南天竺デカン高原バンガロールは、モンスーン・シーズンの只中で、曇天、雨、晴れ間の繰り返し。気温は20数度と涼しく過ごしやすい。毎年、この時節には「日本の夏は暑いけど、南インドはもっと暑いんでしょうね」的なことを言われ続けて幾星霜。「そうじゃないんです」と伝えても、あまりきちんと聞いてもらえない。
このごろは、よく思うのだ。人は、必ずしも真実を、正しい情報を、求めているわけではないのだということを。「日本の暑さは、インドよりましだ」と思いたい気持ちに、水をさす情報は、あまり望まれない。気候の例はあくまでも氷山の一角。これまで自分が発信してきたことの「受け止められ方の度合い」を振り返るに、受信する側の「心理や脳の働き」が大いに関わるということも。
「先進国」の日本。「新興国」のインド。という、頼りない「色眼鏡」に邪魔をされて、偏見や誤解、思い込みのフィルターをかけて見る人が多いことを、もったいなくも残念に思う。
……といったことは、また別の機会に記すとして。
昨日は、画家の友人ジャヤのお宅を訪問した。新居を彩る絵を買い求めに。家が完成するのは多分9月下旬。今の家も維持するので、急ぐことはない。まずは家具などを整えて、絵画や小物類は最後に搬入となるから、すぐに決めることもないのだが、彼女がソーシャル・メディアに投稿していた絵を見て、オリジナルを見たくなった。
温かいマサラチャイをいただきつつ、インドの情景を描いた絵を眺め、語り合い、心地のよいひととき。
オンラインで見るのと、実際に見るのとでは、絵の印象が大きく異なる。絵の大きさや、立ち込める「気」のようなもの。奥行きや穏やかな陰影。インドの神々が静かにモチーフとして漂い、心をやさしく鎮めてくれる。
結局、投稿されていた絵ではなく、別の絵が気に入って、数枚を購入することにした。額装された仕上がりを見るのが楽しみだ。
ジャヤのことは、昨年のオンライン・イヴェント『ミューズ・チャリティフェスト2020』の一環で、動画で紹介している。
『インドの自然や情景、歴史を刻む建築物……。やさしく慈しむように描く画家、ジャヤ・ジャヴェリの世界。』ぜひご覧いただければと思う。
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ジャヤ・ジャヴェリはムンバイ出身で、現在はバンガロール在住の著名なアーティストです。彼女はムンバイ、バンガロール、チェンナイ、ハイデラバード、コルカタ、アーメダバード、そしてニューヨークなどで合計19回の個展を開催したほか、世界各地でグループ展に参加しています。ムンバイのジャムナラル・バジャージ経営大学院でMBAを取得した彼女は、かつて企業に勤務していましたが、芸術への情熱を捨てきれず、アーティストに転身。彼女の作品は、世界中のコレクターや企業に収蔵されています。
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