思えば、パンデミック後に、夫と二人で「海外旅行」をするのは初めてのこと。最後の旅が2019年秋の日本だったことを思うと、改めてCOVID-19が世界に与えた「欠落」の多さを思う。
今回の京都は6泊と長めの滞在。昨年の終わりから今年初旬にかけて、わたしは京友禅サリーのプロモーターとして京友禅についてあれこれと調べた。折に触れて記しているが、インドに移住して、インドの伝統的な手工芸の世界に触れるにつけ、日本との関わりの深さを学んでいる。
今後の自分のライフワークの一つに、この分野を加えるべく、偉大なる古都、京都を五感で体験したいと思っている。ゆえに6泊だ。一方、予定を詰め込んで疲れるのも避けたく、観光旅行はそのときどきの気分で決めようと思っていた。
ホテルにチェックインした後、ゆっくりと過ごそうと言いながら、しかし外に出ると、ついつい先に進みたくなる。八坂通りを歩いていると、前方に八坂の塔、すなわち五重の塔が見える。昔、清水寺の方から眺めたことはあったが、八坂通りからのアプローチは初めてのこと。異なった景観に見えて味わい深い。
街路には、驚くほどたくさんの「レンタル着物店」があり、着物に身を包んだ外国人観光客が行き交う。スマートフォンが普及し、ソーシャル・メディアという発信源が誕生してからは、人類の旅のスタイルは大きく変化したと改めて思う。
デジタルカメラもなかった時代。1988年から、アナログな環境で旅行誌の編集者やライターとして仕事をしてきた者としての所感だ。
かつてならば、旅のノートに手書きで記録を残し、バッグに入れて、帰国後、友人や家族に記録を少し見せる程度だった。取材での原稿は、出版物になるまでに、かなりの手間と時間を要した。
それが、こうしてその日のうちに、一瞬にして経験を「活字」で発信できる。旅のスタイルだけではなく。思考回路の変化も著しい。時代は巡る。
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