歩けども、歩けども、なほ我が重量、軽くならざり そっと脇腹つかむ
夕暮れどき、窓から心地の良い海風が吹き込んでいる。ワインでも飲みたくなる。海風とワインとは、特に関係はないが。しかし、今日は抜歯したのだ。飲めない。
部屋の窓から、その一部だけが見える公園。いつもの遊歩道の公園とは違うその公園へ、行ってみたくなった。着替えて、外に出る。
「縁日ですか?」
昼間の様子とは一変して、その公園の賑やかさ。
夕暮れ公園の、夕涼みの。
界隈に住む老若男女三々五々集まり。
遊具上り下りする子らの歓声。
ブランコ3人の老女が並んで座って揺れて笑っている。
遊歩道わざわざ中央にてのっそりと寝転ぶイヌ。
砂場わざわざ中央にて前足で穴掘り用を足すネコ。
子どもらと駆け回るメイドら痩身。
ベンチで歓談するマダムらの豊満。
反抗泣き叫ぶ10歳少年左手は母の右手を握っている。
クリケットボール。サッカーボール。少年らの声。
見守るドライヴァーの男たちの笑顔。
ボールが転がってくる転がってくる。
蹴って返せば、お門違いの方角に飛んでゆく。
高層ビルのネオン映して揺れる水面、水銀の如くたぷたぷと。
傍らの漁村スラムは闇に溶けてぽつぽつと頼りなき裸電球の点在。
目前は、テロリストたち上陸せし海岸。
Whatever Will Be, Will Be.
なるようになる。