたらねばならぬ。また、電話帳(イエローページ)で探すしかなさそうだ。
●Believe me!
主要シャンデリアはデリーから取り寄せようと思っている。品質は確かだろうと思っているが、実物を見ていないので少々の不安は残る。COD (Cash on Delivery)にしてもらおうとは思っていた。店主ともそのあたり、詰めるつもりでいた。
夫には、やりとりの詳細を伝えず、ただ「デリーの業者から買うよ」と言ったところ、
「ミホ、絶対に先払いをしちゃダメだよ。商品を見てから、払うんだよ。
インド人を信じちゃダメだ。何をやるにも、警戒しなきゃ。
僕の言うことを信じなさい!」
Oh! マイハニー。その大いなる矛盾。わたしはいったい、どうすればいいの?
先日の女子の集いで印象をよくしたOlive Beach。
ランチに立ち寄った。
この店はWood Street沿いだが、このそばを通る大通り、Richmond Roadは、バンガロール市内でも最も砂塵量、排ガス量が多いと、我が体内探知機は移住当初より記録している。
そのRichmond Road沿いに、唯一のまともな肉屋Bamburiesがあるのが辛い。
車を降りて数秒歩くだけでも、たまらんのだ。
しかしOlive Beachは比較的平穏だ。木々のお陰だろう。
しかし豊かな木々も、どんどん伐採されて、空気はどんどん悪くなり、町の様子はより一層、変化して行くのだろう。わずか一年余りのうちに、緑が虚ろだ。
せめて早く、雨の季節が訪れてほしいと思う。
●緑を求めてナーセリーへ
植物園Lal Baghの界隈には、数々のナーセリー、菜園がある。移住当初もやはり、イエローページで店を探し、バルコニーに置く植物を買いに来たものだ。
今回は、観葉植物ではなく、庭に植える花や小木を求める。Landscape(景観)の専門デザイナーがいるところに頼もうと、何軒かに電話を入れる。が、デザイナーを加えると、予算がかなり高くなる。
現在、庭にはすでに花や木々がアレンジされているのだが、気に入らないので自分流に手を加えたい。となると、デザイナーを通すより、自分で好きな植物を選び、店の人と相談するのがいいかもしれないとも思う。
ある店は、
「まずは、お宅の庭を拝見して、それからご相談しましょう」
といい、ある店は、
「まず、うちのナーサリーに来て、好きな花や植物を選んでみてください」
という。
「うちの店は奥まった場所にあります。失礼ですが、マダム、発音からお察しするに、インド人ではないですよね。手前の方の店は、外国人客には高値でふっかけますから。それから、ランドスケープなんかを頼むと、無闇に高くなりますからね。自分でお好きなのを選んで植えるのがいいですよ。もちろんアドヴァイスはいたします」
なんだか親切そうな忠告ではあるが、だからってこういう人を信じるのも危険。
そういうあなたはどうなのよ。と、思わずにはいられんのだ。
疑心暗鬼パラダイスなインド生活である。
結局、その辺にある5つほどのナーサリーを歩いて回り、最も管理のよさそうなところ、種類が多そうなところを選ぶことにした。
灼熱の太陽のもと(帽子は準備しておいた)、埃っぽい小道を行き来して、店の人々と言葉を交わし、なんのことはない、最終的には以前利用した店が一番よかった。
金曜日にガーデナーが庭の状況を確認に来てくれる。そこから具体的な植物選び、予算依頼となる。一つ一つに、時間がかかる。
さて、地図を広げつつ行動を確認。ここからならコラマンガラのNandhiniが近い。というわけで、車を更に南へ走らせる。コラマンガラにオフィスを持つ友人とお茶でもしたいわ、と電話を入れるが、あいにくホワイトフィールドのご自宅だった。
なんでも、ドライヴァーが来なくなってしまったらしい。ドライヴァー不運が続いているらしい。インドではありがちとはいえ、連絡もなしに来なくなるとはひどい。なにかと、厄介の多いインドの日々である。彼女たちがまともなドライヴァーに恵まれることを祈る。
●便座らやカーテンやら。
コラマンガラでの買い物を終えたら、もう、帰りたくなったが、いやいや、便座が見つかっていない。電話帳を広げ、またしても勘を頼りに店を選ぶ。
来てみれば、Infantry Roadの近く、以前も足を運んだことのある店だった。界隈にはバスタブや洗面台などの店がいくつかある。ランプ屋や一度ソファー用の布を買ったカーテン布専門店もある。今日はここで、一気に片付けたい。
便座。あった。シンプルな木製の便座が。いや、木製もどきかもしれんが、なんだっていい。
今取り付けられている便座は、3階のNRIマダムの指摘通り、質がよくないのである。安っぽいプラスチックで、いまひとつ「お尻のおさまりが悪い感じ」なのである。
店にはいろいろな「最新モデルの便器」が並んでいる。いっそ、便器ごと取り替えたくなる。
さて、新居のトイレは合計5つ。5つの便座を買わねばならないが、サンプル1つしかない。とりあえず、1個分を前払いにし、サンプルを借り受けて実際フィットするかを確認して、電話で再注文することにした。ひとつひとつに、時間がかかる。
ともあれ、便座は一応の解決を見たので、次はカーテンだ。ベッドルームや書斎は現在使用しているカーテンを流用できるが、リヴィングとダイニングルームは吹き抜けで天井が高く、窓もえらく高いところまである。
しかも、上部はアーチ型。おしゃれではあるが、カーテンをどうやって取り付けるか、悩むところ。いろいろとカタログを見せてもらう。
むやみにひらひらとするのも鬱陶しいし、しかしちょっとはエレガントにもしたいが、いや、カーテンがうるさすぎるのもなんだな、と、だんだんわけがわからなくなってくる。
それにしてもだ。今日まで最大30%のセールだという。
「わたしは今日現在、この店に来たけれど、採寸してもらわなきゃならないから、今日購入というわけにはいかないのです。あさって採寸に来てもらって、そのあと購入する場合、割引はないの?!」
と、かなり強く押したところ「なんとかします」とのこと。なんとかしてくれることを期待。カーテンもまた、金曜日の朝、採寸に来てもらう。ナーサリーのガーデナーとカーテン職人。時間通りに来てくれるだろうか。
さもなくば、日本人マダムとのランチ会に遅れてしまう。
がんばってほしいものだ。
明日の朝は、引っ越し屋が見積もりに来る。「絶対に時間を守ってくれ」と念を押したが、守ってもらえるだろうか。
がんばってほしいものだ。