お待たせしました! 「潜入! 俺の城」、今回がひとまず最終回です。今回は、前回の予告通り、網戸の向こうの「納戸」からのレポートです。
※ここで紹介している写真は、2005年12月28日に撮影されたものです。カリフォルニアからの荷物が届いた現在、棚はかなり満たされています。
●インドと言えばプラスチック王国。カラフルなバケツは家庭の必需品。キッチン回りもプラスチックの容器が大活躍。スジャータのキッチンでプラスチック容器が山のごとく並べられているのを見て、家政夫モハンが来る前からすでに準備していた。「プラスチックは安っぽい。グラス製のこじゃれたボトルがほしい」と、最初は思っていたけれど、これが意外に便利。軽いし安いし。
ところで内容物は、豆。豆。豆。「ダル」という豆の煮込みスープは、北インドの食卓に於ける、多分、日本で言うところのみそ汁のようなもの。いくつもの種類の豆を交互に、あるいは混ぜて使っているようだが、まあ、どれも味は似たようなものだ。左側の巨大鷹の爪は、やはりモハンが到着する前に「これはインド料理に必要だろう」とマダムが先走って買ったが、彼は一度も使っていない。新鮮なグリーンチリを買っている。どうしよう。こんなにたくさん。
●こちらはナッツ類。カシューナッツにアーモンド、ウォルナッツに松の実。松の実は殻がついていて食べにくいのだが、おいしい。シリアルは、シンプルなコーンフレークと マンゴーピューレがコーティングされたコーンフレーク。マンゴー風味はとてもおいしい! でも毎朝、モハンが温かなダリア(ミルク粥)を作ってくれるので、シリアルの出番が最早ない。
左にあるのは、スジャータがデリーのオーガニックショップで買って来てくれたお気に入りのダリア(dalia)。ビタミンA,B,D,Fを含み、繊維も豊富。「便秘、不眠症に効果あり。スポーツマンにもおすすめ」とある。
●右側にある箱が、シリアルのストック。パスタ(イタリア製)、インドのスナック、即席コーヒー牛乳用のインスタントコーヒー、香港空港で買ったハーブティーなどが、まだ所在なげに並んでいる。
●パーティーのときなどに、スナックをいれるのに好適! と思いニューデリーのディリハートで買って来た、葉っぱの形のかわいらしい木皿。重い思いをして買って来たのだが、この間、コマーシャルストリートに同じ物が売られているのを見つけた。
●「あなたが当店初のお客様です!」と祝福された、あのHOME STOPで買った木製の器など(右側)。中国産とおぼしき竹製のスプーンやフォークを見つけたのがうれしかった。わたしはこの木のカトラリーが好きなのだ。なんだか全体に、ちまちまと置かれているが、まだ整頓されていないのである。
●サムソンのマイクロウェーヴ(電子レンジ)についてきた、おまけの数々。サムソンはインドマーケットの開拓にかなり力を入れており、市場調査も気合いが入っている。インド料理を意識した調理ボタンが設定されているほか、インド料理のニーズに合わせた器やレシピ集を添えている。
前回、書き忘れたが、冷蔵庫には鍵がついている。使用人が多く出入りするインドの家庭にあって、冷蔵庫もまた鍵で管理される必要性があるのだろう。それにしてこの容器の数々。モハンは電子レンジを使わないし、わたしも、使わんし、つまりは無用の長物か。
●あの日、逃げ出したくなる思いをぐっと抑えて、週末のBIG BAZAARで買ったブレンダーのセット。これですよ、これ。余計な機能満載の、おもちゃみたいなブレンダー&ジューサーのセット。それでなくても、すでに健康的な朝食をいただいているわけで、これで昔のようにアップル、キャロット、オレンジジュースなどを作らずともよい、という事態。これも無用の長物になってしまうのか。いやせめて、たまにはスムージーでも作ろうではないか。
●さてさて、またしてもステンレス製。この大きな容器は……。まず一つを開けてみましょう。これはこれは、たっぷりの小麦粉。毎日焼くチャパティの材料だ。インド人は米も食べるが、小麦粉も大量に食べる。夫は幼少のみぎりより、「ご飯よりチャパティのほうが健康によい」と言われて育ったそうだ。全粒小麦の方が精製されている米よりも栄養価が高いということだろう。
●もう一つの容器には、米。中央の赤い物体は何だ? マダムが唐辛子の用途を持て余し、「虫除け」として一つ入れておいたのだ。唐辛子をいれておくと、米に虫がつかないっていうでしょ? でも、数日後に開けてみたら、唐辛子は撤去されていた。事情をしらないモハンは、「なにゆえここに唐辛子が?!」と不審に思ったことだろう。でも、説明するのが面倒なので、なにもなかったことにしている。
●ここはキッチンのバルコニー。洗濯機やプロパンガスなどがある、眺めの悪いバルコニー。モハンがたまに黄昏れたりしているのもここだ。さて、この洗濯機もサムソン製。ビニル製のカヴァーと水よけのスタンドは、「後日、ご説明に」来てくれたスタッフが「売ってくれた」もの。
米国の乱暴かつ凶暴な洗濯機、乾燥機に慣れた身には、最もシンプルな機能のものでさえ、「最先端」に感じる。スイッチを入れるとぴょろぴょろ電子音がなる。洗濯が終わると音楽が流れる。ちょっと鬱陶しい。おっと右端に見えているのは洗濯洗剤。ここでもプラスチックの容器が活躍!
●この棚には……マダムが買い与えた(押し付けた)英語-ヒンディーの辞書。マダムは英語で精一杯。やっぱりヒンディーは難しいからと匙をなげつつある昨今。なんとかモハンにがんばってほしい。彼だって、英語が話せると、将来になにかと有利かもしれないし。
最近は、彼の英語の語彙が、少し増えたような気がする。でも、主には"OK!" "OK!"だ。"OK!"じゃないときにも、"OK!"と言ってくれるところが、ちょっと痛い。わたしもがんばるよ。
●このノートは……。マダムが購入した「モハンの出納帳」。いや、出納帳とは名ばかりで、単なるメモ帳。食費は約1週間分を一括して彼に託し、その使途先をメモしてもらっている。当然わたしは、「見なければならない」のだが、なぜか他人の日記を盗み見ているような罪悪感。
しかし、書いてある意味がわからないのでは、罪悪感以前の問題だ。ヒンディー語をちょっと勉強したので、読むことはできる。一部忘れているが、一覧表を見れば読める。しかし読めても意味がわからないのでは、意味がない。雰囲気でつかむことにする。冒頭、5キロで85ルピー。5キロも買ってわずか2ドルとは、何か。多分、小麦粉だな。次の1キロ80ルピー。これはジャガイモ、もしくはタマネギか。辞書を引けばわかるが、ちょっと面倒。
いずれにせよ、この日、彼は大量の野菜などを購入して来ていたが、合計が292ルピー。6ドル程度。肉類は別としても、野菜などの食材は相当にリーズナブルだ。
ちなみに、彼の計算、金銭管理は今のところ完璧で、残金に1ルピーの誤差もない。電卓を使っている様子もないが、誤差がない。まあ、足し算だし、インド人だし、これくらいの計算は簡単と言えば簡単だが。
今までは、夫が帰宅後、ポケットの中のコインを適当にテーブルの上に置き去ったり、わたしもバッグのそこにコインが数枚転がっているのを何気なく見逃したりしていたこともあったけれど、もっときちんとしなければな、と思わせられる。夫のコイン放置は、やめてもらおうと思う。