●日曜日だけれど。
引っ越し業者から、段ボールが届いた。荷造りは業者に頼むといいながら、やっぱりある程度は自分でやらなければならぬ。特に書類関係や衣類など。そんなわけで、結局は大胆に初回100箱。荷物を減らして減らして、インドへ来たはずなのだが、そもそも米国から送った箱が100を超えていたから、少なくとも150箱にはなるだろう。
かつては箱作りから何から、一人でせねばならなかったが、今回、箱作りだけでも家政夫モハンにやってもらえるから、少々楽だ。だが、荷造りを控え、爪を短く切った。来週は少しずつ、箱詰めだ。
夫は相変わらず、多忙である。来週も、多分引っ越しの再来週も、ムンバイ出張だ。よっては毎度のごとく、引っ越し関係は、我が仕事である。
今日は日曜だし、大工衆も休みだろうと、新居の不備部分などをしっかりチェックするため出向いたのだが、みな働いていた!
無論、日曜は「騒音」を出してはならないので、家具の表面を磨いたり、ヤスリをかけるなどの「おとなしい」作業をしている。
ところが、隣家CEO宅は、日曜なのに大音響を立てつつの工事だ。いいのか、そんなことで。ところで昨日、そのCEO一家が来ていたので挨拶をした。部屋の中も見せてもらった。いろいろ書きたいが、割愛。
左の写真、ダイニングルームのロフト拡張工事の様子である。こんな大胆な工事が、あと2日で完了するんだろうか。謎。
右の写真は、踊っているおじさんたちではなく、ガラスを運んでいるおじさんたちである。バルコニー部分の外窓を作るためのガラスなのだ。着々と、進んではいる。
●もっと映画を! もっと旅を!
インド成分100%の日々にどっぷりと浸っているここしばらく。すでに2月は逃げる、3月は去るだ。
スジャータとラグヴァンと今日もまた4人で夕食。わたしたち(わたし)が新居関係に追われているここ数カ月の間に、彼らはカンボジアやナガランドやコルカタを旅して、来週からスジャータはクルーズの旅だ。
ラグヴァン母、ロティカ博士が、英国人旅行者のための、ゴアやコチンを巡る西インドのクルーズで、インドの文化人類学に関する講演を頼まれたらしいのだが、スジャータもまた「ヨガの講師」として彼女と同行することになったらしい。
彼らとわたしたちの暮らしや生活方針はかなり趣を異にするのだが、旅や食事、映画が好きな部分において、共通項も多い。映画の話をしながら、また、定期的に訪れる「映画欠乏症」に陥った本日。
せめてアカデミーアワードの候補になった作品を見たい。彼らはすでに、ウィル・スミス主演の映画を見たらしい。が、今のわたしが見たいのは、欧州映画だ。
「善き人のためのソナタ」
観たい!
ベルリンを舞台にした映画にはいろいろあるが、心に残っているのは、「ベルリン・天使の詩(うた)」「Run Lola Run」「Good Bye lenin!」などなど。
わたしは昔から東欧の古都が好きで、いや、東欧に限らず、好きな土地はごまんとあるのだが、しかし、プラハやブダペストに並んで、旧東のベルリンやドレスデン、ワイマールやライプツィヒなど……と考え始めるととまらず。
ベルリンの壁が崩壊したのは1989年の11月。それから約1年後、わたしは取材でドイツを訪れたのだった。灰色の雲が垂れ込めた、寒い寒い冬だった。ベルリンでは、露店で「ベルリンの壁の破片」を買った。
アウトバーンが滑らかに伸びる西側とは裏腹に、東側のなんと寂れた様子だったことだろう。中でも印象的だったのはドレスデン。このときのことは、かつてmuse new yorkに記し、ここに転載している。
あのとき、瓦礫の山だった聖母教会は、2005年の終わり、復元工事が完了していた。なんとしても、見に行きたい。
1994年、欧州3カ月一人旅の折、再びわたしはドレスデンを訪れた。あのときの、変貌のまっただ中にあった旧東ドイツの様子が、ときに今のインドに重なる。町中が、工事中だった。
引っ越したら、DVDのコレクションを充実させよう。いやいや、それよりも、旅だ。永住権や市民権のために、半年ごとに米国を訪れねばならぬというのは、実に難儀である。
それにしたって、あのときの、あのベルリンから、16年以上もたってしまったとは。あのとき、通訳をしてくれたハイケ嬢は、どうしているだろう。
壁が崩壊する確か、わずか半年ほど前に、彼女は東から西へ、亡命したのだった。彼女のボーイフレンドはイラン人で、だから毎日新聞を広げては、湾岸戦争のことを気にしていた。
そう、あの取材は湾岸戦争の最中だった。あの最中に、フランスをパリから南仏まで走り、ドイツも西へ東へと走ったのだった。
一度、彼も交えて夕食をとった。キャンドルの明かりが揺れる、薄暗い店で、彼がわたしたち女性に一輪ずつ、赤いバラを贈ってくれたことが、忘れられない。
そしてわたしは25歳だった。
なんということだ!
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ところで、上の写真はインディラナガールのジェラートショップ、Mama Mia。本日の夕食は、マダム自ら料理したが、最後のデザートはここのアイスクリームに頼ったのだった。
味見をすると、どれもおいしい。結局4種類も購入し、食後はみなでテイスティング感覚で少しずつ食べた。好評であった。