夕べ、いちごジャムを作った。インドの、歯ごたえがある酸味の強いいちごは、ジャムに好適なのかもしれない。いつものように、砂糖にはジャガリを使う。ジャガリについては過去の記録を参照されたい。
ミルク粥でも、シリアルでもなく、今日はトースト。
バターをたっぷりと塗って、その上にいちごの粒を、一つ、二つと丁寧に載せる。
大粒、小粒、ふぞろいのいちごたちで作ったジャムは、酸味と甘みがバランスよく調和して、その実のつぶつぶとした歯ごたえもまたよく、新鮮な香りが、本当にいい匂い。
夫はヨーグルトに載せて、食べる。おいしいね。おいしいね。と言い合いながら、食べる。
最後にいちごジャムを作ったのは、ワシントンDC在住時代、2004年の5月だった。17年蝉の、初夏だった。
インド旅行から戻って来た5月1日、父が危ないとの電話を受けた。4日、日本に帰国した。
それから父は持ち直したかに見え、15日、DCに舞い戻った。しかしその直後、父はホスピスへ。
十日も立たぬうち、危篤の知らせを受けた。
再び日本へのチケットを買い、27日、日本へ。成田空港で、福岡ヘ向かう飛行機を待っている間に、父は他界した。
二つの日本への旅の間の、あまりにも新緑が美しい初夏のワシントンDCは、ラズベリー、ブルーベリー、ストロベリー……ちょうどベリーの旬だった。
たくさんのいちごを買って、黙々と、いちごジャムを煮た。
いちごジャムを煮ながら、あの5月を思い出した。
時間は流れているなと、しみじみと、かみしめながら。
■片隅の風景:2004年5月の記録(ひよ子はアザラシだったか)
■片隅の風景:2004年6月の記録(葬式直後に、温泉に行くか)