バンガロール宅に滞在している時間は、いつも短く感じる。十日間もいたというのに。二都市生活の、しかもインドでの、その面倒は綴り始めればきりがないが、ともあれ12月中旬には一旦、終わるのだと思うと少し、気分が落ち着く。
しかし、落ち着く前に「引っ越し」があるのだ。ということは、最早ぎりぎりになるまで考えないことにする。
さらには、来年になったらまたしても、別の場所で二都市生活? という可能性があることについても、ぎりぎりになるまで考えないことにする。
それがストレスを貯めず、比較的平常心で生きていくためのささやかなコツである。
久しぶりにOWCのコーヒーモーニングに赴いたり、参加していた方々とランチを共にしたり、買い物に出かけたり、夫が仕立てたスーツをコマーシャル・ストリートに取りに行ったり(上出来だった!)、義姉スジャータとラグヴァンを招いて夕食を共にしたり、本を読んだり、パンを焼いたりしているうちに、数日が流れ去った。
土曜日。オムレツとフルーツジュースとパンで、軽いランチをとろうと思っていたのだが、朝、冷凍庫を開けたら、パンを切らしていることに気がついた。
急にパンを焼きたくなった。米国にいたころは、「ホームベーカリー」を使って、超お手軽にパンを焼いていたが、実は一から本気でパンを焼いたことはない。
小麦粉もバターもイーストも卵もある。せっかくだから焼いてみることにした。本当は、バケット的ハードブレッドが食べたかったのだが、初心者らしく「テーブルロール」を焼いてみることにした。
ベイキングの本を開けば、発酵の時間が長くて、ランチタイムはどう見積もっても2時になりそうだ。しかし今日は外出の予定もないし、少々遅めのランチでもいいだろうと、取り敢えず、焼くことにした。
粉を捏ねている時、夫がやってきて、少々不愉快な話題について話し合わねばならなかった。
苛立ちを言葉にするのではなく、「捏ねる力」に変換しながら、額に汗をにじませつつ、ときに生地を台に激しく打ち付けたりもして、これはなかなかに、いい運動&ストレス解消である。
負の感情を込められたパン生地は迷惑かもしれないが、まあ、発酵している間にでも、忘れて欲しいものである。
どの程度捏ねればいいのか、今ひとつよくわからないが、まあ、若干、硬めに焼き上がったとしてもそれはそれでよい。オーヴン内温度計をしっかりと設置して、焼く。
菓子を焼くときとはまた異なる、素朴でやさしい香りがキッチンを包み込む。同時にオムレツを焼く。夕べ多めに茹でていたジャガイモを潰して、オリーヴオイルでタマネギと共に炒めて、ざっと溶き卵であえただけのシンプルなもの。
シンプルだけれど、こんがりと焼けたジャガイモがおいしくて、形は違えどトルティージャ(スペイン風オムレツ)のようである。
焼きたてのパンは、とてもシンプルで、おいしかった。ちなみにインドの小麦粉は、基本的に、チャパティなどに使われるATTA( 無精製の全粒小麦粉)と、MAIDA(精製小麦粉)の2種類である。
今回はMAIDAを使用したが、次回はヘルシーにATTAで焼いてみようかとも思う。インドに豊富なレーズンや、さまざまな穀物などを入れても楽しそうだ。
ところで今日、日曜日。本当に久しぶりに、サンデーブランチへ出かけることにした。バンガロールの高級ホテルのダイニングや、小洒落たレストランなどは、サンデーブランチのブッフェを用意しているところが多い。
しかし、そういうところでは、ついついグラスが進み、食事も進んで、長居をしてしまい、午後を丸ごと過ごしてしまうことになり、時間的、気分的に余裕がないと赴く気分になれなかった。
今日は夫も時間的な余裕があったので、久しぶりにOLIVE BEACHへ行くことにした。
夫と二人で、この店を訪れるのは、2年半前以来のことだということを、今、過去のブログをチェックしてわかった。当時は、「プチ家づくり」の真っ最中で、あのときはあのときで、怒濤のような日々だった。
料理の内容も値段も雰囲気も、前回訪れたときとほとんど変わっていないので、詳しく知りたい方は、下記の記録をご覧いただければと思う。
3時間近くも、ゆっくりと、飲んで、食事を楽しんだ。帰宅してからは、激しい睡魔に襲われて、1時間ほど寝入ってしまった。
なんとも気ままな午後であった。
が、明日は午前の便でムンバイだ。いつまでものんびりしていられず、夜は荷造りや片付けなどに精を出したのだった。
さて、一日の終わり、庭で月夜を仰いでのち、そろそろ眠ることにしよう。