🌿3泊4日のゴールウェイ滞在も無事に終了。レンタカーでの旅は、ツアー参加よりも遥かに自由で、濃厚な経験ができる一方、慣れない場所での運転は結構、疲れた。夫は運転免許証を持っているが、インド移住以来、ほとんど運転していない。アクセルとブレーキの位置関係も忘れている……! つまり、頼れるのは自分だけ。ホリデーのはずなのに、そこそこ重要なミッションを与えられる妻の肩には、自ずと力が入るというものである。
🌿車を返却する前に、ガソリンを満タンにし、市街へ向かう。ゴールウェイの街は小さかったこともあり、レンタカーを借りるのは便利だった。スーツケースを載せたままパーキングに駐車し、市街を散策したあと、スーツケースをピックアップ。駅へ向かう道すがらのレンタカーオフィスで鍵を返却し、向かいに位置する駅舎へ。列車を待つ間、駅のカフェで軽くサラダなどでランチをすませた。
🌿海鳥が舞い飛び、汐の香りがするゴールウェイの繁華街は、独特の哀愁を漂わせた魅力的な場所。1時間足らずしか歩けなかったのが心残りだ。実は昨日、ドライヴの途中で立ち寄ったクラフトショップで、わたしは小指用の小さなクラダリング(Claddagh Ring)を買った。クラダリングは、ゴールウェイが発祥の宝飾品。ハート(愛)、王冠(忠誠)、両手(友情)がモチーフの「幸運を呼ぶリング」だ。ペンダントやイヤリングもあり、もう一つ欲しかったのだが、時間切れであった。
🌿車内では、米国人カップルとテーブル席をシェア。ロードアイランドでメキシカンレストランをしている女性と、アリゾナ出身のネイビーの男性。彼は佐世保や横須賀など、日本に3年間暮らしていたという。アルコール、チーズやオリーヴなどを持参していた彼ら。「一緒に飲みましょう」と、車内でスペインのリオハ(赤ワイン)やウイスキーの杯を勧められる。赤ワインを少しいただく。おいしい。車内では寝ようと思っていたのだが、4人でしゃべっているうちにも瞬く間に2時間半が過ぎてダブリン着。
🌿アイルランド最後の宿は、アイルランド出身の作家、オスカー・ワイルドに因んだ「ワイルダー・タウンハウス」という名のホテル。1878年、ヴィクトリア朝時代に建てられた建築物が、昨年、ブティック・ホテルに生まれ変わった。
🌿インテリアは、モダンに洗練されており、極めて居心地がいい。室内には何冊もの本が置いてある。ダブリンも、ゴールウェイも、書店が目立つ。「書籍」を読む文化が、今でも強く息づいているように感じる。世界的に有名な作家を輩出しているアイルランド。今更ながら、もっと若いころに、日本文学だけでなく、英文学にも接しておくべきだったと実感する。わたしは、オスカー・ワイルドを一冊も読んだことがなく、夫から驚かれる。ネットであらすじを見れば、『ドリアン・グレイの肖像』など、とても面白そうだ。あれも読みたい、これも知りたいと、欲求ばかりが先行して、しかし行動には移せないまま、歳月が流れる。
🌿英文を読めば、たちまち睡魔に襲われる。ゆえに、『地球の歩き方』を読む哀しみ。尤も、「アイルランドの基礎知識」の項には、「ケルト世界」「妖精と信仰」「歴史」「音楽」「文学」といったテーマの記事が掲載されている。専門家による署名原稿ということもあり的確な内容。知識を得る端緒となる。
🌿毎日遊び過ぎなので、今夜はホテルでゆっくり過ごそうと、階下のダイニングで軽い夕食をとる。夫はサンドイッチ。わたしはチーズの盛り合わせ。欧州を旅するたびに記しているが、欧州人のチーズ消費量は、相当なものである。半分も食べられず、部屋に持ち帰った。ちなみにマーブルのような見た目のチーズは、アイリッシュポーターと呼ばれる、黒ビールが練り込まれたチーズ。個性的な姿と、コクのある味わい。とても気に入った。
🌿アイルランド滞在も、残すところあと2日。明後日はロンドンへと飛ぶ。3週間の長旅も、残すところ1週間だ。