風を部屋に招き入れよう、窓を開け放ち、
カーテンが、寄せては返す波のごとく、
ゆら〜り、ふわり、ゆら〜り、ふわり、
冷たい床に視線を落とせば、
今日もまた、小さな来客。
あいもかわらず、わくわく動物&昆虫ランドな我が家である。数日前は、キッチンに「蛾」が舞い飛んで来た。蝶はいいが、蛾はいやだ。あの胴体の太さがいやだ。が、この蛾は、飛んでいるときのオレンジが鮮明で美しかった。
アルヴィンドが、「ミホ、写真を撮って! きれいな蛾だよ!」と言うので、蛾はいやなんだけど、撮った。
いちおう苦手な人のために、小さく載せてみる。
大きくしたい人は、写真をどうぞクリックしていただきたい。
……どんなにきれいな彩りでも、やっぱり形も、いやだな。蛾は。
●来週末はモルディヴへ。
10月。2007年も終わりが見えて来た。インド生活も、いよいよ来月で丸二年を迎えるところだ。
さて今月末は半年に一度の恒例米国行きだというのに、やっぱりその前にモルディヴに行っておきたいマイハニー。わたしは悔しくも三半規管が弱い故、海に潜る、船に乗る関係が苦手なため、そんなに切羽詰まってビーチリゾートを切望しているわけでもないのだが、夫がどうにも行きたいらしい。
本日、仕事の合間を縫いながら、二人してホテルのリサーチを行う。調べ始めて初めてわかる、モルディヴのホテルの多さ。あんなに小さな島が無数にある島嶼とは、実は知らなかった。そしてまた、高級リゾートのまた、高級なことといったら!
ひと島をひとグループのみで貸し切るリゾートなんていうのもある。1泊が10,000ドル(120万円くらい)を超える。そんな余計なところを見ているだけで、無駄に時間が流れてゆく。
あれこれと、調べるほどに、深みにはまって行く。
インターネットは便利だが、宿選びのときにはいつも、泥沼化する。選択肢が多けりゃ多いで、決定打がない場合には混乱のもととなる。
今回は旅行日も迫っているし、なじみのTAJ(インド資本)のホテルが無難でいいだろうと、系列のホテルEXOTICA RESORTとCORAL REEF RESORTの2カ所に連絡をする。ところがどちらも数カ月先まで予約がいっぱいとのこと。
まずい。
いくらホテルが多いからとはいえ、人気の場所は込み合っているのが常である。モルディヴを甘く見過ぎていたようだ。途中で、「モーリシャスにしようか?」というアイデアすら出る。
が、バンガロールから直行便で1時間半で行けるからこそ、モルディヴに行きたかったんだという初心を思い出し、二人、真剣に探し始める。訪れた人のレヴューを読んだりする。途中から日本の検索サイトで探してみる。
いかにモルディヴ好きの日本人が多いかということを、初めて知った。ハネムーナーの御用達であることも知った。
そしてモルディヴ経験者の中で頻用される言葉もまた、眼に留まった。
「モルディブに、久しぶりに帰ってきました!」
とか、
「モルディヴに帰省しました」
とか。
その程度の投稿を読んでいるうちは、まだよかった。
やがて、「水コテ」とか、「ビーコテ」とかいう言葉が出て来たのを見て、だんだん気分が悪くなって来た。
「水コテ」とは「水上コーテジ」、「ビーコテ」とは、「ビーチコテージ」のことらしい。
すでにお気づきの方も少なくないと思うが、わたしはかような「短縮した言葉」を好きではない。日本にいたころからあまり好きではなかったが、日本を離れたらよりいっそう好きではなくなり、今となってはかなり嫌いになった。
理由はいろいろあるが、不便だし、英単語を覚える際の邪魔になるし、音声的にも、語感的にも、汚い。
だからこのブログでも、鬱陶しいのを覚悟の上で、デジタルカメラ、デパートメントストア、スーパーマーケット、ショッピングモール、アパートメントビルディング、リモートコントロール、インフラストラクチャー……と、たいていきっちり表記している。その方が、気持ちがよいのだ。
しかし、世間の大多数は、「短縮派」である。
それも、みながそろって、「水コテ」「水コテ」「水コテ」「水コテ」と連発しているところが、たまらん。
かような次第で、思いがけないところでストレスを溜めてしまい、再び英語サイトに移行してあれこれと探し、結局二人して丸一日かかって、宿を決め、予約をいれることができた。
宿の決定において、マイハニーはかなりの根気強さを見せてくれる。たいていわたしの方が、「もう、どこでもいい!」と投げてしまいがちになるところを、アルヴィンドが「ちょっと待った、ここのレヴューを読んでみる」と、黙々とリサーチするのである。
米国大陸横断ドライヴのときは、その成果が十二分に発揮され、サンタフェ以西の後半は非常によい宿を見つけつつ旅を続けられた。
そんなこんなで、今月もまた、あれこれと実り多き日々が待っていそうである。