昨日土曜日は、毎年この時期に開催されるOWC (Overseas Women's Club/バンガロール在住の外国人女性のためのクラブ) 主催のクリスマス・バザールへと赴いた。
ミューズ・クリエイションを結成してから約半年。約40名のメンバーが、「紙」「布」「歌」「食」のチームにわかれてそれぞれ活動しているが、このバザールでは「紙&布」チームが中心になって出店が実現した。
1カ月ほど前までは、販売する商品があまりそろっていないことに加え、わたし自身が日本へ帰国したり、また本当は明日から1週間デリーへの出張予定が入っていたので(これは1月に延期となった)、あまり手伝えそうになかった。
自分が手伝えないにもかかわらず、積極的に出店しようと言うのは憚られていたのだが、メンバーのみなさんが相談した上で、「出店してみよう!」ということに決まった次第。
出店のためのテーブルを確保するには、ベンダー代として6000ルピーを支払う。
今回は初めての試みであることから、あまり欲を出さず、せめてベンダー代と、布や紙などのコスト(経費)を売り上げから捻出できればいいだろうと、話し合っていた。
しかしながら、一昨日のサロン・ド・ミューズに持ち込まれた作品の数々を見て、その品質の高さに「これは売れるに違いない!」と心が躍った。
開場は11時。メンバーは準備のために、早めに現地入りしていた。わたしと夫が到着したのは、開場と同時の11時だったが、会場となっているセントマークス・カテドラルの庭は、すでに活気に満ちあふれていた。
ミューズ・クリエイションのテーブルには、載りきれないほどの商品が並んで非常に賑やかだ。
他のチームのメンバーの手伝いもあり、ブースの周りは常にお客さんが集まっている。
アルヴィンドは、作品のクオリティの高さに感嘆しきり。右上の写真は、作品の一つである革のペンケースを片手に、「これ、誰が作ったの? すごい!」と驚いているの図。
販売は、メンバーが交替で行ってくれているので、わたしはバザール全体を眺め歩く。
自分が買い物をしたいということもあるが、12月7日のミューズ・クリエイション主催のクリスマス・バザールに出店してくれるブースをもう少し増やしたかったので、その協力者を見つけるのも一つの目的だ。
アルヴィンドにも、「もしもNGOのブースで、いい感じの商品を扱っているところがあったら、名刺をもらっておいて」と頼んだのだった。
と、ほどなくして彼が持って来た2枚の名刺。なんと、わたしが以前、すでに声をかけており、出店確実となっていた2つの団体であった。
確かに、彼らの商品は一目で品質の良さがわかるから、目につくのだろうけれど、それにしても、全く同じものを選ぶとは、さすが夫婦やね。と、自分のことながら、思う。
お子様向けの商品も、なかなかの人気ぶり。チーム紙の作品としては、コマ(やたらよく回る)もさることながら、千代紙で折ったくす玉風のオーナメントが大人気。
3つセットで100ルピーで販売したのだが、大量の作品がほとんど売れ尽くされていた。
鳥の形の鍋つかみ。これは、間違って縫い付けてしまったので、ポシェットにしようと思いついた作品らしいのだが、それがガールズのハートを射止めた模様。
1つ300ルピーのところを、二人合わせて500ルピーでおまけしての販売だ。
ところで価格設定は、かなり難しい。なんというか、ブースによって物価に格差があるのだ。よさげな商品を格安で売っているところもあれば、結構、高めに設定しているところもある。
もっともこのバザールは、非営利団体だけでなく、一般のショップも店を出しており、非常にヴァラエティ豊かな集まりゆえ、スタンダードを見極めるのは難しい。
あまり高すぎても売れない場合もあるので、途中からはフレキシブルに値段を下げつつ、販売をしたのだった。
チーム歌のメンバーも来訪。大量のお買い物をすませたあと、販売のお手伝いもしてくれた。今回の教訓のひとつとして思ったのは、「作った本人が売るのは難しい」ということ。
特に日本人は、「謙虚」な人が多いので、すごくいい作品に仕上げてくれているのに、商品のアピールを強くすることには、抵抗があるご様子。
一方、他のチームのメンバーは、客観的に商品のよさを理解し、照れることなくアピールできる。とういわけで、エプロンも身に着けて、「これいかがですか〜?」という状況だ。
「見てください、このポーチ。日本人女性の手づくりなんですよ! ほら、このジッパー、速やかに開くでしょ? YKKのジッパーなんです。裏地もちゃんとついてますよ!」
わたしがお客さんに説明していた通りのことを、早速模倣してのセールスだ。
YKKの方からジッパーをご提供いただいたので、そのあたり、開けたり閉めたりしながら、しっかり強調である。
まあ、自分がお客さんの立場として、いろいろと説明されるのは鬱陶しいと思うのだが、この場合はアピールせねばよさが伝わらないので、少々のくどさは許容範囲内とさせていただいた。
ミューズ・クリエイションのメンバーの方、OWCのスタッフとして運営のお手伝いをしている方々もいらっしゃり、日本人の貢献度もかなり高いイメージだ。
会場を巡りつつ、いくつかの買い物を楽しんだ。ショッピングバッグや手刺繍のネックレス風、蘭の鉢植えなど。
中でも気に入ったのは、Beech(ブナの木)を素材とする繊維で作られたカーディガン。右上の写真がそれだ。
米国在住時に、この素材のことを知った。
テロンテロンしたとてもやわらかい素材で、肌触りがいいのだ。これで作られたシーツが気に入り、福岡の母や妹に送った経緯がある。
このカーディガンは丈が長いのも魅力。旅行などに好適だ。ここのプロダクツは個人的にとても興味があるので、また後日、しっかりチェックしようと思っている。
■Sacred Lotus: infinitely iyengar (←Click!)
アルヴィンドは、リネンのシャツを一枚、それからイタリア人女性が作るソースが気に入ったとのことで、それを2本、購入していた。
もちろん、ミューズ・クリエイションのブースでもお買い物。クリスマスのオーナメントやワインボトルケースを購入していた。オーナメントは自分のオフィスに飾るらしい。
フードコートの出店も賑やか。ランチはToscanoのパスタやソーセージ、フレンチフライなどを味わった。
ミューズ・クリエイションのクリスマスバザールに出店してくれる予定の人たちも決まって、実り多きバザールである。
左上は、5、6年前、仕事で取材をさせてもらったソナリ。当時はまだスタートさせたばかりだった彼女のビジネスは、ずいぶんと軌道にのっているようで、現在はホワイトフィールドに店を構えている。
この日も彼女の売り場は大盛況だった。
■TEMPLETREE the paper boutique (←Click!)
右上は、以前も何度かここでご紹介したBORNFREE ART SCHOOLの中山実生さん。彼女の隣にいる男性は、BORNFREE主宰者のジョン。
彼らもミューズ・クリエイションのバザールに参加することになりそうだ。
■BORNFREE ART SCHOOL (←Click!)
■ミューズ・クリエイション始動。中山実生さん来訪 (←Click!)
と言っていたはずの夫だが、帰る様子がない。最後の方では、折り紙のコマの販売に精を出していた。
が、コマを回してみせるも、お子様の興味を引くことができず。
「子どもが喜ぶ物を売るのは、なかなかに難しいねえ。これ、ちょっと原始的な遊びすぎない?」
などと言いながらも、結局、最後までお手伝いをしていた。楽しかったらしい。4時を過ぎ、会場の片付けがはじまるころ、彼はひとりでアーユルヴェーダのマッサージを受けに、診療所まで赴いた。
わたしはといえば、一昨日、日本から帰国した翌日にマッサージを受けていたので、すっかりリフレッシュしている。
やはり週に一度、オイルまみれのマッサージを受けて、スチームバスで蒸されるというのは、本当に心身によいようだ。疲労回復が早い。
さて、片付けを終えたあと、時間の都合が付くメンバー8名がそのまま、徒歩圏内にあるHARD ROCK CAFEへ流れ込んだ。
そして、よく冷えたビールで乾杯!!
蒸し暑かった今日一日。労働のあとのビールはうまい!!!
ビールが飲めずにモクテルの人も2名いたが、それはそれ。ともかく、なにかをやり終えたあとの達成感というのは、本当に気分がいいものだ。
たとえそれが、ささやかなことであったとしても。
ミューズ・クリエイションのメンバーのバックグラウンドはさまざまだ。
ただ、今この時期、バンガロールという異郷で暮らしている日本人同士、という以外に、特段の共通点があるわけではない人が多数だと思う。
そんな人同士が、こうして「やったことのない試み」を一緒に体験し、それを終えることができたというのは、とてもワンダフルなことだと思う。
ところで気になる売り上げだが……。
なんと合計32,800ルピー!! 日本円で約5万円もに達したのだった。
ベンダー代や布代のコストを差し引いても、かなりの利益があがったことになる。
居合わせたメンバー全員が、予想以上の売り上げに、本当に大喜びだった。利益は、次回のバザールの分と合計して、来年早々、慈善団体へ寄付をする予定。
寄付先、訪問先については、メンバーの方々と相談して決める予定だ。
今回の出店を通しての、反省点や改善点は、もちろんある。そのことについても、簡単に意見を交換した。それらはまた、次回のバザールの際に、有効に反映されることだろう。
ともあれ、こうして何もなかったところから、利益を生み出せたことがすばらしい。しかも、みなが楽しみながら制作したものが、きちんと売れたというのがいい。
リーダーシップをとってくれたメンバーは、それぞれにプレッシャーを感じていらっしゃったかもしれないが、でも、いい時間を過ごせ、いい結果が出たことによる達成感は格別だと思う。
わたしも(夫も)、本当に楽しい午後を過ごさせてもらった。
みなさん、本当にお疲れさまでした!
さて、次は12月7日(金)のバザールに向けての準備がスタートだ。