ここ数日は、原稿を書いたり、レポートをまとめたり、と、いくつかの仕事をしていた。
2008年のジャーナルは、いつしかくたびれ、残るページも少なくなり、しかし年頭に記した「今年すべき目標」は、半分も達成されていない。
今年もまた、こんな風に過ぎてしまう。徒に、自らの不本意を煽り立てるのではなく、身の丈をわきまえながら、もっとしなやかに在ることができればいいものを。
さまざまに、思い巡らせつつ、夕餉の支度、キッチンに立つひととき。
ワールドトレードセンターの向こうに沈む夕日が、アラビア海を茜色に染めている。「キッチン・ドランカー」な妻は、時に包丁をワイングラスに持ち替えて、ワインを飲みながらの夕暮れどき。
不完全燃焼の日々を飲み干すように、あふれてくる言葉を飲み込むように。
「ただいま〜」
と、夫が帰ってくる。
「ちょっと、知りたい日本語があるんだけど」
「なに?」
「日本の食文化のことなんだけどね。ビジネスマンが、宴会の席で、裸の若い女の人をテーブルに載せて、裸体の上に寿司とか刺身とか載せるの、あれ、日本語でなんていうんだったっけ?」
「……」
「あ〜、一度覚えてたんだけど、忘れちゃったんだよ。にょ、にゃ……う〜ん、なんだったっけ?」
「……」
「ねえ、ミホ、聞いてるの?!」
「……う、うるさいわい!!」
* * *
こんなことばっかりの、わたしたち。
こんなことで、いいんだろうか。
いいわけが、ないではないか。
インド生活。時空がずれているような、水平が傾いているような、地軸が歪んでいるような、独自世界の広がるインド生活。
夫との日常生活ですら、最早、ずれっぱなし。傾きっぱなし。歪みっぱなし。
何が何だか。
今日は、銅製ポットやオーガニックコットンのタオルのことを書きたかったのだが、女体盛りの一撃に、玉砕。
日を改めたい。