このごろは、水菓子屋の露店で、苺をよく見かける。
水菓子屋。林檎。枇杷。水蜜桃……。漱石の、「夢十夜」の中の言葉は、鮮やかな画(え)になって、脳裏に浮かび麗し。
さて、時代と舞台をムンバイに戻せば、今は苺の季節である。苺ジャムでも作ろうと、4箱をまとめて買う。それからスイカにメロンにザクロなど、いつもの果物も一緒に。
と、食用ほおずきが目に留まった。早速2束、購入する。食用ほおずきは、とてもおいしい食べ物だ。身体にも、とてもよいと聞く。初めて口にしたのは、ニューデリーの実家だった。
あのときは、まだダディマが生きていて、二人で朝食のテーブルで、通じ合わぬ言葉を通じ合わせるようにして、一粒、二粒、甘酸っぱいその実を食べながら、ひとときを過ごした。
下の2枚は、かつてデリーのカーン・マーケットで撮影したもの。まるで葡萄の房のように、丁寧に束ねて売られているのだ。その様子がまた、かわいらしい。
今日はまた、近所のスーパーマーケット、Nature's Basketにて、素焼きの容器に入った甘いヨーグルトを発見! 食べたいと思っていたPARSI DAIRY FARMのSWEET CURDだ。
帰宅するやいなや、早速、食す。濃厚で、しかし甘すぎず、ヨーグルトの風味がなんともいえず美味。
どこかしら、懐かしい味がする。
普段はプレーンヨーグルト派であるが、この甘みもまた魅力的。
今後も常に店頭に置いていてほしい一品である。
ここ十日あまりのカメラの中に、残されていた写真を、何枚かここに、残しておこうと思う。
庭で温かな陽光を感じながら過ごしたり、庭に面したダイニングルームにラップトップを持ち込んで書き物をしたり、リヴィングの、カーテンが揺れる様を視界に感じながら、ソファーに腰掛けて読書をしたり。
しかしそんなひとときは束の間。長いと思っていた休暇は瞬く間に過ぎていった。
年が明けたのを機に、新しいラップトップ・コンピュータを買った。昨年、ハードディスクがダメになってしまって、中身だけ取り替えてもらったマックはあったのだが、それは保険としてとっておくとして。
MacBook Pro。
なにかと埃っぽいインドにおいて、これまでの白いボディは汚れが目立ちやすくてたいへんだった。しかしこれならば、多少の汚れもお茶を濁せる。何よりスクリーンが大きめなのがいい。
ちなみに自宅で使う時には、別に購入しているキーボードとマウスをつないで使っている。その方が、断然入力しやすいし、疲れにくいからだ。
トマトとタマネギ、ズッキーニとソーセージを具にスクランブルエッグ。オムレツのつもりだったが、形が崩れたのでスクランブルエッグ。
絞り立てのアップル&キャロットジュースとともに。果物が豊かなインドでは、毎朝新鮮なフルーツや野菜のジュースを作っている。
パイナップル、パパイヤ、ザクロ、バナナ、リンゴ、ニンジン、トマト、レモン……。適当に、あれこれと組み合わせて、毎朝ぐいっと飲む。元気が出る。
2日はコロンビア・アジア・ホスピタルへ赴き、2年ぶりに総合健康診断。血液検査に始まり、X線や心拍数や、婦人科検診エトセトラ。病院のカフェで、朝食にドサ(米粉&豆粉製のパンケーキ風)を食べる我々。
翌日3日は、検査結果をもらいに再び。追加検診などもやってもらう。
わたしは、すべての値が標準で、なんの問題もなく。強いて言えば、学生時代からの腰痛(背骨下部の歪みによる)のため、エクササイズは欠かさずに、とのこと。夫は昔からの遺伝性高脂血症。これはわかっていたので仕方がない。それ以外は特に問題なく、健康な我々。
健康診断については、二年前、詳しくレポート(←文字をクリック)している。ちなみに当時は高級感漂う病院だったが、今は富裕層だけでなく、中流層、低所得者層らしき患者の姿も見られ、込み合っていた。よいことだと思う。
ここのシンプルなHRCバーガーが、結構お気に入り。
フレンチフライが今ひとつ新鮮でなかったので、新しく揚げ直してもらった。
そうしたら、とてもおいしかった。
昼間から、カクテルを飲みながら、ハンバーガーを食べる。
健康診断のあとの、微妙に退廃的なひととき。
休みの間に、何冊かの本を読んだ。印象に残ったのは、先日日本に帰国時、空港で急ぎ買い求めた書籍の中の2冊。
村上龍氏が好きだということもあるけれど(映画など、好きとはいえない作品もあるけれど)、テレビ番組を見られない身としては、この本が読めただけでもよかった。
そういえば、「ガイアの夜明け」も見たい番組だったが見られず、書籍化されたもの何冊か読んだが、これはあまりよくなかった。あまりにも、多くの人を紹介しすぎるがあまり、一人一人の記述が短く浅過ぎて。
デリーから、叔父ランジートと叔母ニナが遊びに来た。アルヴィンドの亡母アンジナの兄、そしてその妻だ。
1964年。アンジナがニューヨークに遊びに来ていたとき、当時ジョージタウン大学の学生だったニナと、偶然出会い、親しくなった。アンジナを介して、ランジートとニナは結婚したのだった。
わたしたちにとっても、彼らにとっても、ニューヨークはかけがえのない街。
11/26のムンバイテロ以降、空港のセキュリティが一段と厳しい……んだか厳しくないんだか、よくわからない。銃を携え、しかし談笑するポリスだかアーミーだかを、あちこちで見かける。
しかし土嚢に腰掛け、地面から垂直に銃を置き、銃口に顎を載せてくつろいでいるポリスを見た日には、夫と二人で目を見合わせて、「あり得ない!」
「誤射したら、どうするんだろ。顔、吹っ飛ぶよね」
「弾(タマ)、入ってないんじゃない?」
嗚呼。インドだもの。
いつもの果物屋の露店から、スイカと、旬のイチゴをお土産に。
「果物屋の兄さんから、名刺をもらったよ! 電話すれば、宅配してくれるらしいよ。
こんなカラフルな名刺持ってるなんて、カワイイよね!」
ひとひをしめくくる、小さくて、ほんのりとあたたかい、幸せ。