不安なニュースが渦巻く日々。見聞きするだけで、胃がきりきりする、頭がカーッとなる、胸が締め付けられる、呼吸が苦しくなる……それは、人間としての、普通の反応だと思う。
それでも!
今、元気で生きている人は、元気で生き続けなければならない。
少なくとも、被災地からは離れた場所に暮らしている「直接の被害を受けていない人たち」は。
誰もが経験したことのないことが起こっている。これからも起こるかもしれない。だから、誰もが試行錯誤だ。
本当をいえば、わたしは楽観主義者ではない。今回のことにしても、特段、楽観視できる要素がない。
だからといって、心身を硬直させ、悲観にさいなまれていても、事態は好転しない。
不安、心配、懸念、悲哀、罪悪感、苛立ち、恐怖……。
負のパワーは絶大だ。たとえば10人いたとする。9人が、前向きにがんばろうとしていても、1人が絶え間なく不安を口にしていると、2人、3人と、たやすく負に転じる。
瞬く間に、どんよりムード満点だ。自分の心の中にしても同じこと。正と負の葛藤が、日々展開される。
だからこそ、心に芯を通そう。ぐっと腹の底に力をいれよう。
窮地に立たされている人たちを、間接的に救うためには、元気でいることが基本なのだ。
🌿
人は、必ず、何らかの形で、いつかは死ぬ。
それは紛れのない事実だ。誰も明日の自分を知らない。その死が、あまりにも身近に、具体的に、そして悲惨な形で、一気に現れたことで、わたしたちは参っている。
しかし、参っていても仕方がない。
このごろのわたしは、自分の中の「正の感情」を天使、「負の感情」を悪魔として、ヴィジュアル化しながら、感情をコントロールしている。
天使のパワーを維持するのは、簡単なことではない。天使は丁寧にケアしてやらねば、すぐに弱る虚弱体質だから、意識的に、励まさねばならない。
悪魔は不安や緊張や苛立ちなど、ネガティヴな感情を糧にして生きているから、このような環境下では元気はつらつだ。
悪魔が心身を席巻するとき、病気になる。免疫力をつけておかねば、身も心も病んでしまう。
そのために、今大切なことは、睡眠、食事、運動(労働)、愛、希望、笑顔、娯楽……。
それらはすべて、天使の養分になる。
🌿
不謹慎を恐れて、前向きに生きる力を封じ込むのは、やめよう。
笑うことに罪悪感を覚えるのは、やめよう。
先だって、わたしは「いつも通りに」と書いた。しかし、今は思う。「いつも通りに」では、追いつかない。
「いつも以上に」元気でいる努力をするべきだと感じている。
元気を維持するために有効と思われる具体的な事柄を、記したい。
■睡眠:自分の身体の労をねぎらい、感謝して眠る。
このような状況下で平常心を保つために大切なのは、熟睡すること。睡眠時間が十分に取れない人は、少しでも心身を休める時間をとろう。寝付けない人、夜中、何度も目が覚めて熟睡できない人は、下記をひとつでもいいから、お試しあれ。
・温めたミルクにハチミツを少量入れて飲む。ターメリック(うこん)をいれるとなおよい。
・睡眠の少なくとも30分前には、テレビやコンピュータから離れる。
・灯りを落として、夜空を眺める。
・お香やアロマをたく、あるいは好みの香水などを、わずかにつける。
・自分の好きな、しかし静かな音楽を聴く。
・手書きでノートに日記を書く。
・足の裏や手のひらをマッサージする。
ベッド(布団)に横たわったら、下記のことをする。
合掌した手を上下にすりあわせて、軽く熱を起こす。そのあと、両手でやさしく自分の顔や頭部を包み込むように撫でながら、「今日も一日お疲れさまでした。神様ありがとう」と、労をねぎらい、一日を終えられたことに感謝する。
そのあと、まず左足の指先に気持ちを集める。左足のつま先から足の裏、かかと、甲……と、自分の身体の各部位ひとつひとつに対して、「お疲れさま。ゆっくり休みましょう」と、心で唱える。ふくらはぎや脛、膝、太もも……と順番にイメージしながら労ったあと、今度は右足にうつる。
次いで、左手、右手、胴体下部から徐々に丈夫へ移行しながら、同様に慰労する。最後に頭(脳みそ)に到達したところで、改めて、一日よくがんばった自分の身体にお礼をいい、ゆっくり休んでくださいと唱える。
実はここ1週間、夜中に何度も目が覚めていたのが、久しぶりに昨夜、このテクニックを思い出して実践したところ、左脚の付け根くらいのところで、記憶が途切れている。
あの日以来、初めて、一度も夜中に目を覚まさずに、今朝、爽やかに起床できた。試す価値ありだ。
■呼吸:ゆっくりと息を吸い、息を吐く。
不安や緊張が高まると、鼓動が早まり、知らず知らずのうちに「息を詰めて」しまう。これは身体の諸々の機能に悪影響を与える。
ときどき、意識的に呼吸をチェック。目を閉じて、ゆっくりと鼻から息を吸い、再びゆっくりと、鼻から息を吐き出す。
長寿の亀は、呼吸が非常に遅い。ゆっくりとした呼吸は、身体のためによい。
ヨガや呼吸法、瞑想などを行うのが一番だが、それができない人でも、意識して呼吸を整えるだけで、気持ちがぐっと落ち着く。
■温め:手足の冷えは心の冷え。お湯で温める。
手足が冷えるのは、なにも気温が低いことだけが理由ではない。呼吸が早まると、緊張感が高まり、身体の先端が冷たくなる。
そういう冷えは、靴下を履いてみたところで解消しない。手足の冷えに気づいたら、その状態を放置しない。身体を動かして温める。手足が温かいと、気持ちが落ちつく。
あるいは、湯で温める。洗面器に湯を張って低い椅子に座り、足と手を同時につけて温める。少量の湯で身体全体が暖まる。
手足に加え、疲れ目も温めると癒される。神経がピリピリすると、目の奥が熱くなり、頭がオーヴァーヒートする感じになる。頭の中が真っ白になる、という状態。
作業の手を休めて、深呼吸をしたあと、横たわり、熱いタオルで目を温める。
■食:消化によいものを、よく噛んで、しっかり食べる。
ストレス下におかれ、緊張状態が続くと、胃の働きが正常ではなくなり、消化不良を起こしやすくなる。一方、腸の方は、自律神経が失調し、収縮してしまうことから、下痢の症状に見舞われる。
胃腸の具合が不全の人は、刺激物や添加物の多い食品を控え、健康的な粗食を。食欲がなくても、食べる努力をしよう。
たとえば、お粥、あるいは柔らかめに炊いたご飯、おにぎりなどの主食に、野菜や海藻入りの味噌汁、卵焼きなど。
食欲が旺盛な人は、それはありがたいことだと感謝すべき。いつも通りに、好きなもの、おいしいもの、健康によいものをたっぷり食べよう。
食べることに罪悪感などを覚えるのは無意味。そこで我慢すれば、被災地の人に食事が届くというのなら話は別だが、違うだろう。苦しみを共有して、具合を悪くしている場合ではない。
外食OK。デパ地下OK。こんなときだからこそ、可能な人が前向きな消費活動をせねば、日本経済は益々下るばかりだ。これ以上、不景気風を吹かせてはならない。
ただし「資源の無駄を省き、節電する」ことは大切。
■娯楽を守る:人と会う。遊ぶ。楽しむ。自分のために。未来のために。
地域によっては学校も閉鎖、会社にもいけない。散歩する公園もなければ、楽しい観劇も憚られる。そんな状況で、健全な人たちが、家に引きこもって、悪いニュースに疲労困憊するのは、あまりにも、不条理だ。
こんなとき、遊べる場所をなくしてどうする。
こんなときだからこそ、エンターテインメントを持続させるべきなのだ。誰だって、心が重い。だからこそ、動こう。アミューズメントパークも、コンサートも、ライヴも、お芝居も、パチンコ屋も、ゲームセンターも、続けるべきだ。
節電しながら、ぎりぎりのところで、続けるべきだ。
身内を喪った人は別として、当事者以外は、明るい色の服を着て気持ちを高めよう。好みのジュエリーを身に付けて、お守りになってもらおう。
身ぎれいにしよう。口紅をさそう。お化粧をしよう。人と会う約束をして、出かけよう。
花を飾ろう。そろそろ、桜のころだろう。季節の移ろいに、心を配ろう。
新芽の息吹は希望だ。
■動く。働く:こんなときこそ、自分にできるヴォランティアを。
身体を動かして働く機会のない人は、社会のために、自分ができることを見つけ、身体を動かすのがいいだろう。じっと家にいるよりも、働く方がずっと心身によい。
近所のゴミ広い、草むしり、老人ホーム訪問、食料の配達……。自らできることを探しに、街へでかけよう。
■子供を守る:不安なニュースを見せない。温かい手で包み込む。
わたしが小学3年生のころ、『ノストラダムスの大予言』の映画が上映されていた。その予告編の、どれだけ恐ろしかったことか。たいへんな恐怖感に陥り、その後、久しく「地球滅亡」を恐れていた。
ちなみにその前年公開の映画『日本沈没』にも、恐怖に陥れられた。
子供時代のわたしは、体型こそ今と同様、たくましかったが、非常に繊細で神経質、不安に陥りやすい性格であった。小学5年生のときが、そのピークだった。
だからこそ、子供たちの不安が、痛いほどにわかる。ノストラダムスの大予言の予告編の恐怖を、著しく上回る現実が、テレビで、ネット上で、展開されているのだから。
それが、どれほどの衝撃を、子供たちの心に与えているか。
大人は子供に、悲惨なシーンを見せてはならない。見せたところで彼らになにができよう。世の中で今起こっていることを、静かに、伝えるべきだ。
そして、大人が必ず守ってあげるのだと、約束するべきだ。
温かな手で、子供の手を温めよう。身体を撫でてあげよう。抱きしめてあげよう。たとえ「いや〜」と言われても、一日に一回は、抱きつこう。
反抗期入りしている子供でも、絶対に不安なのだ。返事がなくても、「お父さんがついているから大丈夫」「お母さんがついているから大丈夫」と声をかけよう。
実際、大丈夫な自信がなくても、だ。
そして、質素でも、簡単でもいいから、「手をかけたもの」を食べさせよう。たとえ、店屋物しか用意できなくても、おにぎり一つくらいは、手で握ってあげよう。愛の籠った食べ物は、間違いなくシールド効果を高める。
最後にひとつ。
泣きたいときは、おいおいと、盛大に泣こう。泣いたあとに、新しい力が沸き上がって来ることもある。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。