この小さな半島に詰まった、歴史や文化、多様性……。通りすがりの人間が、その絶大なる密度と深度を、受信して理解し、消化するのは不可能だ。計り知れないな。と、来るたびに思う。
そして、その底なしの存在感に、毎回、新鮮に、惹きつけられる。
ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」を楽しんだあと、同じバンドラ・クルラ・コンプレックス内にあるショッピングモールに立ち寄る。ここは昨年9月にも訪れているので2度目だ。
日曜の夕暮れ時を、モールで楽しむ人々の姿。圧倒的な活気。
その後、シーリンクを走り抜け、南ムンバイへ再び。英国統治時代に誕生した会員制クラブ、ウィリンドン・スポーツ・クラブへ。友人夫婦と夕食を楽しんだ。
わたしたちは、バンガロール・クラブの会員だということもあり、国内外の提携クラブを利用することができる。2008年から2010年にかけて、ムンバイに暮らしていた頃には、ゴルフコースを備えた、このウィリンドン・クラブにもしばしば訪れた。
もっともわたしたち夫婦はゴルフをやらない。わたしは、外出の途中、このクラブの2階にある冷房の効いたライブラリに立ち寄り、雑誌のページをめくったり、書き物をしたりした。昔ながらの風情が、なんともいえず心を落ち着かせてくれる。
昔からここには、半野良猫がいて、この日も数匹と出合った。マルハン家にNORA姉さんが来る以前。わたしは猫に関心がなかったので、猫を見ても立ち止まることはなかった。
しかし、今は猫を見かけるたびにしゃがみ込んで声をかけ、撫でたり写真を撮ったりと、構ってしまう。昔は識別できなかった猫の個性を、察することができるようにもなった。目に映っていても、見えていないことはたくさんある。
この都市では、この国では、目を閉ざす時間も大切。脳みそがもう、情報を、処理しきれない。
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