昨日は午前5時起床で空港へ赴き、早朝の便でジュネーヴ空港からチューリヒ空港へ。チューリヒでムンバイ行きに乗り換えて帰国したのだった。
チューリヒ空港の免税店で、夫は、いつものようにさまざまなパッケージの有様を吟味した末、チョコレートを買った。
そして、前回のチューリヒ旅で虜になったところのルクセンブルゲルリも忘れることなく購入した。
わたしはといえば、カフェでコーヒーを飲み、次の旅に備えて心身のリズムを静かに整える。
やや飲み過ぎ、かもしれないが、コーヒーは、とても必要な飲みものだ。
ゲートへ向かう途中から、徐々にインド人密度が高くなる。機内に入れば、その密度の高さ、絶好調! なにがってもう、機内の匂いが違う。
スパイシー。
といえば聞こえがいいが、正味な話、臭い。
機内全体に、インド人の濃厚な体臭が満ちあふれている。
ここで、「ん?」と思う。インドの国内線で移動している時にはそんなこと、少しも気にならなかったはずなのに。やはり、インドに暮らしていると、各種インド臭が鼻になじんでしまうようである。慣れとは、恐ろしくも平和なことである。
長距離飛行用の「機内快適グッズ袋」にマスクを入れて来ておいてよかった。
3週間ぶりのムンバイは、相変わらず蒸し暑く出迎えてくれた。
徐々に新築作業が進むムンバイ空港は、妙な場所にインド現代画家によるのであろう絵画作品が架けられていたり、妙な場所に木製の玩具的工芸品が展示されていたり、妙な具合にカーペットが敷きつめられていたりと、一貫性のないインテリアデザインで統一されている。
毎度、異次元空間に迷い込んだかのような感覚に襲われさせてくれるインドである。
予測していた通り、インドに戻ってきたら、旅の記録を記す気分がすっ飛んでしまった。こんなこともあろうかと、旅の最中、こまめに記録を残しておいたのだった。
人からよく尋ねられる。いったい、一日のうち、いつブログを更新しているのかと。
特に旅の最中などは、行動が増えるほどに、出来事も盛りだくさんで、いずれにしてもゆっくりとする時間は少ない。なのにこまめに記している自分に驚く。
勢いよく書いている内容は、読み直すことが少ないので、自分でも書いたことを忘れてしまいがち。つまりは自動筆記状態である。
職業柄、写真選びや文章の執筆は、かなり速いとはいえ、記録の多さに、いつこんなに書いているのだろうと、我ながら不思議に思うこともある。
基本的には、時間の合間合間に、である。
このごろは、「書いていてよかった」と、自分が助かっていることが多い。楽しんで読んでくれる人がいるので書き甲斐がある、というのはもちろんだが。
今回の旅。懸案事項が数点あり、実際、さほど楽しんでいられる旅ではなかった。旅の始まりが急だったにも関わらず、その期間は3週間にも及び、予定の調整その他も、なかなかに大変ではあった。
しかし、今回の旅の記録を遡ってみるに、どうにも楽しい旅をしているとしか思えない。実際、たいへんだったけれど、楽しかった。喜怒哀楽のメリハリは、毎度激しい。
喜怒哀楽。
怒哀の部分はほどほどに、喜楽のありがたさを大切に拾い上げ、噛み締めながら、過ごしていきたいものだ。これからも。
最終日のジュネーヴ。せっかく写真を撮って来たので、せめて簡単にキャプションだけでも添えておこうと思う。
●高級ブランドのブティックが軒を連ねるあたり。モデルのような女性たちがストリートを闊歩している。実際、モデルかもしれない。長い脚で颯爽と歩く彼女らの、すてきなことといったら! 右のお姉さんは、タバコに火をつけているところ。
●写真左:まさに、「板チョコ」なチョコレート。スイスのチョコレートは本当に美味。 ●写真右:マンハッタンに暮らしていたころから好きだったスウェーデンのステーショナリーショップ ORDNING&REDA。アッパーウエストサイドに店舗があった。発色が美しいシンプルなカードケースと激しく小さなポーチ(使用法未定)、そしてキーホルダーを買った。ちまちまと、しかし機能的で洗練された、かわいらしいモノたち。
●打ち合わせをしている夫を待つ間、立ち寄ったApple Store。展示のコンピュータはインターネットに接続されていて、カスタマーは自由に使用している。わたしもまた、メールのやりとりなどを行う。助かった。
●フランスとの国境に近いジュネーヴはフランス語圏。スイスに来ているというよりも、フランスの地方都市に来ていると勘違いしてしまう瞬間が多々ある。こうして、ワインを飲みながらランチをとっているときもまた。ところでワインは1杯が1デシリットル。メニューには、㎗と記されていることが多く、なにやら理科の実験を思い出してしまう。
●坂道を上り、旧市街へ向かう。アンティークショップや個性的なファッションブティックが点在する。カフェテラスやレストランも多い。敢えて道に迷うように、そぞろ歩くのが楽しい。
●日中は日差しが強く、半袖でも心地よいが、朝晩は気温がぐっと下がり、肌寒い。黄金色に色づき始める木の葉と、何百年も前から、無数の人々に踏みしめられて来た石畳は、よく似合う。
●平日の夕刻に、グラスを、あるいはカップを片手に、人々が語り合いながら過ごせる場所があることが、平和。
タフであらねば。