今日のトピックスのキーワードを並べてみたら、ずいぶん気持ち悪い感じのタイトルになってしまった。特にワインと牛乳と蛇とマンゴーの取り合わせが悪すぎる。ともあれ、話そのものは、そう、悪くはない。はず……。
●インドのワインが、おいしくなってきて、うれしい。
年を重ねるごとに、インド産のワインがおいしくなっている。
これまでは、マハラシュトラ州のナシック (NASIK) で生産されるSULAワインが一番好みだったが、ここにきて、カルナタカ州はバンガロール郊外のナンディ・ヒル (NANDI HILLS) 産のGROVERのワインが、かなりおいしい。
ミッシェル・ロラン (Michel Rolland) という、世界的に著名なワインの醸造家(エノロジスト)とのコラボレーションらしいが、その成果が出ているということだろうか。
上の写真は、アートコレクションと称したリーズナブルなワイン。425ルピーと廉価ながら、赤白ともにいけるのだ。赤ワインは、上質(といっても500ルピー)のLe Reserveも購入した。飲んでみるのが楽しみだ。
ところで、以前も記した通り、インドの酒税が「変な風に」変わったため、バンガロール宅では同州産の酒税が安いGROVERを、ムンバイ宅では同州産のSULAを愛飲している。
この酒税の在り方、どうにも間違っている気がするのだが、ともあれややこしい話はさておいて、日々のワインがおいしいのは、うれしいものである。
今まで何度か書いていながら、しかし写真を載せる機会はなかった気がする。
これが、インドの定番の牛乳である。
わたしはこの、コクのある、濃厚な牛乳が大好きだ。
ちなみに周辺日本人の多くは、匂いが強いとか膜が張るのが苦手だことで、好きだという人をあまり聞かない。悲しいかな、「臭い」とまでいう人がいる。
実際、日本や米国のさらさらで味気ない牛乳に慣れていたら、そう思うに違いない。米国の牛乳は、日本のそれよりも薄くて「すけすけ」で、渡米当時は驚いたものだ。
そんな次第なので、試してみて口に合わなかったとしても、わたしを責めないでほしい。
このビニル袋入り牛乳は、防腐剤などが一切入っていないので、日付の新しいもの(一両日中)を購入したらすぐに煮沸せねばならない。それが面倒だという人も多いが、煮沸は必須である。
濃厚なマサラチャイを作るにも、カフェラテを作るにも、この牛乳でならおいしくできる。ちなみに写真はヘリテージ(HERITAGE)だが、ニルギリズ (NILGIRI'S) の牛乳もおいしい。
なお、「フルクリーム」という脂肪分が多すぎるものもあるので、興味のある方は、「フルクリーム」以外のスタンダードなものから試してみるとよいだろう。
そういえば、移住当初、まだ近所にスーパーマーケットなどが少なかったころ、ニルギリズの牛乳配達を頼んでいたのだった。今となっては懐かしい、ミルク手帳にミルク券(←文字をクリック)。
尤も、今でも地元では牛乳配達は一般的だが、わたしは移動が多い上、最近では手軽にスーパーマーケットで手に入るようになったことから、配達はやめてしまった。
ところで、牛乳を沸騰させて冷ましたあと、冷蔵庫にいれておくと、上に膜ができる。牛乳が濃厚なだけに、その膜はまさに「クリーム色」をしたクリーム状のものとなる。
このマライと呼ばれるクリームが、実は優れものなのだ。
膜だけを除去して集めておき、「生クリーム」として用いる。たとえばクリームシチューなどに使ってもいいし、肉をマリネする時に用いて、クリーミーにしたりもできる。
スジャータはチョコレートケーキを焼いた時に、生クリームがないときなど、このマライを一緒に出してくれる。濃厚なチョコレートケーキに載せて食べると、風味がマイルドになっておいしいのだ。
見た目は今ひとつだが、いっそデヴォンシャークリーム、とさえ呼んでしまいたいくらいである。
そのまま食べるのに抵抗がある人は、ぜひともクリームソースなどに使ってみてほしい。というか、その前に、その牛乳が好きかどうかが問題なのだが。
ちなみに最近では、殺菌されたパック入りのロングライフの牛乳が、さまざまな乳製品会社から発売されているが、わたしは断然、面倒だが、沸騰させる牛乳が好きである。
土曜の朝、スジャータとアルヴィンドと3人で、のんびりと庭で朝食を食べながら、話をしていた。
なにかのはずみで、蛇の話が出た。
マイソールで、蛇がたくさん出たため、村人が住処の木ごと、めちゃめちゃに破壊して、蛇を殺してしまったとのこと。
その話を、スジャータは悲しいもの、として語った。
インドには、スネークチャーマー(蛇使い)のように、昔から蛇とコミュニケーションを取れる人たちがいる。
その人たちを呼んで、蛇をどこか別の場所へ連れて行けばいいだけの話なのに、とも言う。
一般に、インドでは生き物をむやみに殺生しない。宗教柄、殺生を著しく嫌う人々も多い。そんな中で、その蛇殺しの話は、かなりセンセーショナルでもあったのだ。
その話から、太宰治の『斜陽』を思い出した。そういえば、太宰の生誕100周年の記念祭のようなものが執り行われていると、前日のニュースで読んだ気がする。
書棚を探したら、古ぼけた文庫本が出て来た。大学時代に買ったものだ。土曜の夜は、のんびりと、ワインを片手に『斜陽』を読んだ。
なんとも、感想を言いがたい。
軽いんだか、重いんだか、悲劇なんだか、喜劇なんだか。
つまりは、まさに、マイ・コメディアン。
24日はスジャータの誕生日。
しかし彼女はデリーに行き、それから家族揃ってスイス&トルコの旅に出かけるため、一緒に祝せない。
従っては早めに、土曜日の午後、誕生日を祝した。
といっても、プレゼントもケーキも用意していない。従っては、アルヴィンドがムンバイから持って来た1ダースのアルフォンソ・マンゴーの、最後の3つを盛りつけて、真ん中にキャンドルをともした。
今年最後であろう、アルフォンソマンゴーマンゴーで、誕生日を祝す。
ラグヴァンが戻って来たら、また改めて、きちんと祝いましょうと言いながら、これはこれで、一つの祝福。
土曜の午後、スジャータが帰宅する前に、スクラブルをやろうと夫が言う。
スクラブルとは、手持ちの駒と、盤上の駒とで英単語を作り上げていく遊び。
知っている単語の数が、二人に比べて圧倒的に少ないわたしには、不利な遊びである。
最初からやる気がない上に、一人でワインを飲んでいて、半ば酔っぱらい。
しかしアルヴィンドがしつこく誘うので、しぶしぶ参加する。
案の定、JETとか、ARTとか、短くて簡単な単語しか思い浮かばない。
勉強にはなるが、勉強したくない気分で、しかし3人ともやたらと真剣。結果は、スジャータ、アルヴィンド、そしてわたしの順。
「ミホも、なかなかやるじゃない!」
とアルヴィンドに言われるも、別にうれしくないんですけど。という感じで。
食事中のテレビは、当然ながら禁止である。
しかし日曜は、アルヴィンドがしつこいので例外とした。
というよりも、夕飯が簡単一品料理だけだったので、食事に集中されても何だな、という思いもあり。
さて、なにをそこまでして見たいのか、といえば、クリケットである。
おなじみ、インドの国民的スポーツだ。
なんだか、ともかく、よくわからんが、すでにインドは敗退しているというのだが、しかしスリランカとパキスタンだかの試合を見たいのだという。
テレビディナーを許可した途端、喜んでサイドテーブルを移動したりして、速やかに自分の食卓を作り上げるなど、普段は見せない機敏さを見せる夫。に驚く。
食事は我が家の簡単料理の定番であることの、鶏肉丸ごとスープ。
わたしはといえば、久しぶりにマッサージに来てもらったこともあり、料理をする気力がなく、簡単にまとめたのだった。しかしこれが薬膳的でよい。
限られた素材の都合上、今日はかなり大量のタマネギを切って入れる。それからニンジンと、ネギも入れる。他に野菜がなかったので、冷凍のグリーンピー、そしてショウガを投入し、脂身などを取り除いた丸ごと鶏肉をいれる。
今回は、和風テイストにするべく、昆布などもいれて出汁に深みを出す。あとは醤油などで味付けて、圧力鍋で火を通すだけ。おいしくて、ヘルシーで、わたしたちのお気に入りだ。
この日はタマネギが主役だったが、それらの大半が溶けて、スープが驚くほど甘くなり、風味豊かでおいしかった。
翌日は、わたしは麺を入れてラーメン風に。夫はリゾットがいいというので、別の鍋で、米を入れて炊いた。どちらもかなり、美味である。
日曜の午後、思い立って、蒸しパンを作ってみた。
蒸すための小道具がないため、ずいぶんとダイナミックなことになった。
見た目はともあれ、味がよければよいのだ。
小麦粉は、無精製のATTAを使った。
砂糖には、インドのジャガリ(椰子から穫れる砂糖)を使った。
レシピの砂糖があまりに多いので、半量に減らしたが、それでも甘かった。ジャガリはそもそも、一般の砂糖よりも甘みが強いのだ。ともあれ、それをランチ代わりに食べた。
蒸したてのホカホカは、素朴で、おいしかった。わたしは牛乳を飲みながら。まるで幼稚園のおやつ、のようでもある。たまには、こんなランチもいいだろう。
バンガロールには、国営の競馬場がある。
州政府は、その競馬場をマイソールに移動させ、あいた土地に高層ビルを建てる計画らしい。
しかも100階建ての。
あり得ん。
絶対に、あり得ん。
もちろん、世論は大反対だ。賛成している人などいるんだろうか。
ともあれ、カルナタカ州政府は愚かであるとの悪評が高いが、ここまでとは思わなかった。
この公共のインフラストラクチャーの伴わないインドの、バンガロールで。100階建てって。自殺行為もいいところだ。
停電やら、断水やら、日常茶飯事のこの街で、いったいなにを目指しているのか。
言いたいことはあれこれあるが、ともあれ、そんな暇があったら、整備されるべき、インフラストラクチャーの見直しを早急に!