これまで記す機会を逸していたが、わたしは、10月より1年間の予定で、日本の女子大生をインターンとして受け入れている。Muse Creataion(NGO)とOKaeri Ventures(ビジネス)の両側面……いや、坂田マルハン美穂「全面」の指導による修行だ。
バンガロールでのインターンを希望する若者からの問い合わせは少なくない。特にパンデミック明け以降、その数は増えている。そんな中、今年2月、他の学生よりも、かなり熱量の高いメールが届いた。日本の官民協働の留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」のプログラムに応募すべく、インターン先の一つとして1年間、自分を受け入れてほしいというものだった。
正直なところ、わたしは1年もの長い間、インターン生を受け入れるつもりはなかった。しかし聞けば、もう1社、バンガロール拠点の日系ヴェンチャーキャピタル、Beyond Next Venturesでのインターンがメインだという。そちらに在籍しながら、ミューズ・クリエイションでも活動をしたいとのことだったので、オンライン・ミーティングを設けたのだった。
わたしは、Beyond Next VenturesのCEOである伊藤夫妻とは交流があり、同業の我が夫とも面識があることから、話は早かった。申請の資料などは、ミューズ・クリエイションからも提出したが、住まいや査証などはBeyond Next Venturesがサポートしている。
わたしが6月に一時帰国し、京都を訪れた際、彼女、入江真樺(まなか)さんが神戸から会いにきたので、ランチを共にした。その後、彼女は無事に「トビタテ!留学JAPAN」の書類審査や面接を経て無事合格し、晴れてバンガロールへ来た次第。
現在、真樺さんは毎週金曜日に、わたしと行動を共にしている。彼女はわたしから、さまざまを吸収したいとの意気込みがあるので、わたしも塩梅を見つつ対応している。
なにしろ、わたしが35年間の社会人人生で培ってきた経験を「あらゆる側面」から教授するわけで、週に一度とはいえ濃い。できればあと数名、まとめて同時に指導したいとさえ思う。
わたしが若者向けのセミナーを本格的に始動したのはちょうど10年前の2013年。以来、バンガロールを訪れるインターン生をはじめ、一時帰国時にも、福岡や下関、兵庫など、依頼を受けた大学に立ち寄り、語ってきた。
また、バンガロールを訪れるインターン生にも対応してきた。日本の学生だけでなく、わたしに関心を持ってくれたインドの女子大生を受け入れた時期もあった。しかしいずれも数週間から数カ月、それも毎日というわけではなかったので、今回のようなケースはわたしにとっても初めてのことだ。ゆえに、それなりの準備もしてきた。
その一つが、ミューズ・クリエイションの本格再起動。2012年以来の活動内容やコンセプトを整理し、今後の取り組みを資料にまとめた。かなり膨大な量となったが、誰がみてもどういう団体かが理解できるよう編集している。現在、ミューズ・クリエイションはWhatsAppのコミュニティ機能を活用して賛同者を募り、諸々の企画を実現しつつあるが、それも真樺さんをはじめとする積極的な活動を望む有志が、速やかに活動できるような土壌を提供したいと考えてのことだ。
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先週の土曜日は、真樺さんのリクエストを受けて、OKaeri Ventures主催「若者向け グローバル + インド・ライフ研修会」を実施した。「セミナー」と呼ぶにはあまりにも濃く、時間も長くなるので、参加者にはがっつりと心構えをして挑んでもらうべく、研修会である。
今回、高校生から大人まで11名が参加。あらかじめ、Youtubeにアップロードしている「インド・ライフスタイルセミナー必修編」5本のうち、少なくとも最初の3本は見てもらっての参加を依頼した。
内容は、わたしの経験を軸にしたもの。「高度経済成長期に生まれ育ち、バブル経済真っ只中の時代に大学生活を送り、まだワープロすら普及していない時代の編集プロダクションに就職し、手書きの原稿とフィルムの写真での編集者時代を経て、地図とノートを携えて旅をし……」という、激動の社会人生活35年を「50年分の紙記録」の一部を提示しながら語った。
途中で休憩を入れようかと促すも、みな熱心に数時間、聞き入ってくれた。昨今の若者は短時間で集中が切れがちだと予測していたが、みな真剣に聞き入ってくれて手応えを感じた。
わたしが24歳のとき、初めて「ワープロ入力」をしたときの「日記」を読み上げると、感嘆の声があがった。そう。今なら入力するのに3分もかからないであろう短い文章を、30分もかけて入力しているのだ。
彼らにとって、わたしが経験してきたアナログ時代のエピソードは、ある意味、新鮮だったに違いない。わたしもまた、彼らの反応から学ぶところも多々あり、今後の若者向け「研修会」の方向性を決める契機ともなった。午後2時から始まり、親睦会が終わったのは夜11時。「もう帰った方がいいんじゃない?」と促しての解散だった。
なお! これは学生向けなので破格値で提供しているので、念のため。研修会のあとの親睦会やら夕飯やらで、もはやビジネスとは言い難いが、これもまたわたしなりのフィランソロピーということで、楽しみつつやっていこう。