14日、日曜日。バンガロールにて「ジャパン・ハッバ(日本祭り)」が開催された。2005年以来の年中行事だったが、パンデミックによる途絶を経て、今回は3年ぶりのリアル開催だった。
会場は、IISc(インド科学大学院)のキャンパスにある国立科学セミナー施設。年々、入場者が増え安全管理が困難になっていたことから、今年はチケット販売で入場制限。3500枚の前売り券は完売する人気の高さだ。
従来、ミューズ・クリエイションは、ダンスやコーラスのステージ出演に加え、メンバーによる手工芸品や書道短冊の販売、折り紙や日本の玩具遊びのワークショップなどを実施してきた。イヴェントの直前には、毎週金曜日の集いだけでは足らず、皆が足繁くSTUDIO MUSE(拙宅)に集い、準備を進めてきたものだ。
翻って今年。正式にメンバーとしてバンガロールに残っているのは、古株の志乃さんだけ。パンデミックが明けてからは、イヴェントごとに参加者を募ってきたことから、有志が集まるか懸念した。わたし自身、直前まで日本旅に出ていたこともあり、さほど準備ができない。とはいえ、何らかの形で関わりたく書道短冊と折り紙ワークショップのためのテーブルを2つ、予約しておいたのだった。
友人知人に声をかけたところ、幸いにも複数名から、お手伝いが可能との返事をもらった。ミューズ・クリエイションのメンバーや関わってくれる方々は、他の活動にも積極的なので、従来から「掛け持ちでお手伝い」の人が多数。そんな中、ご家族が交代で入ってもらえるのは、とても助かる。
9時の会場から、すでに入場者が来訪。以降、多少の波はあれど、間断なくゲストが立ち寄ってくれる。無料の折り紙ワークショップでは、大人はもちろん、子どもたちが率先して、インドの人たちに、一生懸命、丁寧に、黙々と指導をしている。
この折り紙短冊の販売を開始して10年以上になるが、毎年、リクエストされる言葉を聞くのが楽しい。過去の写真を遡ってもわかるのだが、2015年ごろから、若い女性の選ぶ言葉が圧倒的に強くなった。「野望」「自信」「挑戦」「達成」など。
それに加え、アニメーション特有の言語も多彩にリクエストされ、対応に困りつつも面白い。
この短冊、なんと650枚も売れた。大した告知もせず、ただテーブルを出しただけで、650枚。他の販売がなかったとはいえ、史上最高の売り上げだ。筆ペンのインクもほぼ、枯渇した。
これらの短冊は、シリアルの箱や菓子箱などの厚紙を切り、折り紙を貼り、リボンをつけるという手作り。制作には結構、手間がかかる。これらの短冊。実は、ロックダウンの間、バンガロールに留まっていたメンバーの道子さんが、こつこつと300枚以上、作ってくれていたものがあった。
それに加え、今回、有志の方々が持ち寄ってくださった。さらには、イヴェント当日、テーブルの後ろで、まさに「裏方」のみなさんが、せっせと短冊を作ってくれた。みなさんの「こつこつ」が結集して、650枚もの短冊が完成していたのだった。
折り紙にせよ、短冊にせよ、人々が「マスクなし」で、「密」になって作業をし、笑顔を交わす。当たり前のことが、かけがえのない楽しい時間なのだということを、再確認する。
大きな穴の底に潜んでいたような、パンデミックの日々があったからこそ、この光いっぱいの1日が、ことさらに眩かった。
この気持ちを忘れずにいたい。
イヴェントの実現に関わった関係者各位、お疲れさまでした!