現在、建築中の新居の家具を探している。朝のうち、ホワイトフィールドにあるデヴェロッパー (Total Environment) のショールームを、改めて見学しにいった。目星をつけている家具店のひとつが、そこに商品を展示しているからだ。
2007年に現居を購入したときとは比べ物にならないほど、昨今のインドでは多くの家具店がオープンし、オンラインでも購入できるようになった。しかし、バンガロールに店舗があるブランドは限られている。今のところ、いくつかに絞り込んでいるが、もうしばらく、吟味しようと思う。
ショールームで「感触」を確かめたあと、旧空港にほど近い、ちょうど帰路にあるThe Vintage Shopに立ち寄った。2005年の移住直後に家具を大量購入した店だ。かつては、ソリッドウッド(天然木)の、主にはヴィクトリア調の優美な家具が多かった。
新居はフランク・ロイド・ライト的な建築の意匠と調和させたく、なるたけシンプルな直線、アール・デコスタイルにしようかとも思うので、少しコンセプトが違うとも思っていた。しかし久しぶりに訪れたところ、ウエアハウスは拡充していて、「アンティークに寄せた新しい家具」と「真にアンティークな家具」とが、共に充実している。
チーク材(ティークウッド)、ローズウッド(紫檀)、マホガニー……。中でも、最も高価なローズウッドは、感触、質感ともに、魅力的だ。やはりオンラインで買うよりも、こうして埃っぽいウエアハウスを探検し、発掘するのが楽しいとの思いを新たにする。
若かりしころのわたしは、曲線が美しく、花や植物、自然の美が映されたアール・ヌーヴォーが好きだったのだが、このごろは嗜好が揺らいで、すっきりが落ち着く。2019年に直島のベネッセハウスに滞在し、安藤忠雄の建築物を肌身に感じたときの心地よさも、影響しているとも思う。
バンガロールは英国統治時代の名残が「バンガロー bungalow」と呼ばれる平屋一戸建ての邸宅や、その家具にも残されている。昨今は、次々に古い建物が壊され、行き場をなくした古い家具が、こうして買い取られて生まれ変わる。
2005年に比べると、最近は「温故知新」で古いものを修繕、塗り替えて買う人も増えたらしい。同時に、この10年余りで、値段もずいぶん上がっているが、先進諸国に比すればリーズナブルといえるだろう。鏡台は、デリーの家にある、祖母の形見を送ろうかとも思っていたが、ここにもアール・デコのアンティークな鏡台が何種類かあり、磨いて把手を付け替えれば生まれ変わりそうだ。
食器棚も理想に近いものがある。座り心地のいいローズウッドのソファーも見つかった。マットレスは好みのテキスタイルを買って別途、作ってもらえる。現居の家具も、16年使っているが、頑丈で、不具合があってもすぐに修理してもらえるところがありがたい。
古きを温めて新しきを知る、即ち「温故知新/おんこちしん」転じて、古きを磨いて新しきを生む、即ち「磨故生新/まこせいしん」などという言葉を作ってみたりする。
The Vintage Shop。久しぶりに、足を運んでよかった。
🇯🇵瀬戸内海に浮かぶアートの島、直島の旅記録(ベネッセアートサイト直島)
➡︎https://museindia.typepad.jp/2019/naosimateshima/
🇮🇳Total Environment
➡︎https://www.total-environment.com/
🇮🇳The Vintage Shop
➡︎https://www.facebook.com/thevintageshopbangalore/
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