●平日ながらも、夜、夫と映画を見に行く。
インドの独立記念日に先駆けて、8月10日から上映されていた"CHAK DE! INDIA"を、ようやく今日、見に行った。ヒンディ語映画ゆえ言葉がわからないのは承知のうえで、どうしても見たかったのは、すてきシャールク・カーン氏が主演であるから。
シャールク・カーン氏(わたくしと同じ歳。というだけで親近感倍増)の役どころは、過去、インドホッケーチームの主将だったカビール・カーン。対パキスタン戦における勝敗を分つペナルティストロークで、彼のシュートはゴールを外し、チームは負けた。その敗北の瞬間のあと、落胆しながらもパキスタンチームのメンバーと握手を交わしていたところを写真に撮られる。
その写真にのせて、メディアは彼を「裏切り者」と書き立てた。ムスリム(イスラム教徒)であるカビールが、ムスリムの国である隣国パキスタンに勝たせるために敢えて負けたと仕立て上げたのだ。
英雄だったカビールは一転、チームを追われ、住まいを追い出され、そしてシーンはいきなり7年後。
女子ホッケーチームのコーチとして、再びホッケーの世界に戻って来る。そして同時に、全国各地から集まって来る個性豊かな少女たち。
その少女たちが、一つのグラウンドに集まりくるその過程が、インド的で楽しい。同じ国でありながら、地方によって言語や生活習慣、そして顔立ちなど容姿までもが異なるインド。加えて階級差の違いが彼女たちのバックグラウンドを通して透けて見える。
自己紹介の折、
「**。タミルナドゥ」
「**。マニパル」
と言う具合に、それぞれが自分の名前のあとに出身地名をいうのを、カビールは「インドチーム」としてワールドカップに出るべく力を合わせて行くのだ、と諭す。そうして、彼女らに、「**。インディア」と自己紹介をさせるのだ。
猛特訓を通して、チームメイト同士、あるいは監督と女子たちのいざこざが発生する。しかしさまざまな軋轢を乗り越えて、結果的にはワールドカップへ参加するべく、一同はオーストラリアへ飛ぶ。
世界の舞台で「インドチーム」として活躍する、という先の読めるハッピーエンドなストーリーである。
先が読めるとはいいながらも、シーンのいたるところに、スパイスが利いている。階級差、性差をめぐる社会問題にも触れながら、一つのチームを一つの国にたとえるように、味わいのある場面が出て来る。
遠征先オーストラリアでのパーティーで、普段は汚れたスポーツウエア姿の彼女らがサリー姿で登場する姿もまた印象的だった。
ところでボリウッド映画でありながら、驚くことに歌と踊りがなかった。そのことに物足りないとすら思った自分にも驚いた。なにしろ言葉がわからなかったから、歌や踊りで小休止が欲しかったというのも事実(偉そうに内容を紹介しているが、半ば憶測なので、ご了承いただきたい)。
加えて、役柄上、シャールク・カーンの「不機嫌な顔」が多かったのは、映画の内容とは関係なく、残念であった。しかも四六時中無精髭だし。それはそれで、大人の男の渋みが出ているといえば出ているのだが、彼はコミカルな演技も魅力的なのでね。また別の映画に期待しよう。
シャールク・カーンはさておき、表情豊かな少女たちの、まさに体当たりな演技がすばらしかった。思わずホッケーをしてみたくなった。
DVDが出たら、英語のサブタイトル(字幕)をつけて、復習しながらもう一度見たいと思う。
●そして遅い夕食。ババ・リンな南京酒家へ
さて、映画館を出る頃にはすでに午後10時を回っていた。自宅で軽く夕食を、と思っていたのだが、マイハニーがババ・リンの店に行きたいとうるさい。
今日はさくら会(日本人マダム)の集いがあり、ランチも外食で、結構しっかり食べ過ぎたため、わたしとしては軽くすませたかったのだが、アルヴィンドはオフィスビルのまずいランチを食べたらしく、おいしい料理で一日をしめくくりたいらしい。
それにしても、10時過ぎまで空いているだろうか。いくら夕食が遅いインドでも、平日の、しかもショッピングモール内の店である。さらには客が少ない店だ。あいにく電話番号を持っていなかったので、いちかばちか、出かける。
10時25分に店に到着。客はいない。
ラストオーダーは10時半とのこと。なんと5分前。わたしたちだけのために十名近いウエイターらがうろうろとしはじめる。人手過剰なインドとはいえ、閉店間際できっと片付けようと思っていたときにちょっと悪いとは思いつつも、うれしい。
今日は軽めにと思いつつも、しっかりたっぷり注文する。
前菜を食べ始めていたところ、どやどやと家族連れらしき6人組が入場。時計は10時40分をさしている。ま、10分くらい遅れてもいいのね。
主菜を食べていたところ、今度はビジネスマンらしき4人組が入場。時計は10時55分をさしている。ま、他のお客もいるし、いいのね。
そしてデザートにサーヴィスで出されたパパイヤを食べていたところ、友人同士らしき男女6人組がどやどやと入場。時計は11時15分をさしている。
ちょっとあなたがた、夕飯食べるの、遅すぎるんじゃない?
それはそうと、ラストオーダー10時30分というのは、あってないようなものだったらしい。融通が利き過ぎるインド。このだらしなくも緩い感じが、悪いところであり、いいところでもあり。
ともあれ、ババ・リンの店。決して繁盛しているとはいえないが、やっぱり料理はおいしいし、撤退しないでほしいものだ。シグマモールには、まもなく映画館ができる。映画館ができれば、もっとお客が増えると見た。
スジャータ&ラグヴァンも、しばしば誰かを伴って出かけているようだ。超微力ながらも、我々周辺、店の宣伝を心がけている。なんとか、がんばってほしいものである。
あれこれと頼み過ぎたので、食べきれなかった残りは「お持ち帰り」にしてもらった。
明日のランチとなることだろう。