季節感の抑揚浅く、今年もまた、緩やかながらも確かにあったはずの変化さえ、速やかに通過して7月。
この時節、プライヴェートの記念日、誕生日が立て続けにあり、遠いかつては、それらをいちいち祝してもいたのだが、このごろはもう、すっかり。
6月30日の米国における結婚式は今年、忘却の彼方。7月18日のインドでの結婚式は、毎年やはり、忘れがちで、だから今年は、敢えて出会い記念日の七夕に、祝すべくディナーに出かけたのだった。
8月には夫の誕生日、そしてわたしの誕生日も控えている。今年からは、NORAとの出会い1周年(7月5日)も加わって、めでたいといえば、めでたい。
このところ、食やら猫やらのブログに気を取られ、自分のことを記録する機会は激減している。ここ数週間の写真が残って放置されているのを発掘して、何枚かを残しておこう。
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久しぶりに、サリーを衝動買いした。上の写真がそれだ。インディラナガールのクリーニング店に立ち寄った際、近くにあるインド服のブティックにふらりと足を運んだ。
普段は滅多に行かないこの店。メインはクルタやモダンな衣類なのだが、店頭には、バンダニ(絞り)シルクやイカット(絣)、パトラ織り(これも絣)、カンタ刺繍など、インドの伝統的な手工芸が反映されたサリーが、数少ないものの、ディスプレイされている。
ふと、パトラ織りのサリーが目に留まった。パトラ織りとは、ダブル・イカット(経緯絣/たてよこかすり)が中心の、高度な技術を要する絣だ。グジャラート州のパタンがその故郷。
技術を持つ人が減っていることもあり、込んだデザインのものは、かなり高価である。軽く数万ルピーはするだろうと思いつつ、手に取ったところ、驚いたことに1万ルピーを切っている。
値段を付け間違えているのではないか、と思い、他のサリーを見てみる。さほど高度な技術を要せず、また時間的にも短期間で仕上がったであろうカンタ刺繍のサリーの方が、高い。
絞りのサリーは、かなり精緻であったので、2万ルピー近くするのは納得だったが、このパトラ織りの扱いの低さに驚いた。絹の質感にせよ、織りの具合にせよ、間違いなくパトラ織りである……。
この上なき、掘り出し物だ。こういう出会いがあるからこそ、サリーの世界とは、たまらない魅力にあふれている。
実はここ1年ほど、ブラウスの仕立てに行っておらず、手元に買ったままのものが2枚、残っている。明日にでも早速、新しく見つけたテイラーに持参しようと思う。
ちなみにパトラ織りに関する記事は、過去に何度か記している。関心のある方、こちらをどうぞ。
■究極の絣(かすり)、パトラ織り。 (←Click!)
■PATOLA SARI (←Click!)
このように、シルクマークのタグがついているものは、品質も確か。安心だ。
詳細はこちらのサイトを。
■KARGHAA (←Click!)
これは、天然の染料で着色された「草木染め」のハンドブロック・プリント。ロウ・シルクの質感がよく、
手づくりであることを保証するクラフトマークもついている。こうして、インドの伝統的な手工芸は、静かに保護されていると思うと、廃れつつあるとはいえ、少し安心する。
これは、AJRAKH BLOCK PRINTING。詳細はこちらを。
■KHAMIR (←Click!)
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食や猫のブログよりも、実は伝統工芸の記録について、もっと残したの方がいいのではないか、と、また関連するサイトを開いては、思う。次々に課題が沸き上がって来て困る。そうこうしているうちに、あっという間におばあさんになってしまいそうだ。
インドに移住してまもないころに購入したインドのテキスタイル、サリーの専門書と、先日購入した、インドの伝統工芸の専門書。日本のクライアント女史に教えてもらって、即、購入を決めたこの本が、実に、すばらしいのだ。
なにもかもが、芸術だ。
"Your people love art but do not sufficiently honour the handicrafts-man" Oscar Wilde
I agree with you! である。
実は、数週間前にミューズ・クリエイションのメンバー向けに、恒例の『インドのテキスタイルとサリー講座』を実施し、その数日後に開催されていたテキスタイルの展示会へ出かけたりもした。
ミューズ・クリエイションのメンバーの、サリーショッピングにお付き合いするのは、すっかり我がルーティンとなっている。
折に触れて、伝統的なテキスタイルに触れ合っておくのは、目の肥やしにもなる。なにより、インドの伝統的な手工芸に触れ合い、それをまとったときに得られる、幸せ〜な気分をシェアできるのは、うれしいものである。
これは数年前、仕事でムンバイを訪れた時、クライアントをワールドトレードセンターにご案内した際、展示会で、まさに「発掘」した掘り出し物のサリーだ。パルシーの刺繍が施された、お気に入りの一枚。これも格安で入手できた幸運の一枚であった。
2週間ほど前、ニューヨークに住む親戚が、親類の結婚式のために一家でバンガロールに来訪、TAJ WESTENDに滞在していた。ある晩、夕食に招かれたので、TAJ WESTENDをイメージしたサリーを選んで、赴いたのだった。
数年前から、50歳を過ぎたら、もっと頻繁にサリーを着ようと心に決めていた。なのにこのごろは、インド服よりも、米国時代に回帰して、ジーンズやらポロシャツやら、カジュアル路線に戻りつつある。意識的に、サリーを引っ張り出して、着用すべし、だ。
ところで、全く話題は変わるが、昨今の我がインドライフに、オンラインショッピングは不可欠である。いろいろなものを注文しては試しているが、先日、初めて植物を注文してみた。
業者が、植木鉢ごと運んでくるのだろうと思いきや……。
FEDEXのお兄さんが「段ボール」でお届けだ。驚いて、箱を開封したら、こんなにもしっかりとした植物が、ボワン、ボワン、と出て来た。びっくりである。まるで手品のようだ。
実に機能的に、しかもミニマムに梱包されていて、植物の状態も悪くない。今後は、近所のナーサリーでは入手できないタイプの植物などを注文してみようと思っている。
■NURSERY LIVE (←Click!)
七夕、夫との19周年記念日は、オベロイホテルのチャイニーズへ。サリーを着て行こうと思っていたのに、結局ぎりぎりで面倒になり、洋服にしてしまった。
実はこのところ、夫の周りで同世代の友人の離婚が立て続けに2度、あった。どちらも、米国在住時からの友人である。一組は、インド人男性と、中国系米国人の女性。
もう一組は、インドネシア人男性と、やはり中国系米国人の女性。
同じ国籍だろうが、国際結婚だろうが、結婚を維持して行くというのは、言うほど簡単なことではない。わたしも日々、修練、である。
恋愛や結婚について、大っぴらに語るつもりはないが、ともあれ、夫との結婚生活を通して、身に付いた耐性、もある。一方、自分の弱点も学ぶ日々。
色々な意味で、感謝している。
これからも……がんばります。