ムンバイでブロードウェイのミュージカルを観劇できる日が来るとは……昨日は夫婦共々、感慨に浸った午後だった。
そう。妻の出張に合わせて、なぜか夫もムンバイに滞在中。彼も別途、仕事の予定をいれているのだが、昨日は日曜だったこともあり、共に行動したのだった。
ニューヨーク在住時代、わたしはブロードウェイ沿い、セントラル・パーク南端の、コロンバスサークルの近くに住んでいた。
ミュージカルシアターが立ち並ぶタイムズスクエアへも、バレエやオペラ、クラシックコンサートなどが楽しめる総合芸術施設「リンカーン・センター」へも、そしていくつもの映画館へも徒歩で赴ける、すばらしいロケーションだった。
夫とは出会った当初から、しばしば映画館や劇場を訪れたものだ。米国を離れてからも、年に一度はニューヨークを訪れ、何かしらのエンターテインメントを楽しんできた。
しかし、2019年を最後に、まだ一度も米国へ飛んでいない。ゆえに昨日は、4年ぶりに、臨場感あふれるエンターテインメントを楽しんだのだった。
今年の3月、ムンバイ北部のバンドラ・クルラ・コンプレックス(BKC)というビジネス・エリアにニタ・ムケーシュ・アンバーニ・カルチュラルセンター(Nita Mukesh Ambani Cultural Centre)がオープンした。ニタ・ムケーシュとは、リライアンス・インダストリーズの会長であるムケーシュ・アンバーニの妻だ。
リライアンス・グループについても書きたいことは募るが、今日のところは軽く触れるにとどめる。ムケーシュ・アンバーニの父親がリライアンス財閥の創始者であるディルバイ・アンバーニで、彼の弟はリライアンス・ADA・グループ会長のアニル・アンバーニだ。遺産配分や財閥の事業の分割などで、昔から兄弟間の争いが絶えず、世間を賑わせてきた。
世界の長者番付でトップを飾ってきたムケーシュ・アンバーニは、2010年、ムンバイの中心部に、世界最高額といわれる、地上約170mの自宅(アンティリア)を建築したことでも、世間を騒がせた。また、妻のニタの誕生日プレゼントに、エアバス(航空機)を贈るなど、桁外れなお金の使い方が、しばしば話題になる一族でもある。
ニタ・ムケーシュ・アンバーニの略歴を見るに、リライアンス・ファウンデーションという非営利団体を運営し、フィランソロピストでもあるようで、社会貢献活動もされているのだろう。
今回、彼女の名を冠したこの文化センターを訪れて、わたしの中では、リライアンス・ジオ・インフォコムが、4Gの無料提供をしたときに次いで、いい印象を抱いた。
シアターは、想像していた以上に見事な設備だった。本場のブロードウェイのシアターは、昔ながらの雰囲気がよい一方、設備は古く、シートが窮屈なところが多い。しかし、このシアターはシートの座り心地もよく、ホール全体のレイアウトも開放感があって、非常にいい「気」が漂っている。観劇しやすい環境だ。
うれしくなって、あちこちで写真撮影などしつつ、開場を待つ。
そしてミュージカルそのものが、本当にすばらしかった! 音響も、舞台美術も、そして何よりも出演者のパフォーマンス!
子どもにも愛されてきた映画「サウンド・オブ・ミュージック」だけあり、家族連れの観客も多い。途中、周囲の子どもたちが一緒に歌いだすのも、それはそれで楽しいものだった。
夫は子どもの頃、映画「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)を繰り返し観たという。第二次世界大戦のオーストリアを舞台に、ナチス・ドイツの侵攻が背景にある重いテーマでもあるのだが、子どもたちの歌う姿に希望がある。最後には夫婦揃って感泣してしまった。
「サウンド・オブ・ミュージック」はまた、ミューズ・クリエイションのクワイアでも歌ったし、SAREESで歌うなど、個人的にも思い入れがある。
ムンバイの変貌ぶりにもまた、感銘を受けつつ、いい午後だった。ちなみにこのミュージカルは6月18日まで上演されている。
◎Nita Mukesh Ambani Cultural Centre
https://nmacc.com/
◎ムケーシュ・アンバーニの人生を描いた映画『Guru』(2007)。主演はアビシェーク・バチャンとアイシュワリヤ・ラーイ。フィクション混じりとはいえ、リアイアンス財閥誕生の経緯やその後の成長を知ることができる映画だ。
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