インドは、新聞記事を読んでいるだけでも突っ込みどころ満載。今日はその断片を。以前から取沙汰されていたバンガロール新空港の件。空港は出来上がりつつあるものの、空港への道路ができていない、どうするんだ、という話題がここしばらくあちこちで聞かれていた。
記事によれば、やはり、道路が追いつかないようである。
バンガロールの北部郊外に建設中の新空港は、来年の4月には完成する予定らしい。市街からは数十キロと、今よりかなり離れているため、もちろん然るべき道路が必要なのであるが、まだその道路工事が着手されていないのだ。現在の予定通りに着工されたとしても完成は来年の9月。ということは、それより遥かに遅れるはず。
厄介なのは、国内線・国際線機能がまとめて新空港に移ること。国際線なら「たまに利用」だから、少々遠くても辛抱できるが、国内出張などでわざわざ遠出をするのは面倒の極みだ。
いったいどういう段取りで、今後進んでゆくのだろう。「州政府のバカたれ」という話題は、もう耳にタコ状態だ。新空港は当面放置されるのか。それとも人々は、幹線道路が出来上がるまで、こぜまい道を走り抜け、のろのろと空港を目指すのか。
神のみぞ知る。としか言えんな。今は。
●来週日曜には、ほぼ完成!?
一方、我が家の工事は、順調だ。本日はアルヴィンドも伴って、久しぶりに二人で新居偵察である。それにしても、荒々しい内装工事の過程に置いて、白い内壁は汚れだらけだ。どうするんだ? と棟梁カヒニヤラールに問うたところ、
「これは、最後にペイントし直さなきゃだめですよ」
とのこと。ペイントし直すって、誰が? わたしたちが持つわけ? どうやらそうらしい。先に言ってよね、そういうこと。でも、インドではそれが「常識」なのかもしれん。この工事の過程を見ていれば、壁を汚さすに作業しろという方が無理な話である。
なにしろ屋内で、木を切ったり削ったり、運んだり、一から十までやっているのだ。それにしたって、またペイント業者に見積もりを頼まねばならず、やれやれエンドレスな気分だ。
壁塗りには大した予算・時間はかからないにしろ、ともあれ工事は早く仕上げてもらわねばならぬ。もうあと少し、の気もするし、この状態から微細な処理に時間がかかりそうな気もする。
まだバスルームの鏡や棚ができていないし、細かいところであれこれある。
引っ越しの予定は今月30日。しかし、彼らには一応「20日までには絶対に仕上げて」と前倒しで伝えておいた。超基本的作戦である。毎度のことながら、スケジュールをしつこく確認するわたしにカヒニヤラール、
「来週の日曜には完成しますよ、ご心配なく、ハッハッハ!」
と豪快に笑うではないか。正気か?
来週の日曜と言えば18日。今の状況から察するに、無謀な数字ではないのかもしれぬが、よくわからん。まあ、18日が無理としても、大きく遅れることはないだろう。残りの木切れで、なにかおまけ(小さなテーブルとかね)を作ってもらったりする余裕もあるだろう。
それにしても、カヒニヤラール。彼は棟梁ではあるが、現場に毎日訪れている訳ではない。他のプロジェクトもかけもちなので、数日おきにチェックして大工衆に指示を出している。
最初はその事態に懸念を抱いてはいたが、大工衆に厳しく指示を出している様子を見て、彼の「真剣味」が伝わって来た。彼が北インド出身であることは前述の通りだが、大工衆もまた、全員が北インドのウッタル・プラデーシュ州の出身者らしい。
「南インドの人間は、仕事が遅くて使いものにならないんですよ。だから北から連れて来たんです」
とのこと。カルナタカ州の地元民は、のんびりとしている、つまり「仕事が遅い」ことで有名なのだ。同じ国でも地方によって、人々の習慣や気質が異なるのがインドである。
ところで、今日はキッチンの「ドア関係」が届いていた。ドア部分のプレスだけは、手作業ではなく機械仕上げなのだ。すべてオリジナルサイズ故、ある程度の作業が終わった後、採寸に来てもらい、こちらが指示していた素材で作ってもらう段取りを踏んだ。
当初はキッチンも、他の部屋と同様、ダークブラウンで統一しようかと思ったが、いや、キッチンは明るく清潔な方がいいと思い直し、オフホワイト系にしたのだが、正解であった。とてもいい感じだ。特に食器棚のドア。
「マダム、どうです? このデザイン。なかなかいい感じでしょ? ぼくのアイデアなんですよ」
とカヒニヤラールが自慢げに見せる。図面上では、単にガラスをはめ込むだけの長方形スペースとなっていたが、彼が「マダムの好みを考慮して」ちょっと加工を施してもらったらしい。いい感じである。
インド富裕層の間じゃ、「お金をかけて奇天烈なデザイン」に仕上げる「不思議趣味」な人も多いから、勝手に変な装飾を施されると困ってしまうところだが、カヒニヤラール、なかなかに違いのわかる男である。
キッチンにはさほど関心のなかったアルヴィンドであったが、彼も気に入ったようで、ご機嫌である。
そのあと、メザニン(中2階)や外部のグリル(鉄柵のようなもの)などを工事する業者もやってきて、その作業も十日以内でやってもらう段取りで依頼する。
さて、来週は、デリーからクリスタルショップ(シャンデリア)のオーナーがバンガロールに出張で来るというので、直接会って注文をしたり、ファンやギザやその他のライトを取り付け作業に立ち会ったり、カーテンの生地選びをしたり、引き出しのハンドル部分を購入したり、バスルームのトイレットペーパーホルダーやらタオル掛けやらを選んだり、ナーサリーに行って植物を選んだり、引っ越しやから段ボールが届いたり、なんだかんだが一気に佳境である。
加えて、仕事もある。
このどたばたな状態は、4月中旬まで続くであろう。とはいえ、これまでの我が半生を振り返るに、この程度のどたばたは、かなり楽な方だ。なにしろ、家事をしなくていいのだし。ひとりで全部を梱包することもないし。力仕事は人に任せられるし。
随時、アーユルヴェーダマッサージなどの「合いの手」をいれつつ、友人と気分転換ランチに出かけたりしつつ、ぼちぼちスピーディーにやろうと思う。
※上の大きな写真は、ブリゲイド・ロードの様子。たいそう込み合っている土曜の街角だ。