今週土曜日の専用チャンネル・グランドオープニングに先駆けて、ぜひともじっくり見ていただきたい動画をご紹介する。
わたしが「海外在住経験のある日本人の子どもたち」即ち、帰国子女の問題に初めて関心を持ったのは、1997年のこと。当時、ニューヨークの日系出版社で現地採用として働き広告営業をしていたわたしは、ロサンゼルス支社開設を前に、同地で広告主を探すべく、出張に赴いた。その際、日本人子女を対象とした日本人経営の学習塾に立ち寄り、塾長から子どもたちの実情に関する話を聞いたことが端緒だった。
その後、ニューヨークで起業した出版社で発行していたフリーペーパー『muse new york』の最終号のテーマは「異国の地で、子どもを育てるということ」だった。
それから幾星霜。インドに移住してからも、このテーマは常に自分の中にあったが、具体的な行動に移す機会がないままだった。2019年にミューズ・クリエイションにて新しいチームEdu Museを発足しオンライン情報誌『バンガロール・ガイドブック』創刊、バンガロールの学校情報などを含め、これから情報に厚みを持たせようと思っていた矢先のCOVID-19世界。
今回のミューズ・チャリティフェストを開催し、動画で発信しようと決めた際、必ず実現したいと思ったテーマの一つが、このZOOM座談会だった。
ご両親とも親しく、今でも交流が続いている藤田杜さんに打診したところ、友人の村田倫規さんと清原思香さんに声をかけてくれた。二人とも快諾してくれ、この座談会が実現した。杜さん以外とは、ほとんど会話らしい会話をしたことがないうえ、久しぶりの再会である。
大人になった彼らが、どこまで話をしてくれるだろうかとの思いもあったが、率直な言葉を耳にすることができた。この座談会の内容は、決して、その善し悪しを評価されるべきものではない。ある日突然、それまでとは異なる世界に飛び込むことを余儀なくされた子どもたちが、どのように感じ、生きてきたか。そのかけがえのない、ひとつひとつの例を、シェアしてもらっているばかりだ。
彼らの言葉から、あるいは言葉の向こう側から、何を感じ取るかは、人それぞれだろう。いずれにしても、将来、子どもを連れて海外に暮らそうと考える人にとって、参考になるエピソードは必ずあるはずだ。
なお、子ども座談会の場合は、彼らの視点から話を聞いている。ご両親にとってはまた、同じ事柄一つを取っても、異なる思いがおありだろう。近い将来、「異国の地で、子どもを育ててきた」あるいは「育てている」方々の本音を伺うべく、座談会を企画している。
ともあれ、まずはこの示唆に富んだ36分54秒。ぜひ、ご覧いただければと思う。