🍜クリケットに限らず、スポーツ観戦が好きな夫。朝はフレンチ・オープン(全仏オープンテニス)のナダルとフェデラーの対戦を見ている。妻は自分の仕事をしたり、ネットに溢れる情報を読みふけったりと、自由に過ごす。幸い、ホテルの部屋が広めで、テレビとデスクに距離感があるので、わたしは自分の空間を確保できている。
🍜そもそも「独立独行」で「一人旅」が好きなわたしである。体力を要する旅行において、しかし最も疲労感を覚えるのは、ほかでもない、夫と24時間ともに過ごす「精神面」だ。断言。普段から穏やかに仲がよく「夫婦喧嘩? したことありませんのよ」というようなご夫婦ならばまだしも、バトルがデフォルトの我々夫婦。 そら、写真では仲良さそうにセルフィーなどやっているが、諍いが絶えない。
🍜そんな夫婦関係の吐露はさておき、午後はハイストリート・ケンジントン駅の界隈へ。米国のそこそこ高級オーガニック系スーパーマーケット、Whole Foodsがある。なじみの店ながら、ロンドン店とあって、品揃えも微妙に異なり、店内を歩くのは楽しい。広大な店内につき、数時間でも楽しめそうだが、そうもいかないので、フードコートにある話題のラーメン店、Bone Daddiesのケンジントン店へ。
🍜MSG(化学調味料)不使用、豚骨を20時間に込んで作られるとんこつラーメンと銘打たれていたので、楽しみにしていたのだが……。見た目、具、麺、すべて悪くないのに、スープが薄い!! もう、残念なくらいにとんこつ風味が出てない。瞬間的に「とんこつラーメン研究会」を発足し、これまでに何度か自宅でとんこつスープを作って来た者としては、これを「とんこつラーメン」と呼んでほしくない。
🍜MSGを使わずに旨味を出すには、潤沢な素材と手間隙が必要なのは承知のうえ。これはだしをとるのに必要なとんこつの2〜3割程度しか使っていないと予想されるコクのなさだ。少量の豚骨を20時間、煮込んだところで、薄いものは薄い。極めて不完全燃焼なランチであった。多少アレルギー症状が出てもいいから、一風堂ロンドンで、もう1杯食べたくなる衝動に駆られた。バンガロールに帰ったら、とんこつラーメンを作ろうと思う。
🍳その後は、二人別行動で、界隈を散策。今回の旅、あまりショッピングをしていない。敢えて買っておきたいと思っていたのは「良質のフライパン」なのだが、いざキッチン用品店に行くと、重くて持ち帰る気持ちが失せる。もちろんインドにも売っているし、オンラインでは欧米ブランドの商品も入手できるが、フライパンは「手に持って使い勝手を確認したい」ものである。一両日中に気力があれば、購入しよう。
🇯🇵ケンジントンに、JAPAN HOUSEというのがあった。日本各地の伝統工芸品などが展示販売されているほか、書籍、日本酒、日本のウイスキー、茶葉などもある。日本食レストランも併設した複合的な文化・商業施設だ。極めて洗練された店内で、「日本文化に関心がある人」には、かなり心を動かされる空間だと思う。ちょうど、浦沢直樹という漫画家のサイン会が行われていて、ファンの英国人が長蛇の列を作っていた。
💃夜は、ホテルから徒歩10分のロイヤル・アルバート・ホールへ。現在上演されているバレエ「シンデレラ」を見に行った。楕円形のアリーナ型の壮大な劇場は、荘厳な迫力に満ちている。一昨年、フィル・コリンズのライヴを見に行ったときに、初めてホールを目にして感動したものだ。
https://museindia.typepad.jp/2017/2017/06/london.html
💃フィル・コリンズのライヴのときには、アリーナにも椅子が置かれ、ステージで演奏が行われたが、バレエは楕円形のアリーナ全体が舞台という贅沢さ! ステージの上部でオーケストラが演奏しており、時折、気配を感じさせる。迫力満点の会場である。演目が「シンデレラ」だけあり、演出も衣装もコミカルなテイストが盛り込まれていて、エンターテインメント性の高い舞台であった。
💃イングリッシュ・ナショナル・バレエは、日本人バレリーナも少なからず輩出しており、わたしたちが見た回のシンデレラ役は、リードプリンシパルの高橋絵里奈さんであった。わたしは最初、日本人女性がシンデレラ役とは知らずに見ていた。先入観のない個人的な印象を述べれば、(他のダンサーに比して)小柄で清楚な印象の彼女がシンデレラということに、違和感を覚えた。しかし、思えばシンデレラとは、威圧的な女性たちに虐げられてもくじけない、健気で芯の強い女性である。徐々に「秘めた強さ」が踊りから滲み出てくるようで、終盤はもう、「彼女がこそがシンデレラ」という納得の心境に至った。
💃わたしたちの席は、グランドティアのボックス席。アリーナまでは距離感があったが、ボックス内は潤沢なスペースがあり、ビールやワインなどを飲みながら観劇できる緩さがなんともいえず、よかった。今年のニューヨークでは、バレエもオペラもミュージカルも見に行く機会がなかったので、こうしてロンドンでエンターテインメントを楽しめたのはよかった。