ミューズ・クリエイションの活動は、未来に繋がるものであって欲しいと願う。慈善団体訪問では、毎回、参加者に感じたことを書き残してもらっている。それらの記録は、静かに、しかし確実に、関心を持つ誰かの目に触れ、何らかの示唆を与えてきた。
わたしは2006年以来、バンガロール、ムンバイ、デリー、チェンナイでと、さまざまなクライアントの視察旅行をコーディネーションしてきたが、それらは「ビジネス」であるがゆえ、当然ながら記録を公開することができない。経験を共有できればどれほど有意義だろうと思うこともあった。
今回は、わずか数時間のカジュアルなツアーではあったが、巡った場所の記録を残した。そして、学生たちには感想を記してもらった。未来遥かな学生の視点もまた貴重。なお、この日の最後は、わたしの親しい友人、チベット系インド人Dekyiのお宅に伺った。わたしの生き方や考え方を理解してくれている彼女は、わたしが連絡をすれば、即座に意図を汲み取ってくれる。祝日にも関わらず、ビジネス・ミーティングで多忙な中、時間を作ってくれたのだった。心から感謝する。
学生たちには、起業家である彼女の息子(18歳)の話をしていたが、Dekyiと夫のAmitが創業し築き上げたビジネス「Reward 360」もまた、特筆すべき成功例である。
ダライ・ラマ法王14世と関わってきた彼女のお父様の話は、わたしが主催したイヴェントで聞かせていただいた。今更ながら、今度はDekyiに、ビジネスに関する話もインタヴューさせて欲しいと思った。
◉Reward 360
https://www.reward360.co/about
①特に印象に残っている場所、事柄
②今後、インドにおいて、どういう試みをしたいか
③今後、インドを訪れる学生への提言
④その他、思うところあれば
(*)は、坂田の追記
【感想⑴ インターンシップ留学生/入江真樺(21歳)】
①Bangalore Clubの敷地内は、とて洗練されていて美しくリラックスすることができる空間だった。バーの中で(*ダイニングルームやホールなど、全般において)、電子機器を用いての作業や会議、メモを取るなどの行為が禁止されているなど、日々の慌ただしい生活からリラックスされる空間がそこにはあった。Republic day スペシャルランチ。パコラ、プリ、豆カレーが特に美味しく、止まらなかった、忘れられない。インド国旗に関するクイズがとても楽しかった(*坂田の出題による)。
Taj west end、まるで森のような空間、混沌としているというわけではなく、それぞれの植物がイキイキとしている、きちんと手入れされた森のような庭。そこに植えられていた歴史ある木Peepal Tree(*インド菩提樹)。その木からパワーを感じた。
UB cityを象徴するKINGFISHER TOWER。ここは家なのかというほどにゴージャスなエントランス。エレベーターへ行くまでにあった壁のデザインがとても印象的だった。Dekyiさんの息子さんのビジネスの話を聞いて、私も頑張ろうとパワーをもらった。
②気になっている事柄を調べるだけでなく実際に訪れる、実際に体験してみるということにもっと挑戦していきたい。他の高級ホテルもどのような特色があるか訪れてみたい、帰国するまでにサリーを1着購入、5つ星ホテルで食事・宿泊してみたい。インドの若者起業家や起業を志す人々とお話したい。
③その場所の背景など知識を知っていること、訪ねたり、体験したりと実際に経験すること。知っている✖️経験する、この2つが合わさるとより心に体に深く残るかつ自身のこれまでの価値観から自然と偏って物事を見てしまうことが少なくなると思います。また、どこに・いつ行くか、場所や時期などの要素によって得られる印象が180度異なることがあります。1つの経験に対して、主語を大きく「Bangalore」「India」とするのではなく、1事象として経験の箱に入れられるよう意識すると良いと思います。私もそう意識して、たくさんの経験を積んでいきたいです。
【感想⑵ 交換留学生/若原彩香】
①特に印象に残っているのは、banglore club、 TAJ west end、坂田さん御友人宅です。まず、bangalore clubは以前私が一人で散歩をしていて横を通りかかったときから興味を持っており、中に入ることができるとは思っていなかったので、入口に差し掛かったところから素敵な場所に嬉しい気持ちがあふれていました。
坂田さんが案内してくださった中ではbarの仕様のされ方が印象的でした。以前はthe men’s barとmix barで女性が入れる場所が決まっていたことを知り、男女の差はやはり大きいのだと感じました。(*従来は、男性だけが入れるバーがあったが、10年ほど前から女性も入れるようになった)
日本も男女で区別することが昔からあるので、似たように感じました。格差社会の中でまだ生きていることを普段から感じることが多いので、その背景や個々の想いについても、今後、解像度を上げていきたいと思っています。
また、TAJ west endはお庭が開放感がありとても素敵でした。以前ムンバイに行った際、TAJ ホテル(*Taj Mahal Palace Hotel)のロビーに入りましたが、そこでも最高級のおもてなしを少しだけ体験することができました。将来、一度は宿泊をして、高いおもてなしを経験として感じてみたいと思いました。
最後に、坂田さん御友人宅では広すぎるお部屋に素敵な景色、息子さんのお話も印象的でした。息子さんのお話をされる姿から、教育に力を入れている家庭が多いのかなとお話を聞いていて感じました。子どもへ多くのチャンスを与えることができる教育は素敵だと思っています。
②今後のインド生活では、さらに様々なブティックショップを訪れてみたいと感じました。私は普段から今回訪れたようなお店を見に行くことが多いので、その価値について理解できるようになりたいと思いました。今まではなんとなく素敵だと思うことが多かったですが、何が優れているのかを考えながら商品を見ることができたら、さらに良い体験になると感じました。
③私のインド人の友人はとても優しくて、おもてなし精神がある人が多い印象があります。友人は私にインドのことを知ってほしいと思っていて、いろいろなローカルな場所に連れて行ってくれます。宗教関連の施設、特に観光スポットとなる場所に行くときはわからないことが多すぎて、たまに騙されそうにもなるので、その土地に詳しい人の存在はすごく大切だと感じています。もちろん友人と行くこともあると思いますが、それでも留学に来ていると一人で出掛けることもあると思うので、ふらっと立ち寄った場所でのヒトやモノの出会いを楽しみながら過ごしてほしいと思います。
④今回は貴重な経験をさせていただきありがとうございました。また次回も楽しみにしています。
【感想⑶ 留学生/山本一貴】
①Bangalore club, Rain tree。建物や衣類からその国の文化や気候、歴史を知ることができて、とても興味深かった。
②ブティックだけでなく、アクセサリーなどももっとみてみたい。ちょっといいレストランでみんなでご飯にいきたい。インドの様々な種類のスナックやお菓子を持ち寄ってお茶会したい。
③できれば現地に住むインドの友人をつくり、彼らのパーティに参加したり一緒に様々な場所に遊びに行くといい。観光で知るインドとは違うインドを知れてよりおもしろい。
④これからも引き続きよろしくお願いいたします。
【感想⑷ バンガロールで交換留学中/花田怜大(22)】
①私が特に印象に残っている場所は、やはりバンガロールクラブとキングフィッシャータワーにある坂田さん友人宅です。この2箇所は自分が頑張ったとしても、訪れることが困難で、非常に貴重な経験をさせていただきました。キングフィッシャータワーに住んでいる、ご友人のお話を伺う中で、インドに根付く「子どもに対する期待・信頼」が素晴らしいと感じました。というのも、ご友人の息子さんは17歳で起業し、バンガロールやムンバイのいたるところに大人気のガチャガチャを200箇所以上導入しています。
このビジネスは、親戚の方から金銭面で援助を受けて始めたそうです。(*彼が熱中していたボクシングをやめさせたかった母が初期投資をし、そこから大きく成長。つい最近、両親の友人とも関係のある企業から大きな投資を受けた)
日本であれば、ビジネスはスモールスタート(特に学生は)となりがちですが、本当にチャレンジしたいことベースで、その応援を受けられる環境が整っていることを知り、素敵だと感じました。今回は富裕層の方のお話ではありましたが、今まで様々なインドの方とお話させていただく中で、親・親戚が子どもを応援する姿勢は非常に手厚いと感じています。
②伝統的な高級ホテルに泊まる経験は学生の内にしておきたいと思いました。特に、坂田さんから教えていただいた、ハイデラバードにあるファラクヌマパレスは、日本に帰ると中々来ることが難しいとの助言をいただいたので、ぜひ訪れたいと思っています。また、インドでもっと沢山の友人を作って話す機会を作りたいです。仲の良いインドの友人を増やし、まだまだ知らないインドの魅力を知ると共に、日本の魅力もどんどん感じてもらいたいと思っています。
③バンガロールに住むインド人は、日本に対して非常に良い印象を抱いている方が多いです。また、非常に温厚な性格で全体的に見て、むしろ日本よりも優しいのではないかと感じています。ホスピタリティも非常に高く本当に驚かされることばかりです。インドというと謎の国。危険な国というイメージを持つ方も多いと思いますが、一度バンガロールには訪れてみることを強くお勧めします。
【感想⑸ 学生女子(19歳)】
①特に印象に残っている場所は、キングフィッシャータワーです。それこそ別世界だと眺めているだけだったあのビルの中に入れるとは到底思っていなかったですし、美穂さんのご友人夫妻もとても素敵な方で、それも含めて印象に残っています。また、息子さんのビジネスのお話もとても自分と同い年の学生が行ったこととは思えず衝撃を受けました。
②富裕層界隈の生活を見れたので、もう少しミドルの層や、スラムを訪れてどのような人がどういう暮らしをしているのかを見てみたいなと思いました。
③今後訪れる学生に向けてとしては、インドの貧富の差を理解するためにも上の層から下の層まで知ることが大事だと伝えたいです。
④ご友人夫妻の息子さんがビジネスで成功していることをお聞きして、やはり、お金持ちがさらにお金持ちなっていく構造はあるのかなと感じました。もちろん息子さんの努力と実力で成功されたと思いますが、そこには周りのコネクションだったり環境も少なからず影響しているのかなとも思います。ミドル層やそれより苦しい生活を強いられている人も同じようにビジネスを始められるチャンスだったり、成功の糸口になるようなものが開かれていれば良いなと思います。貧しい人がどんどん貧しくなるような社会ではないといいなと強く思いました。
(*このあたりのことについては、浅い経験で白黒判断するのは危険なので、別途ACT MUZでさまざまケースを持ち寄りながら、議論したいと思う)
◉僥倖の朝。ダラムサラにて、ダライ・ラマ法王14世とお目にかかる(2019)
https://museindia.typepad.jp/2019/2019/12/dharamsala04.html
◉ダライ・ラマ法王14世の命を受け、カルナータカ州チベット自治区の建立に携わった友人の父の話を聞く(2023)
https://museindia.typepad.jp/2023/2023/08/tt.html
◉学業とビジネスを両立する友人の息子Kunzang(18歳)。インドで起業する若者の素顔(2023)
https://museindia.typepad.jp/2023/2023/11/kun.html
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