現在、土曜の朝である。昨日は一日中、風が強いものの、雨は少なく、街は明るかった。しかし、夜になって、また荒れ狂うような雨が降り始めた。
ちょうどそのころ、ヒラリー・ローダム・クリントンを載せてチェコのプラハを発った飛行機が、2時間遅れでムンバイに到着していたようだ。
宿泊先は、我が家のご近所であるTHE TAJ PALACEのニューウィング(タワー)。
11/26のテロの被害に遭ったホテルである。
彼女は、夜の11時過ぎに厳戒態勢が敷かれたホテルにチェックインしたようだ。
我が家からは、ビルディングの谷間から、スラム越しにホテルが見える。
クーポラ(天蓋)がある右側の建物がオールドウィング。
その左側に見える高層のビルディングがニューウィング。新館だ。
今、THE TIMES OF INDIAのサイトを開いたところ、タタ財閥の会長であるラタン・タタ、リライアンスグループのムケーシュ・アンバーニと共に被写体におさまっている、柿色のスーツを着た笑顔のヒラリーの写真があった。
10時ごろに開始されたブレックファスト・ミーティングのもので、その他インド財界を率いる面々を交えての会合である。彼女は明日に、ニューデリーへ飛ぶとのこと。
わたしは、彼女がファーストレディだった時期の米国に暮らしていたが、当時は彼女のバックグラウンドを詳しくは知らなかった。2年前に『ヒラリーとビルの物語 』Gail Sheehy著、櫻井 よしこ訳を読んで、詳細を知った。
彼女の凄まじいまでのパワーに驚嘆した。
最初の数十ページを読んだだけで、圧倒され、読み進めるにつれて、信じられない。すごい。との思いが増していった。彼女の行動の善し悪し、あるいは好き嫌いはさておいて、人間としての、あまりにもの力強さに敬服したのだ。
今、ここからすぐ見える場所にいる彼女。お会いして、握手の一つでもさせてもらいたい。言葉の一つでも交わしてみたい。
当然ながら、無理だけれど。
ゴアの落選とブッシュの勝利。
9/11米国同時多発テロ。
アフガニスタン紛争。
イラク戦争……。
米国にいたころの、ワシントンDCに住んでいたころの、さまざまな出来事が、思い出される。
知るほどに、世界は広い。