29日の早朝、まだ夜が明けぬうちにチェックアウト。
荷物をカートに積み込んで、シャトルでターミナルへ。
そして午前7時過ぎの便で、サンフランシスコを発った。
機内で時計を3時間、早送りした。
機内では、空港で買っていたクロワッサンを食べた。フルーツジュースを飲んだ。
映画を1本見た。数時間、寝た。そして約6時間後の午後3時過ぎに、ニューヨークJFK空港に到着した。ここでスープとサラダを食べた。
その後、午後7時過ぎのスイス航空ジュネーヴ行きに乗った。
機内では、ワインと、チキンソテーの軽い機内食。食事の後、歯を磨いて、数時間寝た。目が覚めて、機内で出されたクロワッサンを食べ、オレンジジュースを飲んだ。
時計を6時間、早送りした。そして7時間後だか8時間後だかの午前9時過ぎ、ジュネーヴ空港に到着した。最早、わけがわからなくなってしまった時間の感覚。
疲れている。お腹が空いている気がする。とても眠い気がする。
しかし、今、自分は果たして空腹であるべきなのか、今、自分は果たして眠たくあるべきなのか、それさえも、よくわからない。
そもそも、全行程が確定せぬまま出発した今回の旅。最後にスイスに滞在するか否かも、チケットを購入した時点ではわかっていなかった。
ともあれ、ホテルからのシャトルバスで、空港近くのホテルにチェックイン。今日の午後4時に夫は打ち合わせが入っている。シャワーを浴びて、数時間の仮眠をとった。
実際、スイスに用事ができなかったとしたら、このままさらにチューリヒに飛び、別の便に乗り継いでムンバイへ飛ぶところであった。気を失いそうなほど、長いフライトになるところだった。
いずれにしても、ジュネーヴに2泊することになってよかったといえよう。
ホテルで、市街のバスやトラムのフリーパスをもらう。タクシーだと片道40フランもかかるところだが、無料である。
バス停で、市街へ向かうバスについて、長身のお兄さんに尋ねた。タバコをくゆらせながら、クールなお兄さんは親切に教えてくれた。市街の中心部には約20分で到着。なかなかに便利だ。
夫が打ち合わせをしている間、わたしは街を散策。マーケットをのぞいたり、ウインドーショッピングをしたり、コーヒーを飲んだり。
その後、夫と合流して街を散策。二人とも疲れが残っていて、脳内に霧がかかったようなぼんやり感である。こういうときには気分を引き締めておかなければ、トラブルに巻き込まれてしまう。
うろうろと歩いているうちにもレマン湖畔に到着。夫がボートに乗りたいというので、乗ることにした。
足で漕ぐタイプ、電動で動くタイプ、そしてモーターで動くタイプの3種類がある。電動で動くタイプを選んだ。
スイッチをいれると、一定のスピードで動き出す、非常にシンプルな構造の乗り物である。ゆるゆるのステアリングもついていて、方向転換はもちろん可能だ。
かなりのスロースピードだが、しかし、湖面はとても気持ちがよい。目が覚める。
ジュネーヴのシンボルともいえる吹き上げる噴水もまた、風景に色を添えて美しい。
アルヴィンドはといえば、「噴水と僕を一緒に撮ってくれ」とうるさい。
しかも「いいアングルで」とのことである。
逆光だから無理だ。
って言っているのにしつこいこと山のごとし。
「あ、今がチャンス!」と百万回くらい、言われてうんざりだ。
噴水とあなたの間にいったい何が起こったのだ、というくらいに、噴水と一緒に撮られたがる。
カメラのファインダーを見つめ過ぎて、危うく船酔いするところだった。
そんなわけで、どうでもいい写真だが、一応、夫のために載せておく「噴水と夫」の写真。
街を歩いていたら、パリのシャンゼリゼでお気に入りだったところの菓子店、ラデュレ(LADUREE)を発見。目が釘付けになる夫。あの店のタルトタタンは激しくおいしかったことを思い出す。
しかし、すでに閉店しているこの店には、マカロンなどしか見られない。
「明日、もう一度、確認する」と夫。
夕飯は、フレンチビストロで。おすすめの料理をシェアした後、軽くすませるつもりが、夫の脳裏に蘇ったタルトタタン。頼まずにはいられない男。
ラデュレのそれには遠く及ばないものの、それなりに美味であった。
食後は、静まり返った道を散歩しながらバス停まで向かった。ホテルへ戻るバスを確認しようと思うが、よくわからない。誰かに尋ねようとしたところ、そこに長身のお兄さんがいた。
偶然にも、行きに出会ったお兄さんであった。再びクールにタバコをくゆらせながら、親切に帰り道を教えてくれた。というか、彼と同じバスでホテルに戻ったのだった。
夜空は澄み渡り、月がきれいだった。
久しぶりに、カシオペア座を見つけた。